女の生き方
すごく狭い世界の話です。
私は女の人が多い職場にいました。保育園です。最近は、男の人もちょこちょこ入ってきていますが、女の中の男1人だと、どうも注目を浴びるみたいで、よくイジラレテいました。そんな男性保育士の先輩がいてくれたから、新人の私は影に隠れて観察することができたのです。
女の生き方を。
上司は、もちろん女性ばかりでした。私が勤める前には、男性もちらほらいましたが、現場の反発にあって、現場から叩き上げの上司の方がなにかとわかってもらえることがあるというので、だんだん今のスタイルになったようです。でも、管理職の希望者はいつも少ないのが現状でした。
①女は上を目指さない。
仕事以外の、動員といわれる活動もあって、近所の祭りのお手伝いにいったり、ビラ配りをするなんてこともありました。たまたま、男性職員とペアでいくことになり、帰りにランチを一緒にしてから解散なんて日もありました。その次の日、職場の女性パートさんから、「ねぇ、○○先生と2人でラーメン食べたんだって?」とツッコミがあり、ビビりました。なぜ、あなたが知っているのでしょう……。別に、やましいことは何もありません。
別の職場では、研修が一緒になり、帰り道に話しながら歩いていました。
そんな時、男性職員からこんなことをつぶやかれました。
「みんなで一緒に飲みに行くとか、なるべく参加しないようにしている。」と。「奥さんが、気にするんだよねぇ」と。
なるほど、いくら職場とはいえ、女の園。その中に、自分の夫が働いていたら気になるのが女なのでしょうね。(色気なんてない、元気いっぱい、問題いっぱい、騒々しい現場だけれども)
まぁ、そういう悩みもあるんだなぁ。なんて、思いました。
②女は嫉妬する。
女の職場とはいえ、立場はいろいろでした。正社員、臨時職員、パート、業務士(給食室の先生)、パートさんが休みの時専用の臨時パート。そして、たまにやってくる実習生たち(学生や、子育て支援研修の方)。
それぞれの立場で、いろいろな悩みがありそうでした。
正規職員はやることが多すぎて責任感のために、休みがとりにくいです。その反面、ボーナスや福利厚生などがあるので安心感と安定感が半端ないです。
臨時職員は、給料が安く立場が弱いので、意見がそもそも言いにくそうです。そして、雑用が回ってくるので不満が溜まっていました。
実はパートさんたちが一番強い所もあります。(経験年数が長いため)保育園内の人間関係を熟知していて、「どの保育士が嫁に適しているか?」なんて妄想ゲームをしている余裕がありました。マダムたちは強いのです。メインは保育士のサポートなのですが、この方たちの察する力次第で保育士のやりやすさは違ってくるのです。(力量とは、見聞色の覇気の力なのかも)
業務士さんは、そもそも子どもたちが大好きだけど、関わる時間が少なくてちょっと寂しそうでした。気の利く保育士が子どもを連れて挨拶に行ったり、声をかけたりしている姿を見て、そういうのって大事だよなって思っていました。厨房内の夏はブラック環境だそうで、感謝と尊敬しかありません。フリー保育士になった時に、お手伝いで入ったら、メニューによっては野菜を切りながらおしゃべりできるぐらいの余裕はありました。(こっちは、カリフラワーのカットで必死でしたけれども)
たまにしかお顔を見かけませんでしたが、臨時パートさんたちは兼業って感じだったので、別の職場の様子が聞けて面白かったです。実習生からは、今の大学の様子を、子育て支援研修員からは、わらべうたの内容にびっくりされたり、ベビーシッターの裏側を教えてもらいました。(監視カメラ付きのお家でお預かり体験談など)
いろいろな方とおしゃべりをしていて気づいたのは、女の人生はいろいろなルートがあるのだなってことでした。そして、面白い話をもっているのは、いろいろな職場で働いたことのある人たちでした。
名古屋駅の本屋さんでバイトした人、障がい者の旅行補助として勤めている人、生協のお手伝い会員に登録している人、自分で服を作って売っている人(コロナ禍の時にはマスクを作ってくれました)、専業主婦だった人、事務仕事を手伝っていた人などなど。
③女の人生の選択肢はけっこう多い。
賃金に関してはやっぱり正社員が一番待遇がいいです。ただ、その分、時間と責任感を労働対価として支払っているので、どこを優先するかで人生で体験していくことが変わってきます。そういうのは家庭の状況次第でしょう。
私は、17年勤めてやり切った感があるので、次の道を歩いていますが正直お金は稼いでいません。退職金を切り崩して、楽しんで生活しています。お尻に火がついたら、保育士に戻るのもありでしょう。
同僚で、同じく仕事を辞めた方がいます。以前ランチに行ったら、現在は病院事務をしているとのことでした。保育士の前は証券会社だったというから、いろいろなキャリアを渡り歩ける方です。その方は、証券会社の時に培った、株の知識で結構いい感じにやっているそうです。そういう稼ぎ方だって、世の中にはあるのです。
今もずっと続けている同期もいます。きっとあの子は将来園長になっていくでしょう。もっとお金を稼ぎたいし、上を目指したい人もいますから。
別の友だちは、SNSの運用代行の仕事をとって、在宅ワークを実現していましたが、あまりに人寂しくて先日保育士のパートに戻ったようです。子どもの塾代を稼ぐために仕事をするって聞きました。
ママ友は、建築の会社の事務でパート採用されたそうですが、近くに姉妹店のパン屋があって、そこから残り物のパンをゲットできるって喜んでいました。そんなおこぼれも家計にはいい足しになります。こんなメリットがある職場だって探せばありそうです。
まぁ、中には家族が資産家で、お金の心配がない方もいるのでしょうね。うらやましい限りですが、それはそれで嫉妬を受けて大変かもしれません。
④ 稼ぐ方法もいろいろある。
まぁ、観察ばかりしていても自分の人生を決めないと先には進めません。
結局は、いろいろ見たり、聞いたり、感じたりしてきた中で、自分が選びとることです。偉そうに、女の生き方は○○!なんて言うつもりはありません。
ただ、みんながそれぞれの道を歩んで、楽しければそれでいい。たまに、こんな私と出会ってくれて楽しく話に花を聞かせてくれたら、私はもうそれで満足です。
どうやら私は、ずっと観察を楽しんでいるみたいです。女の人たちを。
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