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本をつくる大人として、もっとこどもたちに近づきたい(制作物担当・木原)

こんにちは!
こどもの本総選挙事務局の井口です!
まだまだ、出版社入社2年目。ついこの間まで学生でした。

右も左もわからずオタオタする井口でしたが、こどもの本総選挙事務局の先輩たちは「なんでも遠慮なく聞いていいよ~」と言ってくれたのです。

本のこと、こどものこと、出版社のこと、業界のこと、総選挙のこと…。

なんでもいいんですか?

では……
事務局メンバーのみなさまのことが知りたいです!!!!!

実はわたしは、緊急事態宣言の最中に入社しました。
だから、一緒に飲み会をしたことはもちろんないし、直接お会いしたことすらないメンバーもたくさんいます。
リモートでちょこっと言葉を交わしたことがある…程度なんです。

これから一緒に活動する、なんかすごそうに見えるこの人たちは、いったいどんな人なんだろう?
✓どんな人生の経緯があって、本と関わる仕事を選んだのだろう。
✓本×自分の、どんなエピソードがあるんだろう。
✓ていうか、総選挙事務局でどんなお仕事してるのかな?

…やっぱり直で色々聞いてみたい!

というわけで、新人が先輩に突撃インタビューというカタチを取らせていただき、事務局メンバー1人1人に会いに行ってきました!(1対1のインタビューで、感染対策もバッチリです)

「何でも聞いて!」というお言葉&新入社員という立場に甘え、探り探り、根掘り葉掘り、質問してみました。
そうしたら、飲み会でたまたま隣に座って、お互いほろよいになってきたころに聞けるような、本×人生のふかーいお話が聞けたのです。

せっかくなので、このお話をみなさまにも知ってほしい。そういう経緯で、この記事を連載していくことになりました。共有させていただきたいと思います。

どうぞ最後までお付き合いください!

2番手 木原 陽子さん
出版社勤務:30年目(!)
普段のお仕事:集英社みらい文庫 編集長 
総選挙事務局の担当:ポスターや投票用紙などの制作物

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【おおむねよければすべてよし!✨木原陽子さん】

 今日は「どうして集英社みらい文庫の編集長が、こどもの本総選挙事務局に参加しているの?」 ということを軸に、こどもの頃の読書遍歴や本にかける想いなど、いろいろ お聞きしようと思ってます!!
………いつもの会議はオンラインで、実際にお会いするのは初めてなので緊張します…。

 いやいや、わたしね、いつも「おおむねよければすべてよし!」って感じで、かなりおおざっぱに生きてるんです。笑
だからってわけでもないけど、全然緊張しないで大丈夫ですよー!

― (゜.゜)✨✨
わたしなんぞがって感じですが、なんかシンパシーを感じました。笑
今日はどうぞよろしくお願いいたします!

 よろしくお願いします!

こどものころ、本は「スッ」と身近にあるものだった

 まずは、こどもの頃の読書遍歴についてお話を伺いたいです。事前の質問では「田舎育ち」だとお聞きしたのですが、こどものころ木原さんが過ごしたのは、どのような場所だったのですか??

 わたしは生まれが富山で、1回新潟に引っ越しして、それでまた富山に戻りました。だから、住んでいた場所はいつも雪深いところでね。2,3メートル雪が積もることも普通でした。おまけに自分の家から友達の家までがすごく遠くて!
そんな環境だから、学校の後にちょっと友達と遊びに行く、なんてことも難しくて、放課後は本当にやることなかったんだよね…。

その環境であれば、外遊びよりも、おうちの中で過ごす時間が充実しそうですね。

 そうなんです!だから、ごく自然にこどものころの娯楽ナンバーワンが、本だったんですよ。 当時はゲームもなかったしね。習い事もあまり積極的にやっていなかったこともあって、当たり前に、普通に、本がなによりも楽しかったです。

 お母さんに、読みなさい!とか言われたわけでなく、自分から本を手に取るようなお子さんだったんですか??

