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ハンナアーレント「人間の条件」

ハンナアーレントは解説本で読むと理解はできるが味気ない。
簡単に説明しようとすればするほど難しいのではと思う。
考えながら、読むことにより、アーレントとの会話が成り立って読めるのではないかと思う。
名著と思う。
一番好きな言葉は、人間は新しい始まりを為すことが出来る、である。
つまり行為することができる。

生きるとは人の間にいることであり、人間の活動は全て人間が共生しているという事実によって制約されている。
ハンナアーレントは人間的活動が労働化されることに危惧している。
活動での政治的なものに価値を見出し、古代ギリシャのただ生きるだけでなく善く生きることに共鳴し人間の完成をめざす。

「仕事」は、目的により手段を正当化させる。
労働 仕事 活動の価値序列を決めるのは自由である。
活動は複数の人々との関係性において成り立つ。
そこには共通性と唯一性が混在する。
自分が何者であるかを明らかにするために語る言葉と行う行為に暗示される。
活動には不可予言性と不可逆性がある。
そのため約束と許しの能力が必要となる。
人間性の落とし穴から人々を救うのは人間の世界性である。
活動の性格として公開性と世界性がある。
公開性は他者と共有する現実に価値をおき全ての人に自己を開示する。
世界性は人々と共に住むことであり共に活動する。
対話的言語活動により全体主義に陥らない公共性を確保する。
この活動は人の可死性に逆らう。
人は死ぬ為に生きるのではなく、始める為である。
政治は活動の一形態である。
政治の目的が富の再分配や社会経済的問題では寂しい。
権力中心の政治概念ではなく、人間社会の不確実性は人間が複数と自由を持ってる証であり、合理性の追求や絶対性、普遍性を求める真理の追求ではなく適切さについての判断が重要である。
世界を新たに創造するために外部世界に働きかける活動が自由である。自由と活動能力は同一である。
活動の領域が私的・公的と言うものから画一的な行動領域である社会的なものになる。
活動自身は経済的なものに関心が移り労働化される。
労働化は大衆消費社会となり、消費は生命の不要物に集中する。

ハンナアーレントは常に人間とは何かと問いかける。
興味は尽きない。

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