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自由進度学習とは何か?その歴史と再注目される理由

自由進度学習とは、その名の通り、授業の進度を子供一人ひとりに任せ、各自が自分に最適だと考える学習計画を立て、自らの判断と責任で学習を進める授業の方法です。この学習スタイルのオリジナルは、1980年代の愛知県緒川小学校が、一人ひとりの個性に合わせた深い学びを実現するために積み重ねてきた実践に基づいています。

再注目される背景:令和の日本型学校教育

なぜ、歴史ある自由進度学習が今再び注目されているのでしょうか?その理由は、2021年の中央教育審議会の答申にあります。「令和の日本型学校教育の構築を目指して」にて示された「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現する先行的な実践として、この自由進度学習が再び脚光を浴びるようになったのです。

教師の無意識の実践としての自由進度学習

自由進度学習は、私自身も何年も取り組んできた学習スタイルですが、これを難しいと感じる先生も少なくありません。しかし、先生方はおそらく無意識のうちに自由進度学習を実践していることが多いのです。

例えば、授業中に「早く終わった子はスペシャル問題にチャレンジしていいよ」と指示したことはないでしょうか?これも一種の自由進度学習です。また、以前の単元を振り返るように指示することも、「授業中に学習進度を戻りを許可する」という意味で自由進度学習の一環と言えます。

計画的な自由進度学習の実践

今紹介した例は、たまたま先生の判断で生まれた自由進度学習でしたが、もっと意図的に、計画的に子供たちに学習進度の自由を任せることができる学習スタイルが「自由進度学習」となります。

具体的には、愛知県の緒川小学校がその一例です。

新任として赴任した竹内さんの著書『教科の1人学び〜自由進度学習の考え方・進め方』から、6年生の理科の授業例を紹介しましょう。授業は四つの段階に分かれています:ガイダンス、計画、追求、まとめです。

ガイダンス

まずガイダンスは、単元全体の目標や流れ、疑問が生まれるように意欲を高める時間です。

計画

次に、計画の時間では、学習計画表を配り、子供たちが自分の計画を立てていきます。学習カードを用意し、いつ実験をするか、いつ学習カードに取り組むかを計画する時間です。

追求

8時間の大部分を占めるのが追求の時間です。子供たちは自分の興味関心を起点に、自由に進んだり、戻ったり、立ち止まったりします。これが自由進度学習の醍醐味です。

まとめ

最後のまとめの時間では、学習内容の確認や自由進度学習で得た成果を全体で共有します。教師が関わるチェックポイントとしては、学習カードの提出、実験レポートの提出、チェックテストの実施などが用意されています。

放送のまとめ

愛知県の緒川小学校の自由進度学習のイメージが何となく伝わったでしょうか?さらに詳しく知りたい方は、ぜひ竹内さんの『評価の1人あたり自由進度学習の考え方・進め方』を手に取ってみてください。

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Benesse教育総合研究所でも2024年7月の記事として解説されています。

音声で聞きたい方はVoicyで詳細を話していますので、どうぞ。

2023年、2024年の3月に単著を出版させていただきました。こちらもご興味あれば、どうぞよろしくお願いします。


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