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小樽と札幌を満喫する3日間(車いす、旅に出る その4)
最終日の朝はカフェでまったり
3日目は最終日。
残念だが朝から小雨が降っている。ただ、この日は行く所を特に決めていない予備日だ。だから無理に出かけることはない。
妻の提案でホテルの1階にあるカフェに入ることにした。来た時から気になっていたという。私は全く気付かなかった。そこで雨が止むまでまったりとしよう。
レジでコーヒーを頼んでテーブルに座った。運んできたコーヒーを見て少し驚いた。コーヒーの粉が入ったままの容器と、空のカップと、砂時計がセットになっている。
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店員は「砂時計が全部落ちたら飲み頃です。濾してカップでお飲みください」といった。なるほど、自分で好みの濃さに調整もできるのか。
単にコーヒーを飲むのではなく、そこに至るまでの時間を楽しむ。遊び心があってよい。じっと砂時計が落ちるのを見ていると、時間がゆったりと流れるようだ。
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雨の小樽運河を窓の外に眺めてコーヒーを飲んだ。
娘たちは昨日行った「ポートマルシェ」にお土産を見に行きたいらしい。妻はここでのんびりしたいということだ。私はホテルのロビーを見たいと思い、一旦解散になった。
壁の帆船が気になる
何が見たいのかというと、壁の棚に飾ってあるいろいろな模型である。私はこれに興味をひかれたのだ。模型と言ってもとても古いもので、帆船は木と布で作られていて、クラシックカーや路面電車はブリキ製だ。かなり年季の入ったアンティークばかりだ。
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特に帆船が気になって、近くで見た。信じられないほど丁寧に再現されていて、見事だ。埃もない。芸術作品と言ってもいいのではないか。これに気付かずに通るだけではもったいない。時間があってよかった。
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娘たちが戻ってきた。雨は降っているが徐々に止みそうで、駅に行くには今がいいだろうと言うことだ。
それではと、荷物を取りに部屋に戻った。忘れ物がないように気をつけて、ロビーに戻りチェックアウト。
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ホテルを出た。さすがに小雨でもこれだけ降っていたらレインコートは欠かせない。今度は帽子も被って。レインコートを深く被っても帽子のつばが遮ってくれる。よしよし、我ながらいい作戦だ。
三角市場にチャレンジ
雨の中、小樽駅まで坂を登っていった。駅の近くに「三角市場」という施設がある。ここも妻が見たいと言っていたところだ。
時間は十分あるので行ってみよう。ところが駅から行くと階段を上らなければならず、古い建物でエレベーターなどないようだ。私は行けないかもしれないと断念しかけた。
しかし昨日の夜、タクシーで駅前を通った際に、道路に面して三角市場の入り口を見たような気がした。それはきっと駅側の入り口ではない。そこからならいけるのではと思い、行ってみることにした。
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すると国道沿いに、三角市場の看板が記憶の通りにあった。入り口もフラットだ。しかし中を見ると、観光客がひしめき合っており、とても入れない。私はあきらめて退散することにした。残念だが、他人に迷惑をかけるより良い。3人はそんな私を見向きもせず、興味津々で入って行った。
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私は1人で小樽の駅に戻った。あと100mほどで駅に着く頃、雨が突然強く降ってきた。気持ちは慌てても、ウィルは慌ててくれない。レインコートがたっぷりずぶ濡れだ。駅の軒下に着いた。
時間をかけて水滴を振り落とし、片手で膝の上のポーチにしまった。すると、みんながもう帰ってきた。ずいぶん早いな。どうしたのだろう。
「入ったまではいいけれどすごく混雑していて、後ろから人に押されているので、立ち止まってゆっくり見たいけどできない」のだという。あれよあれよという間に、何も購入できずに出てきたのだそうだ。まあ雰囲気が感じられただけでもいいんじゃないか、と笑いあった。
小樽駅を今更ながら拝見
小樽駅には、小規模ではあるもののお店が並んでいるエリアがある。その中に「タルシェ」という地場品を取り扱うセレクトショップがあった。三角市場で何も食材を買えなかったので、ここで駅弁を買おう。私はカニの弁当にした。
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小樽駅は着いた初日が夜だったので、その姿を気にしてはいなかったが、時間に余裕がある時に見ると趣のある駅舎だ。外観からレトロな雰囲気を纏っており、内部もクラシックで、高い天井と窓ガラスが広くて明るく、小樽の街を象徴するようだ。これも歴史ある建物なのだろう。当然に写真に収めた。
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改札付近でスマホを構えていると、「案内」と書かれた腕章をつけた女性が声を掛けてきた。私が乗車時刻と名前を告げると、ピンときたようだ。すぐに改札口に伝えに行った。
やがて時間が近づいたので、ホームへ行くと電車が到着していた。そこにはスロープを持った駅員さんがいて、笑顔で出迎えてくれる。あまりの手厚さに面はゆい気持ちになった。
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雄大な石狩湾を車窓から
車両に乗り込むとき、はたと気づいた。昨日、北海道ワインのソムリエが話してくれたことを、私は「ワインという飲み物を通じて、多様な人々が繋がっている」と解釈したが、観光も同じではないか。小樽という素材があって、観光地として整備する人々、またおもてなしする人々がいる。私たちは楽しい時間を過ごすが、そこに何気ない出会いという繋がりがあって、心が動くのかもしれない。
そう考えると、この度で出会った人それぞれの顔が浮かんでくる。みんないい笑顔だ。ありがとうございました。家族もきっと楽しんでくれただろう。
列車が動きだす。小樽築港駅を過ぎると、石狩湾が目の前に迫ってくる。来る時は夜だったので気づかなかったが、今は雄大な光景だ。線路は海沿いに走っている。目の前を岩礁が通り過ぎる。雨は止んで、海面はキラキラとして穏やかだ。私たちは車窓を見ながら、美味しく駅弁を食べた。
やがて海岸から離れて、カーブを右に切って内陸に向かう。ここから新千歳空港まで一気に帰るのだ。
小樽から離れても、いつかまた来たいと思っていた。
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羽田空港から京急線に乗る。
車中で、行けるとしたら次の家族旅行はどこがいいか、話し合った。下の娘は福井がいいと言った。恐竜博物館に行きたいのだそうだ。小さいときに恐竜にハマっていたが、今も好きだとは。上の娘と妻は北陸全般に興味があるそうだ。北陸は私も行ってみたいと思っていた。
旅の理由がまた出来た。バリアフリーの温泉があるかどうか、今から観光地を調べてみよう。(終)