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コロナ禍におけるウガンダの学校事情&理数科教師教育者のオンライン教員研修への見方(青年海外協力隊での立場から)
はじめに
この記事はコロナ禍において世界で一番長いと言われているウガンダの休校事情と理数科教師教育者のオンライン教員研修について、どのような考えを持っているか実際に見聞きしたことを基にまとめたものです。また、理科教育 Advent Calendar 2021の23日目の記事を兼ねています。
(筆者はJICA海外協力隊として、2019年12月〜2021年12月までザンビア・ウガンダの中等学校に理科教師として携わっておりました。)
コロナ禍におけるウガンダの学校事情
ウガンダ政府は新型コロナウイルスの感染拡大以降、ひたすらに学校を閉ざしており、学年によってはほぼ2年間、学校に行っていない生徒もいます。(ユニセフによると世界で一番長い休校期間だそうです。)
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具体的には新型コロナウイルスが出てきた2019年3月頃から休講が始まり、感染状況が落ち着きを見せ始めた10月頃から進級試験を控えた学年は学校に復帰しました。しかし、その後もデルタ株の感染拡大に伴い、2021年6月から現在まで全ての生徒に対して休講が続いているという状況です。休校中にはオンライン授業を実施しようとしている先生方もいましたが、通信費や端末を持っていないということもあり、参加できる生徒はごくごく限られていました。2022年1月からはようやく学校が再開する予定ですが(よかった!)、短期集中カリキュラムによる理解の低下などが懸念されています。
また、長期的な休校の影響は随所に見られ、特に(1)女子の若年妊娠によるドロップアウト(2)家庭虐待の増加(3)児童労働の増加などが挙げられます。また、ウガンダでは教師の待遇がそれほど良いものではないため、学校再開後も現在、他の仕事に就いている教師が復職するか?現在、労働によって収入を得ている生徒が学校に戻ってくるか?なども疑問視されています。
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学校の周りにいる子どもや生徒に学校が再開して欲しいかどうかについて尋ねたところ、「本来であれば最終学年なのに、2年経った今でも全く進級できていない」などと学校再開を望む声が多く聞かれました。(写真は学校で暮らしていた少人数の生徒達への授業の様子)
理数科教師教育者のオンライン教員研修への見方
ウガンダや他のアフリカの国(例えばザンビアなど)で、個人的に面白い文化だなあと思ったのは、教育現場において外部人材(外国人だから?)への風通しが良いということです。このように感じた出来事は2005年からJICAが主導で行っている理数科教師の質の向上プロジェクト(SESEMAT: Secondary Science and Mathematics Teachers' Programme)の事務局に挨拶に行った時の事です。
ウガンダ人の教師教育者が多数在籍している事務局に挨拶に行って、「最近はどのようなことをされているのですか?」とお話を伺うと、「最近はコロナの影響で、以前のように集まって研修をすることが出来ていない。オンライン研修をしたいが、Zoomの使い方が分からない。よし、君、Zoomの使い方を我々に教える研修を開いてくれ」とその場で話が進み、Zoomの簡単な使い方なら自分でも教えられるという事で、研修のお手伝いをさせて頂くことになりました。(理科教育についての研修も可能であればして欲しいとお願いされていたのですが、今回はZoomの使い方だけに焦点を当てる事となりました(;-;))。
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研修の中ではZoomの簡単な使い方を実践して確認した後、オンライン教員研修と対面教員研修のメリットとデメリットをそれぞれのグループで話し合い、まとめて発表するということを行いました。
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実施に出された意見として以下のようなことが挙げられました。
【対面研修のメリット】
対面研修のメリットとしては、主に研修受講者への対応や理解度のモニタリング、非言語表現などを通じてコミュニケーションが取りやすいこと、また、実際の教材を示したり、実験に取り組ませたりして体験的な学びの場を提供できるという意見などが挙げられました。
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【対面研修のデメリット】
対面研修のデメリットとしては、やはりコロナの感染防止からの観点での意見が多く挙げられました。
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68306543/picture_pc_e702eb74d3eb7047a69bb6e0a499db2b.png?width=1200)
【オンライン研修のメリット】
オンライン研修のメリットとしては、遠隔地からどこでも参加できたり、録画や議事録の作成が簡単であるという点で効率が良いということが主に挙げられていました。
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【オンライン研修のデメリット】
オンライン研修のデメリットとしては、必要な機材が高価であったり、通信量がかかること、ツールを扱う技術的知識を教員研修者が持ち合わせていないことなどが挙げられ、地方ではまだネットワークが普及していない地域もあるため、参加が制限されるという問題も挙げられていました。(ログインだけして参加したことにする、はどこでも共通の問題だなと思いました。笑)
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【今後の教員研修として望まれるあり方】
これらの議論を踏まえて、今後の教員研修として望まれるあり方については、オンラインと対面それぞれの利点を組み合わせた教員研修が求められるという意見に集約されました。
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68306550/picture_pc_efea733331d2a8dab0bcb6da30849aaa.png?width=1200)
おわりに
この記事ではコロナ禍におけるウガンダの学校事情と理数科教師教育研修者のオンライン研修に関する見方についてまとめました。学校事情については、これまでコロナに散々振り回されてきた子ども達がこれ以上振り回されることの無いような政府の対応が望まれます。教師教育者のオンラインに関する見方については、日本と似たような意見が多い一方で、現地ならではの問題もあり、興味深かったです。また、個人的には能力があれば、煩わしい手続きを踏まずに誰でも積極的に活用しようとする風土がすごく好きで、今後も何か貢献するために自分も色々頑張らないとなあと思いました。