一年生の宿題
こんにちは。こどもえりです。
「学校の宿題でこんなのが出るんです。もう、これに時間がかかって時間がかかって。」
学校帰りの息子をピックアップして、教室に送り届けたBくんのお母さんから、悲鳴めいた相談がありました。
それは、どんな宿題かというと…
国語ノートに今日は「あ」のつく言葉、明日は「い」のつく言葉、その次の日は「う」のつく言葉というように、言葉を探して書いていくというものでした。
ひらがなの書き取りの練習も兼ねていて、Bくんの書いた字は、いくつか朱で直されていて、書き直した後がありました。
1年生の今ごろ、この「言葉探し」の宿題を出す学校の先生がいらっしゃいます。私、個人的には好きな課題です。
言葉遊びによって語彙力や表現力をつけることができるし、見聞きした言葉をアウトプットすることで、子どもがその言葉を使えるようになります。言葉がなかなか見つからないときには、辞書や百科事典の索引を使って調べ、新しい言葉を覚えていくきっかけにもなりますし、自然に調べ学習の扉を開くこともできます。「うーん」と考えて思考体力もつきますね。
ですが、Bくんとお母さんには、とてつもなく負担が大きい課題だったのです...。
「学校でヘトヘトになって帰ってきてから、もう、この宿題をするのに1時間くらいかかって...。ちょっと今日見てもらえませんか?」
「分かりました~。今日の学習の後にちょっとやってみますね。」
さて、何に苦労されているのかな...とノートを見ながら思案。ひらがなもまずまず上手に書けているな。言葉を見つけるのに時間がかかるのかな?まぁ、やってみるか。
今日のお題の字は「う」。と言うことは、課題が始まって3日目か。
私:「Bくん、学校からこんな宿題があるんだね。こんなにたくさん言葉を見つけられてすごいね。どうやって探してるの?一人で考えてるの?」
B:「うん。ぼくが考えてるけど、わかんないときには、ママにも考えて教えてもらってる。」
私:「そっか~。楽しそうだね~。」
B:「たのしーく は な い」
(私、心の中で苦笑。そっか。すでにマイナスイメージか。。。)
私:「そう?しりとりみたいに言葉を探すのって、楽しいじゃん。Bくん、しりとり得意だったよ~。」
B:「しりとりはいいけど~。これは、たくさん見つけて書かなくちゃいけないから時間がかかるんだよ~。」
私:「そっか~。書くのが大変なんだね~。昨日もがんばって書いてるね~。今日、この宿題先生とやって帰っちゃおうか~。」
B:「今からこれ全部するの?」
時計を気にするBくん。今から1時間くらいかかると思っているのかしら。
私:「う~ん。全部できたらお家でしなくていいから、ゆっくり好きなことができるんじゃない?でも、やってみて大変だったら途中まででもいいしさ、やってみようよ。」
B:「う~ん。」
しぶしぶ?ノートを開きました。
私:「『う』のつく言葉で思いつくのある?」
B:「あるよ。『うし』『うま』『うさぎ』『うに』『うんどうかい』。」
私:「見つけるの早いね!まずそれを書いていこうか!」
Bくんは、一文字一文字ていねいに書いていきます。枠からはみ出しちゃったと消し、なんか変だと言って消しをしながら、とりあえずここまで、一行とちょっと書きました。
B:「あと、何があるかな。う、う、う~。うめぼし。う、うちゅう。うそ。」
またここまで書き終えました。まだ5分くらいしかたっていません。順調です。
私:「もう3行も書けたね。もうこれ全部できちゃうんじゃない?」
B:「ここからが時間がかかるんだよ~。う、う、う~。」
私:「『う』は最初につかないといけないというきまりなの?」
B:「ううん。途中でもいいんだよ。」
私:「そしたらさ、『はっけよいのこった』とかあるよね。」
B:「おすもうね~。」
書き書き。そして思案。
B:「ほら~もう見つけられなくなってきた。」
手が止まっています。不満顔。
私:「ほら、くさいのもあるよ。うん○とか。」
B:「それは学校の先生に見せるから書きたくない。」
ちょっと盛り上げようと思ったのに、撃沈です。
私:「そうだよね~。」
「食べ物でないか探してみようか~。」
B:「う、う... あった。うどん。」
「う、う... ウインナー」
「う、う………。」「ない。」
私:「先生大好きなんだけどさ、ご飯の上にのっけて食べるとおいしい、
甘いタレがついているやつ。わかる?」
B:「わかんない」
私:「にょろにょろとしてて、へびみたいなんだけど、食べると…」
B:「わかった。うなぎ。」
おお、このヒントで分かった。
B:「うなぎって書くより、『うなじゅう』って書いた方がたくさん書ける」
文字数稼ぎのコツも考え出しているようです。そして残り2行になりました。
が、またここで鉛筆が止まりました。思考も途切れがちに。ここまでBくんが考える時間を大切にしてきましたが、やり始めて15分が近づき、疲れも見えてきたので、そろそろすっきり終わらせた方がいい頃合いのようです。
私:「Bくんが今日行ったところは?」
B:「○○しょうがっこう。あ、『う』がつく!」
私:「学校で食べたものもあるかも~。それからさ、今日の時間割にもあるかもよ~」
B:「きゅうしょく。さんすう!」
「あ、給食のぎゅうにゅう!!」
驚異の追い込みでした。文字数の多いものを見つけて、残り2行はあっという間に埋まりました。
B:「なんか今日、早かった。」
私:「うん。15分くらいでできたよ~。Bくん、この宿題得意だね~。すらすら見つけられたね~。」
B:「そうかな。」
私:「うん。そうそう。また、次の時も持っておいでよ。先生も楽しかったし、一緒にやろう。」
B:「うん!」
Bくん。満足して帰ります。
もちろん、Bくんの集中できる時間を考慮して、教室で学習する課題量は調整しましたよ。
お母さんにプチアドバイス
お迎えに来たお母さんに、15分くらいでできましたよ。とお話しするとびっくりされていました。ええっ。おうちではもう全然で、、、。と。
やっぱり、学校からお家に帰ると子どもものんびりモードになってしまうというのもあると思います。
そこで、お母さんに2つプチアドバイスをしました。
①最初に目標時間を決める。
今日の様子だと、達成できそうな20分位が最初はいいかもしれません。それができたら、ちょっと楽しいことをする。公園に行くとか、チョコを一個食べるとか、そうすると脳もドーパミンを分泌して、やる気もアップします。
②お母さんも一緒に楽しんで、面白おかしく。
Bくんがある一定時間考えて、煮詰まってきたら、お母さんと楽しくthinking timeでいいと思います。比較的まじめなBくん。私が提案した「うん○」もさらりと却下されてしまいました。宿題もまじめに取り組んでいるのかもしれません。ママとお話ししながら楽しくすっきり終われて、この課題をするのが好きになってくれたら万々歳です。
お家でもうまくいきますように。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
では、また(●'◡'●)
こどもえり
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