岡田 遼太郎

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きし豆茶探訪記③ ~松田さんのきし豆茶~

松田さんのきし豆茶 現在、大月町では3軒ほどの生産者がきし豆茶を販売しており、自家消費のみできし豆茶を生産する家庭はさらに数件ある。松田さんは大月町で農業を営むかたわら、きし豆茶の栽培と販売をしている。 岡田:「このあたり(大月町)では昔からきし豆茶を育てる人がいたんですか?」 松田さん:「もともとこのへんではきし豆を作りよる人はおったけんど、どこぞで売ろうっちゅう人はおらんかったぜ。きし豆なんぞ買わんでも簡単にできるけん。わしがきし豆を売り始めたんもほんの最近のことよ

    • きし豆茶探訪記② ~前田さんのきし豆畑~

      2020年10月7日、山登りから帰る途中の道で、収穫したばかりのきし豆をリヤカーで運ぶおばあさんを見つけた。さっそく話を聞いてみると、そのおばあさんは前田さんという方で、昭和8年生まれ、毎年自分で消費するだけのきし豆を自宅裏の庭で栽培しているということがわかった。ちょうど収穫した日に見かけたので気づいたが、この時に出会わなければここできし豆茶が栽培されていることを知らないままだった。 前田さんは昭和49年に、物部川河川敷に自生していたカワラケツメイの種をお茶として利用するた

      • 「ろうか捕り」の話

        高知県大月町で農家を営む松田さんがおもしろい話を聞かせてくれた。 松田さんが子供の頃(1940年代)、子供たちの遊び相手はもっぱら虫だった。虫の中でも人気だったのが “ろうか” である。ろうかはギンヤンマをさす大月町の方言である。今のようにナイロンの網が手に入らなかった当時、ろうかは釣るものだった。 ろうか捕りのやりかたは、まず田んぼの畔に生えるゴマから ”ごまちょう(胡麻蝶)” を取ってくるところからはじまる。とれた ”ごまちょう” でろうかのメスを捕まえる。それをアワ

        • きし豆茶探訪記➀ ~きし豆茶とは~

          土佐の伝統 きし豆茶 きし豆茶は、カワラケツメイを加工したお茶を指す高知県での俗称である。透き通った黄金色のきし豆茶は、野草味が混ざった香ばしい豆の香りが特徴である。きし豆茶はそれだけで飲んでもおいしいが、高知県では土佐番茶といって番茶にきし豆を混ぜるのが主流である。 一説によると、江戸時代、土佐藩の殿様が農民に対して、緑茶はぜいたく品だとして飲むことを禁止していた。そのため農民はかわりに番茶にきし豆茶を混ぜて飲んでいたそうである。説の真偽は不明だが、実際に高知県では今で

          カワラケツメイってどんな植物?

          カワラケツメイの生態と形態 カワラケツメイは、マメ科カワラケツメイ属の一年草。河原やため池の土手のようなかく乱環境に生息する。 4月頃に発芽して、10月頃までに60㎝ほどに成長する。8月頃には黄色い花が咲き、花が終わると小さな豆ができる。豆は成熟すると乾燥し、5mmほどの種をまき散らす。 カワラケツメイの現状 カワラケツメイが生える河原・ため池の土手・農地の畔のような環境では防災や効率化のために改修工事が行われる。工事によって表土が取り除かれたり盛土を積まれると、もと

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