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村を救う「はちきん地鶏」

 4月23日、私はセキ株式会社の方たちと「えひめ・こうち食べる通信」で特産品であるはちきん地鶏の取材を行いに高知県大川村へ向かった。

 「えひめ・こうち食べる通信」とは、定期購読式の情報誌である。食べる通信とあるように、2か月に一度愛媛や高知の生産者を直接取材し、取材した誌面と特集を行った食材をセットにして届けるというものである。またホームページでは、取材記事だけではなく学生取材レポートやこれまで取材してきた食品を使った料理特集なども充実している。愛媛と高知は順番に取材されており、これまでに愛媛側ではいちごの取材、高知側では宗田節の取材など、数多くの取材が行われている。

 今回は、高知県大川村の特産品であるはちきん地鶏を取材した。大川村は四国山地の1000m級の山々に囲まれた自然豊かな村であり、県北部で愛媛県との県境に位置している村である。また、日本の自治体でトップクラスに人口が少ないとされている。
 私たちはまず、はちきん地鶏の屠殺場に向かい大川村職員の方に村の歴史やはちきん地鶏の特徴を聞き取った。かつての村には炭鉱があり4000人を超える従業員が住み込みで働いていたが、炭鉱の閉鎖やほぼ同時期に行われたダム建設による村中心部の消失により人口が大きく減少したのである。村が消滅するかもしれない中、特産品を作ろうと地鶏に目を付けたということを知った。他の鶏と地鶏の違いである生育期間の長さや生育環境のこだわり、村ですべての工程を済ませることで安全性を担保しているということを学び、地鶏にかける思いをくみ取ることができた。しかし、従業員の退職によって今は屠殺を地域外に委託しているという問題点も知った。
 その後私たちは実際に養鶏場に足を運び、実際地鶏がどのように育てられているか、また生産者さんの育て方の工夫についての聞き取りを行った。一般的な鶏は養鶏場いっぱいに詰められ、動けないほど劣悪な環境であるというが、はちきん地鶏は1区画に育てる数が決まっているため、のびのび動き回る姿を目撃することができた。鶏を詰めて育てていない分1区画当たりの生産量が落ちるものの、ストレスのない良い品質の肉を供給できるのである。

 今回の取材では、人口減少で存続が危ぶまれている地域のこれまでの歴史や特産品の成功事例、理想と現状の乖離を学んで、小さな集落で特産品を作るリアルを学ぶことができた。これからも取材をしていく予定のため、他の地域と比較し、現状理解を深めていきたい。

作成:トン揚げちゃん

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