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14: 逃げられない国の住人たち E

加藤隆弘(かとう・ たかひろ)
九州大学大学院医学研究院精神病態医学 准教授
(分子細胞研究室・グループ長)
九州大学病院 気分障害ひきこもり外来・主宰
医学博士・精神分析家

『みんなのひきこもり』(木立の文庫, 2020年)
『メンタルヘルスファーストエイド』(編著: 創元社, 2021年)
『精神分析と脳科学が出会ったら?』(日本評論社, 2022年)

いま私は、木立の文庫で刊行予定の原稿を執筆中です。
このnote連載が土台となっています。
題して『逃げるが勝ちと心得て――精神科医がすすめる「うつ卒」と幸せなひきこもりライフ』
★タイトル! 出版社と激論中!! 二転~三転~ワクワク展開になっています

前著『みんなのひきこもり』で試みた趣向を踏襲して、
巻頭で「にげられない」シーンのバリエーションをお示しします。

今回はその新シリーズの2回目となります!

☆『みんなのひきこもり』に引き続いて
 おがわさとしさん〔京都精華大学マンガ学部教授〕が
 私の原稿を読み込んで「ひとコマ漫画」として描いて下さっています!!


地方編(家系という絆)

——30代後半の男性Eさんは家業の跡継ぎ


〇田舎で先祖代々続く家業の跡継ぎとして嘱望されているEさん。名家の長男として幼い頃から近所では有名なお利口さんとして育ち、家業を継ぐために遠方の専門職大学に進学し、資格を得て、数年間の修行を経て20代後半で地元に戻ってきました。

〇親が用意していた地元のお見合い相手と結婚し、いまは二人の子供を育てながら、家業のために日々働き続けています。

〇時代の移りかわりとともに、家業の経営は年々厳しさを増しており、若干の不安がよぎりながらも邪念を振り払うように日々の仕事のことだけを考え、猪突猛進しています。

―― なぜEさんは、倒産しかけている家業から逃げないのでしょう。


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