「線を絵に描く前に悩むことについて」FDL Tips 12−5−1−1
絵は深く悩めば悩むほど手は止まるものです。
どれだけ深く考えるか?その深さに限界はありません。
絵は手か、頭か、目の3つのいずれかの1つか2つか、はたまた3つを総動員して描くものです。(例えば眼を閉じて絵を描くこともできます。)そのため絵を描くために必ず頭を使って考えなければならない、ということはありません。
私の好きな言葉はブルース・リーのDont think feel です。なので考えずに感じながら描くことを推奨することはよくあります。特に私はどちらかと言えば皆が考えずにのびのび描けるようになれば良いと考えています。そのため今回の作品は犬がオシッコを撒き散らすかのように自由に奔放に描きます。でも、そうさせない働きがアートの中にはあるのです。いい加減な感じで、アートの世界が考えさせます。それによって不完全燃焼している絵がどれだけあることか・・。そのような状況を整理するコンセプトもあって、今回のようなお話をしています。
なので、私には考えることを否定しているつもりはありません。頭を使うことが大事な時もあり、頭を使わずに感覚を頼りに描く時もあります。
頭を使い思い悩んでいると、「考えすぎ」という言葉を耳にすることは多いです。アートの世界が考えるように進めておいて、適当なタイミングで「考えすぎ」といい加減に言われます。もはやカオスです。なので整理したいのですが、私は基本的に「考えすぎ」ということはないと思っています。なぜなら自分の経験上、ひっかかることは考え続けると早ければ何日、何ヶ月。時間がかかれば何年も何十年もかければ抜けることあるからです。そして抜けるまでに時間がかかる物事ほど抜けた後の成果は計り知れないほど大きいということが実体験で言えると思います。逆に何日か、何ヶ月か考えて見えてくる物事ではやはりありきたりの発見や気付きということが多いです。
私自身、何年も考え続けて抜けた問題は多いです。それがあるから、油絵の世界で食べ続けられています。これは確信を持って言えることです。
余談ですが、ちなみに「食べていける」と言う概念も曖昧で人を惑わせます。なのではっきりいいますが、私は年収にして500万程度は稼ぐ。少なくとも世間一般の方の平均と比較しても違いがないと言う意味で言っています。私の収入で言えば申告とは別として年間に600から1500程度(斑があります)はあります。これからの若い人達のために古い人間は収入についても具体的に話すべきです。中には200いかない位でも食べていけると言う方もいますし、それが悪いわけではありませんが、それで食べていけるかどうかは状況に実家暮らしか?とか家族を養うのか?といった所で左右されます。
私は、どこまで考え続けられるかによってその人の能力が決まると考えています。考えれば考えるほど潜在能力が引き出されます。
頭で問題を切り抜ける。又は、そういった時は頭でアートの世界に勝負を挑む場合と言えると思います。その場合の着眼点はなんでも構いません。どこに眼を向けたとしても、既成概念の先に新たな問題が見えてきます。それをどれだけ深く追求し新境地を開拓するかでこの世界(アート)では食べていけるかどうか?が決まると私は考えています。コネや運ではなく確実に食べていきたければその領域に辿り付くまでただひたすら前だけを向いてひた走るべきです。
余談ですが、問題を前にして深く追求していくことはこれからの日本(2020年)に必要なものです。深層学習という言葉をよく耳にするようになった昨今。AIによる新たな産業革命が起こる日は目の前に迫っています。これからの日本が成長していくためにはアートの世界のみならず、外の世界の皆さんもそれぞれの視点で物事を追求していくことが必要です。というよりも実際はアートが一番出遅れている感もありますが・・。今の日本は他国に圧倒的な遅れをとっています。これからの日本は全ての国民がゼロから物事を生み出せるようにならなければなりません。そのためには目の前にある問題を前に深く考え抜くことが大切です。
1つ言えることがあります。それは他の都合を気にせず全てを捨てて深く考え抜ける人がいる。その人は絵画の世界の人間が決して見逃してはならない逸材です。今の日本のアートの機能ではその逸材を見抜くことができません。
公募、コンクール、画廊、美術館、芸大美大などの全ての催し物で新人を発掘する方法は既得権益を持つ古参に利益を生むことが最優先で、つまり、利益を生んで終い。収益にこだわらずに見つかるまで徹底的に探し続ける。そんな本当の心を持った組織は1つもありません。そのような状況なので在野の人材を見つけたり、目の前にいても検出する機能は組織にはありません。結果を見る限り、実施すれば儲かる金儲けのためにだけにあるシステムです。
もしあなたが今、深く考え抜こうとしているその最中にいるなら絶対に掴むまで諦めずに続けて下さい。
あなたは世間から言えば引きこもりだのニートだの、フリーターだの言われる人間かもしれません。残念ながら我々はあなたが籠もっている状態の時にそれを見抜くことはできません。でも動き始めた時にはすぐにそれを察知するアンテナは立て続けていようと思います。
「本物がいない」という感覚は我々は共有しています。
なのでもし見つかった場合は我々はすぐに動くでしょう。
我々が気をつけなければならないのは逸材が見つかった時のために、いつも自分の声が腐らないようにしておくことと肝に命じていきているのですから。
どうぞ遠慮なく悩み抜いて下さい。
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