蘭州麺旅。
春秋吉祥サブスクチャレンジ、第12弾は甘粛省の省都、蘭州です。
蘭州は西安とならぶ西北エリアのハブ。 新疆ウイグル自治区や同じ甘粛省で世界遺産で有名な敦煌などへの乗継拠点でもあり、便数も人気も多くなっています。
ぼくのように遠くへ遠くへと行きたがるサブスクチャレンジャーがよく使うらしく、サブスク用の座席はすぐに埋まります。なので、相当前からこの蘭州便を確保していました。
蘭州といえば、蘭州ラーメン。現地ではシンプルに牛肉麺と呼ばれるこの麺は、中国で誰もが知る名物料理です。どこに行ってもお店があり、お値段はだいたい10元以下と安く、お味も大きなハズレがない。日本でも数年前からポツポツと出はじめてきたようですが、もっと普及してほしいと切に願っています。
さて、この日は上海虹橋空港からのフライト。行先は蘭州と、そこから乗継の敦煌です。
搭乗口では蘭州(Dunhuang)と敦煌(Lanzhou)が交互に表示されていました。言うまでもなく、蘭州は「Lanzhou」で敦煌は「Dunhuang」ですが、両方併記したら情報量が増えるという工夫ですね。
と思いきや、気づいたら蘭州(Lanzhou)に修正されました。単純なミスだったようです。
ところで、ぼくはトイレが近く、普段は必ず通路側に座るのですが、今回のフライトはなぜか事前の座席指定ができず、期せずして窓側に座らされました。搭乗前の水分補給は最低限にして、3時間強のフライトに備えます。
窓側の一番のメリットは窓から眺める景色です。西北へのフライトは日本ではまずお目にかかれない絶景や奇景に出会えます。この日も晴天。高度を落としはじめてからはかぶりつくように窓を覗き、ひたすら写真撮影です。
蘭州中川空港から市内まで
そして、蘭州中川空港に着陸。
蘭州中川空港は市街地から離れたところに位置し、空港バスのほか、専用の「城際鉄路」も走っています。バスなら片道15元で1時間半、鉄道ならほぼ同じ片道17元で40分。こう見ると鉄道が圧倒的に有利ですが、発車間隔がまちまちな鉄道はなかなかバスの客を奪えないらしく、この日も閑古鳥が鳴いていました。
城際鉄路(C列車)のカラーリングは独特の緑色。復興号がベースだからか、緑と黄色です。中川空港から蘭州市内までを鈍行並みのスピードでのんびり走っていきます。
張国仁牛肉麺館
蘭州西駅に着いたのは15時過ぎ。2019年に開業したばかりの地下鉄に乗り、最初のお目当て、張国仁牛肉麺館へ。
事前情報によると、以前は埼玉の西川口、いまは東京の広尾にお店を構えるザムザムの泉さんのご親戚とのこと。
牛肉麺を注文し、チケットを麺の窓口で渡すと、麺の太さとラー油の量を尋ねられます。
麺は細い順で、毛細、細、一細、二細、韮葉、寛、大寛というのが一般的。ほかにも、うどん並みの太さの二柱子や三角麺などもあるようです。
1杯目は一番ポピュラーと思われる二細でオーダー。注文後に手で延ばした麺がお湯のなかでゆでられ、手際よくスープ、ラー油、ねぎが添えられていきます。
どばっとかけられたラー油が印象的ですが、辛さはそれほどでもなく、コクと風味を加えるためのアクセントといった趣です。
蘭州ラーメンのキーワードは、一清二白三紅四緑五黄。牛骨ベースの澄んだ透明のスープ、白い薄切りの大根、たっぷりかけられた赤いラー油、アクセントとなる緑のパクチーと葉ニンニク。これらの下に埋もれている黄色の麺をお箸で発掘し、五色一気に口のなかへ。
張国仁牛肉麺館の牛肉麺はシンプルに美味でした。これを基準に、2杯目、3杯目と行きたいところです。
蘭州ラーメンのお店は、そのほとんどが朝からお昼、だいたい14時から15時までの営業です。張国仁牛肉麺館は例外的に22時までと長いのですが、この日蘭州に着いたのが15時過ぎだったため、初日はやや遅めの昼食の1杯目で打止めです。
馬安軍辣子牛肉麵
翌朝、朝6時。2杯目、馬安軍辣子牛肉麺を開店直後に訪れました。
中国の西部に位置する蘭州。同じ北京時間ながら、上海より日の出は1時間以上遅くなります。この日の日の出は7時半。6時ともなると当然真っ暗です。
馬安軍辣子牛肉麺の特徴は、その店名にもあるように激辛のラー油です。1杯目の張国仁牛肉麺館以上にたっぷりかけられたラー油。それがしっかりからむように、麺は一番細い毛細でオーダー。
あっさりしたスープと特濃激辛のラー油のコンビが絶品でした。
磨溝沿老字号牛肉麺
2杯目を食べたその足で、地下鉄で1駅、磨溝沿老字号牛肉麺へ。
食べた3杯のなかでスープに最もコクがありました。でも、完全にぼくのせいですが、オーダーした極太麺の二柱子とはあまりマッチしない。
朝から2杯食べたあと、ホテルに戻って休憩。お昼にもう1軒、郊外にある陳記清湯牛肉麺という評判のお店に行くつもりでしたが、炭水化物を摂取しすぎたためか、ものすごい眠気とダルさ。ベッドに沈没し、結局お昼の幻の4杯目はあきらめました。
チェックアウト後、黄河までふらふらと歩き、ベンチに腰かけ、その濁流かつ激流をぼーっと眺める。
サブスクチャレンジは後半戦、中国生活もラストスパート。エネルギーをきっちり補給したので、また来週からがんばろう。