 そうだね。本が、当然のようにスッとそこにあったから、スッと手に取ったね。笑
読んでみたらこれがまあ、すっごいおもしろくて!それで、自然と日々読むようになりました。家だけでなく、年上のいとこの家に行ったときも、本棚の前にゆるっと立って、スッと手に取って読んだりして。本とは、そういうテンションで付き合ってきたかな。

 スッと、ゆるっと、当たり前のように、本は木原さんの生活の中にあったのですね。

 本好きになったかっこいい理由とかはなくてね。なんだかすごく普通に、気どらずに、大好きなものでした。

木原さんメモ①ー2

『赤毛のアン』のような、キラキラした世界への憧れ

 こどものころの木原さんは、どんな本を読んでいたんですか??

  「少年探偵」とか「怪盗ルパン」 シリーズは、小学校の図書館にあったものはほとんど読んだかな。世界の名作もよく読んでたね。でも、一番読み返してたのは『赤毛のアン』。それはもう、何回も何回も、何回も読みました。笑
自分の読みたい本がなくなってくると、一回アンに戻る。そこからまた違う本に遊びにいって、で、また、アンに戻る。大人になった今でもこうしてずっとそばにある本が、『赤毛のアン』なのです。

 『赤毛のアン』の、どんなところがお気に入りだったのでしょうか。アンと木原さんが似てたとか…??

 自分に「似てた」というよりは、やっぱり「憧れ」の存在だったのかなあ。住んでるところが、わたしと同じような田舎なのに、なんでこんなにステキなの?!なにこの島!カナダってなに!みたいな。笑

 うふふ、わたしも田舎だったので、お気持ちとてもわかります!笑

 わたしはそんなに活発な子でもなかったし、自分から「なんかしよう!!」って引っ張っていくタイプではなかったから、改めて考えてみると、なによりもアンの性格に憧れがあったのかもしれないな。
どちらかといえば、内向きにどんよりしてる時間が多かった(笑)から、『赤毛のアン』を読んでいると、「この世界楽しい!!」って、感じられたんだと思います。今『赤毛のアン』の世界にいったら、どんな感想になるのかな…。きっと昔と違った感想になるし、もっと客観的に見るのかもなあ。

 それ、わたしも気になります!!もし読んだら、ぜひ感想教えてください~

木原さんメモ②ー2

キャリアガールのつもりが「きはらーめん」に

 ここまでお話聞いてきて、木原さんが「こどもの本」に関わる仕事をされているのが、すごく自然な流れだなって思いました。最初から児童書を志望されていたのでしょうか。

 いやいや、まさか自分が児童書の編集者になるとは思っていませんでした。実は、集英社に入社して最初に志望していたのは、「コスモポリタン」という雑誌なんです 。生き生きと働く女性のための雑誌で、とってもかっこよくてね。「よーし、わたしも東京でバリバリ働くわ!!」って刺激をうけたんだ。笑

― それが、どういう経緯で、児童文庫の編集長になったのでしょうか??

 キラキラしたキャリアウーマンを目指して就職したのに、最初に配属されたのはなんとマンガ雑誌の編集部でした。男性ばかりの青年漫画誌の編集部で、思い描いていた社会人像とは・・・ちょっと違ったな。
当時は髪形をソバージュにしてたのですが、担当していたマンガ家さんが「きはらーめん」っていう頭からどんぶりをかぶったキャラを描いてくれたりして…あれ?こんなはずでは!都会のキラキラはどこ?!って。笑 
そんなマンガ編集部で長い間働いたあと、7年前に児童文庫の編集部に異動になりました。

― きはらーめん、めちゃめちゃうらやましいです!十分キラキラだと思います!!笑
志望したところで働けないのはあるあるですが、それにしても大きなギャップですね。しかもそこから児童文庫に異動されたわけですよね。これもまたかなり違うジャンルに思えます…!

 たしかに一見違うように見えますが、実はマンガも、児童文庫も、作り方自体はすごい似てるんです。
今世の中に受けているものをキャッチし、企画にいかしていくこと。1つの作品を作るにあたって、作家さんの書きたいものや、才能をいかして、作品を売れるように作っていくこと。マンガであれ、児童文庫であれ、そういった役割を求められるのが編集者だと思うので、本質は同じかな、と思います。

 勉強になります…太字でメモします!!!
「集英社みらい文庫」では、毎日どんなお仕事をされてるのですか??

