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13: 逃げられない国の住人たち D

加藤隆弘(かとう・ たかひろ)
九州大学大学院医学研究院精神病態医学 准教授
(分子細胞研究室・グループ長)
九州大学病院 気分障害ひきこもり外来・主宰
医学博士・精神分析家

『みんなのひきこもり』(木立の文庫, 2020年)
『メンタルヘルスファーストエイド』(編著: 創元社, 2021年)
『精神分析と脳科学が出会ったら?』(日本評論社, 2022年)

いま私は、木立の文庫で刊行予定の原稿を執筆中です。
このnote連載が土台となっています。
題して『逃げるが勝ちの心理学――ポジティブにひきこもるための処方箋』

前著『みんなのひきこもり』で試みた趣向を踏襲して、
巻頭で「にげられない」シーンのバリエーションをお示しします。

今回はその新シリーズの2回目となります!

☆『みんなのひきこもり』に引き続いて
 おがわさとしさん〔京都精華大学マンガ学部教授〕が
 私の原稿を読み込んで「ひとコマ漫画」として描いて下さっています!!

恋愛編(恋の絆)

——Dさんは都心に暮らす30代半ばの女性


○Dさんは、厳格な父親と若干か弱い母親との間の長女として、田舎の古風な家庭で生まれ育ちましたが、大学進学を機に、都心での一人暮らしを始めました。そこそこに勉学やサークル活動をこなし、そのまま都心の中堅企業に就職。

○大学時代に付き合い始めた3つ年上のサークルの先輩と交際を続けていました。先輩は、普段は人当たりよく穏やかですが、ギャンブル好きで時々大負けしては「ごめん」とDさんにお金を借りることも。

○お金にだらしない先輩の彼氏からは「貯金できたら結婚しよう」と言われ続け、それを信じて今もいまも先輩からのプロポーズを漠然と待ち続ける日々を送っています。

――なぜDさんは、だらしない彼氏から逃げないのでしょう。


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