見出し画像

こどもの細菌性髄膜炎について

以前、ウイルスによる髄膜炎のお話(無菌性髄膜炎)は対症療法で一般的には予後が良好だとお話しました。
じゃあ髄膜炎って、、そんなにこわくないじゃん
と思われた方もいるのではないでしょうか。
では、細菌による髄膜炎が起こるとどうなのか、今日は細菌性髄膜炎についてお伝えします。

★細菌性髄膜炎とは
細菌に対する治療は抗菌薬があるとはいえど、発症すれば致死率の高いこと・救命できたとしても重篤な後遺症を残すことがこどもにおいて怖い感染症だといわれています。

★原因
原因となる菌は多種類ありますが、年齢や基礎疾患によって特徴があります。
新生児~生後3か月 
B群れんさ球菌・大腸菌・黄色ブドウ球菌・リステリア菌
生後3か月以降の乳児~幼児
インフルエンザ菌(ほとんどがHib)・肺炎球菌・黄色ブドウ球菌
年長児~青年期
肺炎球菌・インフルエンザ菌・髄膜炎菌
成人
肺炎球菌・髄膜炎菌
高齢者(50歳以上)
肺炎球菌・グラム陰性桿菌・リステリア菌・黄色ブドウ球菌(MRSA)

★感染経路
多くが飛沫感染です。
新生児のB群れんさ球菌感染症は産道感染も考えられています。

★★こどもに心配な細菌性髄膜炎の原因菌
インフルエンザ菌(Hib)
・ワクチン導入前の日本ではヒブ髄膜炎の発症は年間600人で、約2.3%が死亡、約15%が脳障害や聴覚障害の後遺症を残していました。
・生後3か月から5歳ぐらいまでが好発年齢で、特に2歳以下に多いです。
・抗菌薬で治療は出来ますが、ワクチン導入前は薬剤耐性菌が増加していました。

肺炎球菌
・肺炎球菌は1歳児の30~50%が鼻腔に保菌しており、保育施設の入園後1~2か月でその保菌率は80%以上に上昇します。
・肺炎球菌は気管支炎や肺炎、中耳炎なども起こします。
・ワクチン導入前の日本では肺炎球菌髄膜炎の発症は年間200人で、約6.7%が死亡、約30%が脳障害や聴覚障害などの後遺症を残していました。

髄膜炎菌性髄膜炎(侵襲性髄膜炎菌感染症)
・髄膜炎菌による感染で、発熱・頭痛・嘔吐から意識障害が起こります。
・細菌が血液中に流出して敗血症や菌血症が生じることがあり、全身の出血傾向になります。
・播種性血管内凝固症候群や副腎出血に急速に侵攻し、この場合の致死率が10%、回復した場合も10~20%で聴覚障害、まひ、てんかんなどの後遺症が残ります。

これらの病気からこどもを守り、早い年齢から免疫をつけるため
定期予防接種が生後2か月から接種できます。
ヒブワクチン
(5種混合ワクチンであればヒブワクチンは含まれています)
1回目 生後2か月から
2回目 1回目から4~8週あけて
3回目 2回目から4~8週あけて
4回目 初回から7か月以上の間隔をあけて1歳早期に
肺炎球菌ワクチン
1回目 生後2か月から
2回目 前回から4週間以上あけて
3回目 前回から4週間以上あけて
4回目 前回から60日以上あけてかつ12か月以上~15か月未満

ワクチン情報に関しては
日本小児科学会「知っておきたいわくちん情報」を参照ください。

毎日Instagramでこどもに関するライブ配信中です🌞






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?