 ひたすら児童文庫を刊行し続けています。笑 
そもそも児童文庫というのは、こどもたちが自分で手に取って読むジャンルなので、いかに楽しんでもらえる本を送り出せるか、が重要です。そのために、こどもの趣味嗜好、今何が流行ってるか、どういうマインドで生活しているか、そういうことをずっと考えていますね。

 こどもたちのマインドを考えるというのは、なかなか難しそうですね…!例えば、どういうところからヒントを得るのでしょうか??

 やっぱり、こどもたちの間で流行っているものがヒントになると思います。例えば、昨年末にAdoの「うっせぇわ」 という曲がリリースされて、こどもたちの間ですごく流行ったよね。うちには11歳の子がいるのだけど、「うっせぇわ」が流行り出してからというもの、すぐ「うっせぇ!」って言うんだよ…。
今のこどもたちは、まわりの大人があれこれ言うのをすごくうるさく感じていて、そのイライラがヒットにつながっているのかな、とか。
大人はうるさいものだって思っているのが今の子たちなのかな、ってしみじみ考えたりしちゃいますね。

木原さんメモ③


まずは私たちから、こどもたちに寄り添いたい

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【集英社みらい文庫の編集長!】


 こどもたちの流行やマインドを追いかけ考える、ということは「こどもの本総選挙」という活動にも通じるものがあると思います。
そこで、本題なのですが、木原さんがこどもの本総選挙事務局の一員になった理由を教えてください!

木 やっぱり、こどものことをもっと知りたいということかな。大人であるわたしたちが、こどもたちのことを知るためには、わたしたちの方からどんどんこどもたちに近づいていかなきゃいけないって思うんです。だから、こどもたちに「今まで読んだ中で1番好きな本」を投票してもらう、という取り組みを知ったとき、「こどもたちに近づくいい機会になるかもしれない!」って、ビビッときたんだよね。笑

― こどもたちのための本をつくっていくためには、こどもたちのことをたくさん知らないといけないってことですね。

 そうだね。
それに、わたしはもっと、こどもたちにとって本が身近であってほしいなって、思ってるのね。わたしがこどもだったころに比べると、今は本という存在がこどもたちから少し遠いところにあるような気がしています。本以外にも、ゲームとか動画とかいろいろ楽しいものがあるし、なかなかこう、スッ、と手を出さない感じがあります。

― たしかに、次から次へと新しいデジタルコンテンツがうまれてくる時代ですよね。

 だけど、本がもっともっとエンターテインメントになれば、こどもたちにとって、本はもっと身近になれる、と思っています。こどもがスッと手を伸ばすような魅力的な本が、溢れるくらいたくさんあればいいなと…。
だから、児童文庫の編集をしているときは、エンタメど真ん中っていうか、こどもたちが心からおもしろいと感じて、自ら手に取ってくれるものを作りたい、といつも考えています。

 こどもたちにとって、本当におもしろいものが、溢れるくらいたくさん…。すごくステキですね、ワクワクします!

木原さんメモ④


 こどもたちが「読みたい!!!」って思う本がいっぱいあれば、自然と日々本を読みたくなるはず…。それこそが、「本が身近にある」ってことになるのかなって思うんです。
そして、そんな「本が身近にある」ということの、延長線上に“こどもの本総選挙”があるんじゃないかな、っていうのがわたしの考えです。本というものがいつもそばにあって、その中から1番好きなものを投票する。そうしていつか、こどもたちが、「この選挙は、自分たちのイベントだ!」って考えてくれるようになったら、とってもいいなあ。

 木原さん…。今のお話、まだまだひよっこのうちに、お聞きできて本当によかったです。
これからずっと心に置いて、児童書出版社で働く人間としてがんばっていこうと思います…!

 なかなか難しいところだと思うんですけどね。笑
一緒にがんばっていきましょう!

 ハイ!!!!!!!
残念ながら、そろそろ時間切れです…今日は、お忙しいところ本当にありがとうございました!

 こちらこそ、ありがとうございました~!

木原さん写真

【またすぐ明日会いたくなるような、すごく大らかなお人柄の木原さん。これからよろしくお願いします!】

新人メンバー・井口によるインタビュー企画は、今後も不定期で連載していきます。どういうメンバーがこどもの本総選挙に関わっているのか、そしてそれぞれどういう思いで運営に携わっているのか、みなさまにお届けできればと思っています。よろしくお願いいたします!

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