うさぎ年 (掌編小説)
「らいねん(2023年)ってなんにちー?さんびゃくろくじゅうごー?ろくー?」
「えーっと、ねー…」
まだ丸みを保ったまんまのカレンダーのちょいと先のほうの2月にごあいさつ。末尾には、28の数字。
「うーんと、ねー。……ごー、だねー」
「えー。ごー、かぁ。そっかぁー」
ふふふ。そうそう、閏年かどうかって、あるとき(そんなのあんだぁ)ってよろこんでたおぼえがある。
あのこは?というと聞いたそばから、もうべつのなにかに夢中になっている。
カレンダーの四隅の端っこの丸みをすこしだけ(ぺたん)と戻したくて、本棚からお気に入りのどうぶつ図鑑と、しょくぶつ図鑑、うちゅうの絵本をおかりしました。あと図書館でかりてきた料理の本と。
「お昼、やきそばにしよっかー」
「うんー。でも、にんじん、きらい〜」
「(!!)…… カレー味のやきそばだのに〜?」
「えー(!!) じゃあー、たべるー(!!)」
○
カレンダーの下の方のすみっこには、まだ(ぴょん)と丸みのついた跳ねがのこっている。
(川柳)
(了)
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