【etSETOra】附子、葛根、白芍とは
前回投稿した漢方処方のシャドーボクシングより
著者が患者に処方していた生薬についてきになったので調べてみた。
附子(ブシ)
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附子はかの有名な毒薬トリカブトの根です。
附子の毒性は東洋医学でも西洋医学でも知られており、哲学者アリストテレスも附子を服用して亡くなったとされています。
【効能】
体を温めつつ、代謝の促進効果を発揮するのが主な働き。
それ以外の効果として確認されているのが強心・利尿・ 鎮痛効果。
患者の病状がショック状態、気虚、浮腫、リウマチなどの関節痛、下痢、息切れ、感冒で使用されますが、いずれも体が冷えた状態のときに使用。
【注意点】
上記効能は附子の持つ成分、アコニチンと呼ばれる成分の働きによるものですが、アコニチンを大量に服用すると中毒になります。
中毒になるまでの症状としては、まず神経系統を犯し、皮膚のシビレや痛み・嘔吐・めまい・悪寒や熱感・口渇などが起こります。
次いで動悸・呼吸困難・下痢・倦怠感・無力感・視力低下などが出現します。
最後は呼吸と心臓が停止して死に至ってしまいます。
東洋医学では以下のような方法で中毒を起こさないような工夫がされております。
加熱すれば毒性が少なくなるので、加熱処理した附子 (炮附子)を使用する。
長時間煎じるようにする(60分は煎じるようにする)。
最初は少量(0.5-1グラム)から使用し症状に合わせ徐々に増やす。
症状が取れれば速やかに中止する。
毒性を中和させる甘草(かんぞう)や大棗(たいそう)、蜂蜜などとともに使用する。(単体では処方しない)
適応証をする。
附子は虚弱体質で冷え性の人には効果が期待できますが、そうでない人に処方すると中毒になる可能性があるので使用方法については気を付けなければいけません。
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葛根(カッコン)
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クズという薬草の皮を除いて根を乾燥させたもの。
因みに名前の由来は昔、大和(奈良県)の国栖(くず)地方の人が、この植物の根から精製した澱粉を売り歩いていたことから名付けられたと言われ、その後漢名の葛が当てられるようになったものと考えられている。
当時は冬の寒い時期に、山のなか、地中深くから葛の根を掘り出して細かく砕き、冷たい地下水で不純物を取り除く作業を何十回も行っていたらしく、加えて処方できる状態になるまでには少量となっている為、高価で取引されていたようです。
【効能】
発汗作用、止渇作用、鎮痛作用があり、解熱、鎮痛薬、首や肩がこわばるような風邪、頭痛、筋肉の緊張、口渇、下痢などへの効果が確認されています。
また、陽の気を上昇させる。皮膚発疹を和らげ、津液を生み、体を冷やす効果もあります。
昔から葛根は病人の滋養強壮として使われていました。
【注意点】
胃が冷えた場合や発汗が多い時は使用を避けましょう。また、表虚多汗や斑疹が浮き出てきたときは使用しないようにする。
白芍(ビャクシャク)
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シャクヤクというボタン科の植物の根を乾燥したもの。
益気・補血薬(婦人向けの強壮薬)として、月経不順・生理痛・冷え性・不妊症・帯下時に主に使用されております。いわゆる婦人薬ですね。
他、芍薬にはペオニフロリンと呼ばれる有効成分が含まれており、これは鎮痛鎮静・筋弛緩・抗けいれん・血管拡張・抗炎症などの効果があるようです。
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芍薬には主に赤芍と白芍があります。
赤芍
根の外皮をつけたまま乾燥したもの。
中国では野生品の赤花の根を赤芍としていた。
なお、2005年版「中華人民共和国薬典」では赤芍の効能は清熱涼血,散瘀止血とある。
白芍
外皮を除いて蒸乾したもの。
中国では栽培品の白花の根を加工して白芍としていた。
2005年版「中華人民共和国薬典」では白芍の効能は平肝止痛,養血調経,斂陰止汗とある。
赤芍と白芍に関する史的考察
参考URL
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/60/4/60_4_419/_pdf
【注意点】
ミオパシー(筋肉自体の障害による炎症や変性、あるいは代謝異常などが原因で、筋力低下や筋萎縮(いしゅく)をきたす筋原性疾患の総称)ありの患者には十分気を付ける必要があります。
生薬単体でもいろいろな効能や注意点があることがわかりました。
知らないことを知るって中々面白いですね(^^)。
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