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「発達障害=特別な才能がある」と括ることへの違和感

この記事は2,272文字あります。個人差はありますが、3分〜5分でお読みいただけます。

このnoteではVoicy(音声配信)で配信した内容のテキスト版(簡易版)です。ぜひ併せてご活用ください!ちなみに、Voicyは下記チャンネルで毎日更新しています!

今回のテーマは、「「発達障害=特別な才能がある」と括ることへの違和感」です。どうぞお付き合いください。


誰がため

昨日、下記記事を目にする機会がありました。

なんともキャッチーなタイトルですが、同時に「悪気はないのかもしれないけれども…誰のために書いた記事なんだろう」とも感じました。

この記事の元になったのは、京都府立大学准教授であり、当事者でもある横道誠先生が書かれた『創作者の体感世界 南方熊楠から米津玄師まで』(光文社新書)という新著のようです。

僕は不勉強ながら、この本を読んでおらず、また記事にはこちらの書籍を元に再構成したと記載があったので、記事内に書かれたことと、横道先生が書かれたことがどれくらいリンクしているのかは分かりません。そして、これは内容全体を批判したいわけでもありません。

発達障害に対して、「この記事ではじめて知った」という方もおられるかもしれません。そうした知られるきっかけの裾野が広がるという意味ではいいかもしれません。

でも、同時に「ここはちょっと気をつけた方がいいかもしれない」と感じた点について、あくまで記事の中から感じたことだけをまとめたいと思います。

ミスリードになるのでは?

記事では、こだわりについて、「度を越してすごい」と表現されているので、自閉症スペクトラム(ASD)特性をポジティブなものとして捉えてくださっているのかもしれません。

そして、全般にはASDやADHDなどの発達障害に関連する特性がよく発揮されてきた方々がおられること、天才と呼ばれた人たちの中に、こうした特性を持っていた人たちがいることをお伝えしたかったのだと思います。

でも、断片的に切り取るのは良くないのかもしれませんが、以下のようなことも特徴として紹介されていました。

「他者への近づき方が異常」
「顔の表情が異様」
「決まった習慣に頑固にしがみついて、変化を嫌い、儀式めいて見える」
「一般的ではない対象への強い愛着を示したり、没頭したりし、異常ですらある」

ここを読むと、ASDの人は相当な変わり者で、人によっては怖いという印象さえ持たれてしまうような表現だと感じました。ちょっと極端だなと。

他者への近づき方にとても気を遣う方もいます。
顔の表情が自然な方もいます(異様とは言えない)。
決まった習慣を儀式的に行わない人もいます。
一般的な対象に、強く興味を持つ方もいます。

一体、どっちなんだ!?

そんな風に混乱を招くかもしれませんし、伝わりやすいように極端に書かれたのかもしれません。そして、限られた文字数の中では、そうせざるを得なかったのかもしれません。

そして、おそらくは、「発達障害は特別な才能がある!」と主張したいわけではなくて、「特別な成果や結果を残した人たちの一部には、発達障害の特性を持った人たちもいた」ということを伝えたいのだと思います。

なので、やっぱりネガティブなものではなくて、ポジティブなものとして伝えようとしてくださったのでは?と感じています。

でも、そうだとしても、上記で紹介した記事を読まれた方が、ASDやADHDについて極端な知識を得る要因になるのではないか、そんなことを危惧したところです。

特別な才能ありきにしないで

「発達障害=天才」とか「発達障害=特別な才能がある」という切り口には、魅力があるのかもしれません。そこでのエピソードが切り取られ、独り歩きをしてしまうと、今回の記事のように「ASD=他者への近づき方が異常」と決めつけられてしまう危険性もあるかもしれない。同時に、「優れた成果を残しているちょっと変わった人」に対して、「発達障害に違いない」と決めつけられることもあるかもしれません。

また、そうした特別な才能ありきで話されると、「自分には特別な才能がないからだめなんだ」とかえって落ち込まれる方もいれば、周囲から「やればできるはずだ!」とご本人が望んでいない期待や希望をかけられ、結果として追い込まれてしまう方もおられるのではないでしょうか。

特別な才能を持つ人もいるでしょう。でも、それは発達障害があっても、なくてもいるわけです。才能の有無には、障害の有無は関係ないようにも感じることもあって、そこは切り離して考えても良いのでは?と思うこともしばしばです。

まとめ

確かに、特性があったから人よりもこだわれたこともあるかもしれません。でも、そこまでこだわって努力し続けられたのは、その人のパーソナリティでもあると思います。

「発達障害だから」というのが前面に出てしまった時には、それぞれの方々がしてきた努力もなかったかのようにされるような気もしてしまい、それはどうなんだろうとも思います。

「ポジティブな面も知ってほしい!」という思いはとても賛同します(実際に、そういう意図があったのかはわかりませんが)。

でも、伝え方によってはかえって誤解を生むことにも繋がりかねないし、不必要な不安を与えることにもなりかねないとも感じています。

皆さんは、どう感じられたでしょうか。

補足はVoicyの配信をお聴き頂ければと思いますので、宜しければVoicyの方も応援していただければと思います!

佐々木康栄

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