法人が預金利息を受け取った場合の仕訳計上について
法人が預金利息を受け取った場合、源泉所得税が差し引かれた後の金額が入金されることになります。
預金通帳やネットバンキングの入金明細は当然に入金額が記載されていますので、単に以下の仕訳を計上するだけでは不十分です。
特にクラウド会計ソフトはAPI機能により、インターネットバンキングの入出金の動きと会計ソフトの仕訳計上を連動させることが出来るため、上記の誤った仕訳が計上される可能性が非常に高くなります。
数値例を交えながら、あるべき仕訳を考えてみたいと思います。
…ではありません。源泉所得税が考慮されていないためです。
現時点では、源泉所得税は15.315%(国税+復興特別所得税)徴収されますので、受取利息を源泉所得税考慮前の数字に戻してあげる必要があります。以下、算定式です。
従って、正しい仕訳は以下の通りとなります。
上記に仮払税金という科目が登場しています。
これは期中に源泉所得税の税額を管理しておくための仮勘定の位置づけなので、各四半期、決算では正しい勘定科目へと振替仕訳を行う必要があります。
仮払税金の振替仕訳ですが、状況によってパターンが2つに分かれます。
①納付ポジションとなっている場合
納付ポジションの場合、所得税額控除を適用することで、税額控除を受けることが出来ます。
普通預金の利息から発生する源泉所得税は全額控除可能となるため、納付ポジションの場合は基本的に以下の振替仕訳を計上します。
②還付ポジションとなっている場合
還付ポジションの場合、控除する税額がそもそもないため、所得税額控除を受けることが出来ません。
ただし、源泉所得税は税金の前払いの性格を持つため、法人税申告書にきちんと記載することで、翌期に還付を受けることが出来ます。還付ポジションの場合は基本的に以下の振替仕訳を計上します。
実際に還付される翌期のタイミングで未収還付法人税等を取り崩します。
基本的な事項とはなりますが、クラウド会計ソフトで仕訳を計上した場合、検証を疎かにすると漏れやすいところになるかと思いますので、記事にしてみました。