それでも、「神は乗り越えられる試練しか与えない」。
15年前、何気なく見たドラマによって、これほどまでに人生が変わるとは。
当時の私には想像もできませんでした。
2009年10月11日。
これは、テレビドラマ「JIN-仁-」の初回放送日です。
※「JIN-仁-」についてもしご存知ないという方は、筆者の以下の記事をぜひご一読ください。
当時中学3年生だった私は、このドラマを見て衝撃を受けました。
江戸時代に脳外科医がタイムスリップして、その時代にあるもので脳外科手術を行う・・・。
そんな奇想天外な設定であるにも関わらず、ものすごくリアリティがあって引き込まれてしまうのです。
満足な医療器具も設備もない江戸時代での手術シーンは固唾を飲んで見入ってしまいますし、主人公・南方仁の、医師として、人としての葛藤は胸に迫ってくるものがありました。
そして、作中に登場する印象的な言葉、「神は乗り越えられる試練しか与えない」。
「私の人生にはこれから、沢山の試練が待っているんだろうな・・・。」
漠然ととてつもない大きな不安を感じていて、身がすくみそうだった中学3年生の私。
そんな当時の私にとって、この言葉は燦然とした光を放って、まばゆく輝いて見えました。
とてつもなく面白いドラマに出会ったというワクワク感と、一気に自分の周りの世界が輝き出したような、未来への希望を感じたのです。
なんとなく「医療従事者になりたい」と思っていた将来の夢は、「JIN-仁-」を見るにつれて、「絶対医師になりたい」という思いに、いつしか変わっていました。
そこから先は本当にいろいろなことがありました。
地元で東日本大震災を経験し、
医学部受験に対して浪人も経験し、
留学のチャンスはコロナ禍で失い・・・。
研修医になってからは、バーンアウトも経験しました。
うつ病の診断がついて、2ヶ月休職もしました。
キャリアについても、自分はどう進んでいけばいいのか、かなり思い悩みました。
ここだけ見ると、
「ほーら、神は乗り越えられる試練しか与えない、なんて嘘じゃん」
という言葉が飛んでくるかもしれませんね。
でも試練とは、一回毎に成功できるかではなく、むしろその後の人生をどう生きるかということなんだな、と思います。
どんなに頑張っても報われないことがあることはもちろんあります。
人生は想定外のことだらけの連続です。
でもそんな中で、「こんなはずじゃなかったのに」といじけて座り込むのではなく、なんとか自分の持っているものを最大限に使って生きようとするのが「JIN-仁-」の南方先生ではないでしょうか。
私が「JIN-仁-」に心から感銘を受けたのは、根底にある「どんな環境に置かれても、『いま、ここ』を大切に生きていこう」というメッセージに、強く心を打たれたからだと思うのです。
15年もの間、色んなことが試練のように降りかかって来たけれども、なんとか前を向いて、その時その時に自分にできることをやって生きてきた、という自負が私にはあります。
そして、その時の自分が選んでベストを尽くした結果は、毎回、これまでの自分の想像を超えて最高のものになってくれました。
結果がどうであれ、一所懸命進んできた道が自分にとって最善だったと心から思えたなら、それは「試練を乗り越えられた」、ということに他ならないと言えるでしょう。
「神は乗り越えられる試練しか与えない」という言葉と、自分が置かれた環境で自分ができることをやって前に向かっていくしかないという人生理念。それを「JIN-仁-」から得たことは、私の一生ものの財産になりました。
まったく。
「JIN-仁-」にここまで影響を受けて、自分の人生を生きることになるとは。
15年前には想像もつかない、素晴らしい未来だと、自信を持って言えます。改めて、「JIN-仁-」テレビドラマ化15周年、本当におめでとうございます。
10月30日追記
本noteを投稿した次の日。
さらに想像もつかなかったことに、本noteがきっかけで人生初の講演依頼が舞い込みました。
まったく、人生は何が起こるかわかりません。
参考)「JIN-仁-」主演大沢たかおさんインタビューより
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