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カンデンスキーの抽象芸術論(1)一般論 

①序論

カンデンスキーの抽象芸術論は次のような言葉から始まる。
「どのような芸術作品もその時代の子であり、しばしばわれわれの感情の母である」

カンデンスキーは、この序論で、タイトルにあるように芸術における精神的なものに拘ると共に芸術に対する考え方を宣言をする。過去の作品の道徳的・精神的な全雰囲気を持つ内面的志向の類似性を内的接触点として重視する。つまり内面的なところに未来の萌芽を蔵することを期待している。
また、カンデンスキーは物質主義的芸術を忌み嫌し、「芸術のための芸術」にも嘆いている。時代の子たる芸術は、未来のための生産力を蔵してなくてはならなく未来の母となり得なければならぬと説く。

「未来への発展の可能な芸術も、やはりそれを生んだ精神の時代に根を下ろしてはいるが、同時に、その時代の単なる反響ではなく、また鏡でもない。むしろ広く深くその影響をおよぼす、警世的、予言的な力をもつのである。
芸術もまたそれに属し、そしてそのうちにあって最も有力な代弁者の一人となっているところの精神生活は、複雑であるが、一定の単純なものに還元できる、前進上昇する運動である。この運動は認識の運動であって、いろいろな形をとることがあるが、究極のところ、同じ内面的意味、目的を保ちつづけている。」

このような中を克服できるのは、自身のうちに神秘的に植えつけられた洞察する力をひめていることとされている。

洞察し、進むべき道を指し示すものである。

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