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1人酒場飯その44ー「呑んだ後の空きっ腹には場末中華がよく似合うin仙台」

足元がフラフラしている。仙台出張で会社の上の方と呑んだ時、1時間半近くで日本酒4合淡々と呑んでしまった。

いつも嗜むのを心掛けるのになんとも我ながらブレーキが壊れたものだ。前々から書いてはいるが僕はそんなに酒に強いわけじゃない、酒場飯が好きな割に、だ。

しかし、まあ、すきっ腹にアルコールというのはどうしても火が付く。つまみでおでんや煮込み、マカロニサラダを煽ったがちょこちょこっとだけだと、アルコールとつまみがぐるぐる胃袋で回って落ち着かなくなってしまう。

酔いにガツンと来る、中華を胃袋にねじこんでやりたい。そう思いながら上の人と別れてからフラフラと街中を歩いていた。

しかし、仙台は広い。

 駅ナカでも仙台を代表する牛タン屋の系列店があったり、意外にも焼肉、ホルモンの店が多い。牛タンのついでなのだろうか?

 それに魚介やディープな一番街まである。東北の中心地だけはあるな。それよか、東京より幅が広すぎて店を探すのが難しい地でもある。

 中心地のアーケードから青葉通りに出てきた。

 このまま直進すれば公園の方に出るな。そう思いながら歩道橋を渡り、あるビルの前で立ち止まる。すこしばかりお洒落で、好立地なフォーラム仙台の前で。

 「・・・中華、餃子」その文字を見つけたのは地下街への誘い。カラオケの看板が目立つが負けずに中華風のキャラが目立っている。なんか、いいかも。餃子に誘われるようにフォーラムの地下へと降りていく。

 階段を降りてすぐに目が付いたのはカラオケ店。凄く目立つ。

 これ、本当に中華食堂あるのかよ。

 不安にかられるが奥まで伸びる廊下にショーケースがあるのが目に入った。

 あそこか、本当にこんな地下にあったよ、場末の中華食堂が。「北京餃子」が。

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 ディスプレイケースに並べられた、見るからに豪快な量の料理のサンプルの金額表示がそそる、安い。しかも単品も選べるのか。

 メガチャーハンだの、麺1キロだの目に入る情報すべてが酔いの頭に、どさりと入ってくる。

 なるほどこういうタイプの町中華か、受けて立ってやろう。

 店前の券売機に札を突っ込み、恐らく普通盛りより多いことを示す5/8チャーハン、キクラゲと卵と豚肉を炒めたレシピである『木須肉(ムース―ロー)』、店名の元になっている『北京餃子』の食券を買い、いざ鎌倉。合計で1200円、安い。

 店内は思ったより広い、というか客層が若い。

 おいおい、学生が集まってるじゃないか。これは飛んだアウェーに飛び込んだ気分だぞ。なるほど、この安さとディスプレイから読み取れるあのボリュームならサラリーマンや学生の味方だな。

 若者のグループを傍目に食券を厨房へと持っていき提出する学食スタイル。懐かしいわ。食券をオーダー役の店員さんに渡した後、すぐに1人用のカウンター席に陣取り、自分のメニューが呼ばれるのを待つ。

 「---番5/8チャーハンのお客様…」席についてものの5分しか経っていないのに早々と呼ばれた。早い、手早い。まだ心構えが出来てない。チャーハンの後すぐに木須肉も付いてくる。プラの御盆の上がチャーハンと木須肉で混雑しているぞ。

 チャーハンは実にシンプルでこねくり回さない、いい焼き目の炒め具合のザ・王道チャーハンだ。これが実に憎い、美味い。少し味は濃い目寄りだが、しっとりとした感じとパラッとしたバランスがとても良い。これはワシワシ喰ってしまうタイプだ。

また、そこにセルフでトッピングが出来る紅ショウガが合う。

 チャーハンに紅ショウガ、これはアリだぞ。大アリだ。

 黄色とキクラゲの黒が眩しい木須肉が次の一口だ。

 コリコリしたキクラゲと卵が見事にマッチしている。あまり知られていないメニューだがハマるととにかく食べたくなるのがこの料理の奥深さだ。その奥深さに対して味付け甘じょっぱいのがまた憎い。これは進むな、やばい。

 さあ、ここで店の名の由来である「北京餃子」が焼き上がった。

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 小ぶりだがしっかりとした餃子。だが一皿190円はやりすぎじゃないか?

 そんな心配など無用か。

 小ぶりな餃子を一口で食べてみれば皮の絶妙な薄さと中身の餡の強さが主張しているのに丁度よい合わせ技となるのだ。それにあふれ出る肉汁が全てを纏めてくる。能ある鷹は爪を隠す、美味い餃子は餡を隠す。やられた。

 餃子、チャーハン、木須肉のローテーションをあっという間に平らげ、地下から地上へと上がる。

 ようやく酔いも覚めてきた。こういう中華食堂締めもいいもんだ。改めて酒の締め方の多様性を感じるのであった。

今回のお店
北京餃子
住所 宮城県仙台市青葉区一番町3-11-15 FORUS B2F
定休日 無給
営業時間 11時~21時


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