みどりの日は、草餅の日!
青空に新緑が眩しい5月4日、みどりの日。
絵本『きかせてあなたのきもち 子ども権利ってしってる?』の著者ふたりのトークイベントを、絵本の原画展を開催されている東京赤羽にある青猫書房にて行いました。タイトルは「わたしの気持ちと子どもの権利〜語ることからはじめよう〜」です。参加はスタッフを含め12名。アットホームな会となりました。
前半は、長瀬正子さんと私(momo)による絵本を作りじめた2年前から現在に至るまでの変化や、子どもの権利を知ってからのこと、気持ちと権利がつながりについてなど、台本なしのフリートーク。後半は、この原画展のために選んだ子ども権利に関する絵本や本を、正子さんが様々なエピソードを交えながら楽しく紹介してくれました。
そして、会場のみなさんにも参加型のきもちカードを書いてもらったり、この日の感想などを聞かせて頂き、とても素敵な時間となりました。この日のトークの前半部分は、ひだまり舎さんより有料でアーカイブ配信される予定です。
さてさて、ここからはアーカイブでは配信しないドキュメンタリーなお話です。実はこの日、もうひとつ皆さんと深〜く共有できたものがありました。
それは ……
どういうことかと言いますと…
実はこの日、母・仁美さんが初めて私のトークイベントに信州から来ていました。そしてなんと、どうしても皆さんに食べさせたいと大量に草餅を作って会場に持って来たのです。あちゃ〜っ、聞いてないし、まだコロナ下だよー。しかもここは、東京の原画展をしてる書店で、近所の茶飲み友達の家じゃないのに〜。なんてこと!
呆然とする私をよそ目に、仁美さんはぶっちぎり。例えば、会場の参加型のきもちカード。いまの気持ち、我慢していること、やりたいことなど、だれかに伝えたいことは?という問いに、「娘と皆さんに私の作った草餅を食べて欲しい!」と書いて壁に貼る。イベントの感想を求められても、最後に自分の作った草餅の話をして、みんなの前で草餅の入った紙袋を私に手渡す。もう、これじぁ誰も草餅を食べないなんて言えないですよねー!?
思えば、私たちはずーっと不器用な親子でした。本当に言葉が足りなかった。今でも話せば食い違い、腹が立ち、後悔する。だから相談しない。そして、こうなる。気持ちを伝え合うって難しいんです。あーもーっ、今日は草餅じゃなくて絵本なのに!
ん? でも今日はいつもと何かが違う…
あれあれ〜?
気づくと会場の皆さんが美味しい、美味しいと草餅を笑顔で頬張っている。その姿を見て喜ぶ仁美さん。あっちからも、こっちからも、草餅がいかに美味しいか感想が飛んでくる。何だかみんな何だか幸せそうだ。本当にありがとうございます!
そうして、気づいてしまったんです……
そうかっ、この草餅こそが仁美さんの気持ちなんだと。家の庭でよもぎを摘んで、洗って、茹でて、刻んで、蒸した上新粉に混ぜて、炊いたあんこを包んで出来た草餅…。子どもの頃は、一緒に作って楽しかったな。きかせてあなたのきもち?!いや草餅?語ることからはじめよう?草餅つくることからはじめよう?!
「私の子育ては落第点だと思っています。でも、今日は娘がたくさんの素敵な人たちに囲まれて幸せです。」と語った仁美さん。本当は草餅を作るように丁寧に子育てしたかったんだね。誰かと分かち合えたらよかったね。でも、そう出来なかったには訳があったんだよな……そんな想いで、会場をぼんやり眺めていたらあるイメージが湧きました。
あっ、この時間と場所が草餅なんだ……
はみ出しまくる仁美さんがあんこ。それを優しく包み込む会場のみなさんが、若草色の香り豊かな柔らか〜い餅なんだと。そう思ったら、肩の力が抜けて、もう自分だけであんこをまとめようと頑張らなくていいんだな〜、お餅に任せよーという気分になりました。
あぁ、草餅マジック!
トークの最後に、正子さんが『ほしいのは「つかれない家族」~ワンオペ家事&育児に絶望した私が見つけた家族のシアワセ』(今回の原画展にあわせての子どもの権利について考える子どもとおとなのおすすめ本の1冊です)に書かれたフランスで暮らす家族の言葉を紹介してくれました。「私たち家族は、社会に守られているという実感がある。」
ん〜、私はいま草餅に包まれている実感がある!
家族の枠だけに囚われすぎず、もっと柔軟に包んだり包まれたりしながら生きていけばいいのだな。はみ出したって大丈夫!という安心な社会。
親がいてもいなくても、一緒に暮らせても暮らせなくても、いい親じゃなくても、素直な子どもじゃなくっても、どんな境遇や環境にある子どもも、ひとりだけで頑張らせない社会。
子どもの権利条約はすべての子どものたちが育ち・守られ・生きることを保障しようと言っているよ。
うんうん、やっぱり大賛成!!
みどりの日は、草餅の日。
原画展は、5月23(月)まで開催しています。