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【読書記録】水沢文具店 あなただけの物語つづります

文具に興味が出てきたからこそ手にとりました。
そうだな、おすすめするなら中学生、高校生の女の子向き。でも、小学校の先生や、小学生のお子さんをお持ちのママさんも気分転換にいいかもしれません。元気な子どもたちがわいわいしていますから。ただ、現実描写へのツッコミはなしで。あんな場所ない、なんて言わないで。だって、ポプラ文庫ピュアフルから出ているから。純粋無垢に読んでいきましょう。そうしたら、お話の柔らかな世界観をきっと楽しめます。
時間を忘れ夢中で読めてしまったこの1冊。私は、好きです。

ペンとノートを買うと店主が自分のために物語を書いてくれる、そんなちょっと変わりな文具店が舞台。そこに訪れるお客さんたちのお悩み解決で話は進んでいき、文具店主人の過去も振り返りながら、なぜこんな風変わりなサービスが始まったのかが明かされていきます。なんだか夏目漱石の「こころ」を思い出したりします。ちょっと淡い恋もありますが、ピュアすぎてじれったい。どうやら、さらに続編もあるようです。

この本のネタは、最初別のアンソロジー本の短編として生まれたそうです。その本を読んだ読者が、「水沢文具店の続編が読みたいです。」とファンレターを送り、それが形になったようです。1読者の意見って捨てたものじゃないなって思いました。

やっぱり読者があってこその、作家なのでしょう。水沢文具店の店主も目の前のたった一人のために物語をつづっています。彼は、本業が作家ではないけれど、相手が望む形で物語を送るのです。それを読んだお客さんが、勝手に元気になっていくのです。
なんだかコーチングみたいだなって思って読んでいました。自分で自分を客観視して、自分の中に答えを見出し、未来の道を発見していく。コーチング好きな方も、読みやすくておもしろいのでおすすめです。

・十二色のチョーク
・花柄シャープペンシル
・金飾りの万年筆
・瞳の色のガラスペン
・白いノート
この5編が収録されています。読み終わった私は、このタイトルを見るだけで、あぁ小学校の先生が頑張っているな、いじめられていたあの子を救ってほしい、小説家ってこんな陽気なの?、輸入ノートのパラダイスじゃん、結局自分のための物語だよね、って次々と想いが浮かんできます。

物語のチカラはすごいです。
1冊の本の中に想いがぎゅっと詰まっています。
本こそ、めちゃくちゃコスパのいいエンタメだと思っているのは私だけ?

ご興味がある方は、ぜひ。


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