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『人はなぜ数学を学ぶのか』 〜30代遅咲きの男が歩み、立ち止まり、また歩み出すまで〜
数学なんて必死に勉強してなんの意味があるんだ。
動く点Pの軌跡も池の周りを違う速さで歩く兄弟も、そんなもんは人生の役には立たないんじゃないか?友人と気ままにくだらない青春を送る方がよっぽど大切だろ?
中高生の頃は常にこんなことを考えては勉強をサボっていた。
いや嘘だ。大学に上がっても、大学を辞めた先の進路でも常にこんなことやって人生豊かになるのか?素晴らしい人間になれるのか?と考えては足を止め。大人になっても自分は変わっていなかったのをふと思い出した。
30歳を超えた今、時々思うことがある。
"もっと数学をやっていればよかった"
勿論数学に限らず、勉学は、なによりその過程で生じる努力はかけがえのない資産だと感じるからだ。
怠惰の人生を送ってきた男にとっては当然の結果だろう。23〜26歳の20代という人生の輝かしい時間を風俗通い(300回以上)とギャンブルに費やし、ハゲ散らかし、合コンでのあだ名は決まってヒゲのお兄さんだった。勿論5年弱彼女もいなかった。
そんな冴えない男が変わる転機は2度あった。
ひとつは26から始めた外見改善だ。
埋没、ヒゲ脱毛、歯列矯正、ハゲ治療、糸リフト、皮膚治療。総額150万、3年くらいは費やしたはずだ。
効果は絶大。5年弱ぶりに彼女もできた。
2度目は、2年近く同棲していた彼女と別れて30を迎えてからだった。結婚もしばらくいいかなと思いはじめ、とりあえず芸人のような生活をすべく限界突破の家賃の家に引っ越した。何かを変えなければ、そんな危機感があったのかもしれない。
刺激を求める日々。そんな時出会ったのがナンパ師のYouTubeだった。
落ちこぼれからナンパで人生を変えた男の人生に夢中になった。著書も読んだ。
この道かもしれない。早く準備をして街にでよう。そんな衝動にも近い情熱が湧き上がったのを覚えている。
大金を稼いで、美女と結婚して、若いセフレと遊びまくろう。これが界隈入りして設定した、いや夢見たと言った方が正しい、そんなゴールだ。
👨信号赤だよ!危なすぎww
車に飛び込む系の女の子かと思ってびっくりしたw
👩えっ、やば。ありがとうございます😊ww
👨感謝して本当にwてかめっちゃサンリオじゃん!シナモンでしょ中身!
👩え、そうですwシナモン買ったの。
👨めちゃ可愛い!
てかちゃんと投票した?俺はしたよ!
👩別垢で3票くらいしましたw
👨でたよ!wシナモン勢のせいでポムポム推しの俺の1票が虚しくなるわww(してない)
👨てかシナモンと地雷系のメンヘラセットで赤信号飛び込むから、ガチでそれ系かと思ったわ!!笑
👩やばすぎww
👨ほっとけないから今日は送るわ笑
YouTubeの見様見真似で踏み出した出撃初日、10声掛け程で生まれた即だった。ぴえん系、19歳、黒髪ボブ、興奮してスペックと一連の流れをメモに起こしたのを覚えている。
もし今、これから教えるスト未経験の奴がこんな声掛けをしはじめたら震えると思う。思い返せばそれくらいストリートナンパの適正があった。
まぁこれも風俗通い(何度も言うが300回以上)とover30歳の年の功という所だろう。20歳の自分にこんなトーク回しはおおよそできない。
開始1ヵ月も経つ頃には第二の人生とも言うべきストーリーの幕開けを感じてまさに主人公気分、失敗と成長の連続で毎日が新鮮だった。
誕生日に初めて買ってもらったポケモン初代緑でカスミのスターミーにヒトカゲが瞬殺された時、みんなも覚えているだろうか。ワクワクにも似たその感覚は心を少年に戻してくれた。
スト開始5カ月目の3月。スターミーも凹してリザードンくらいまで進化した己の実力を試すために数追いをした。
↓
ルギアだった。
男としての実力を証明できた気がした。4月1日の0時ちょうど、路上で20代の不遇を思い返した。新宿のど真ん中で雨に濡れながら心の中でそっと自分を褒めてあげた。
『ショーシャンクの空に』の様な。死ぬ時に病床できっと思い出す、自分の中ではそんなワンシーンだ。
2022年7月。迫る猛暑より少し先に涼しい顔で200即を達成した。ハーフの可愛い女の子だった。
なんとなく目指した200即。界隈のみんなが大好きな200即。
正直にいうとあっさりと達成した。そんな俺の脳内を共有しよう。
『界隈でも実力は上位だし、なんとなくやってりゃあ貢がせとか商材とか、わんちゃん金持ちマダムの会社役員とかになれて月50万くらいは稼げるようになるんやろなー。』
ただナンパしていればこうなれると思っていた。割と本気で。IQの低さが伺える。やはり数学はやるべきだ。
だがご存じの通りナンパは、そして人生はそんな甘いものではない。ここが100エーカーの森だったら少しはイーヨーに褒めて貰えただろうか。
俺はまだティガーの様に跳ね続けないといけないのか。甘い蜜はいつ吸えるんだいクリストファー・ロビン。
そんなことを思いはじめていた。
そんな俺も31歳だ。
即を重ねる度にその1即の価値は薄れていき、虚無感、浪費感に変わっていくのを感じた。
きっとストリート経験がそれなりにある人なら誰しも感じたことがあると思う。ここから先はそんな人に読んでもらいたい。
ナンパを主戦場としながら成功し、人生とのバランスを両立できる人間はほんの一握りの中のさらに表層でしかない。
おそらく25〜7歳くらいなら全ては投資だと割り切って無心に走っていたのだろうか。
30代前半という時間と婚期、若作りの多額の維持費を消費する日々、いつしか成長意欲は浪費感に変わっていた。
7月半ば頃、動けなくなった。全ては浪費なんじゃないか?俺には大きな才能はあったが選ばれし人間ではない。
日向ネジのようにデカい木の根っこに刺されて死ぬのが関の山なんじゃないか。あとは頼んだぞナルト。
そんな弱気になってしまった。街に出るのは性欲が溜まった時だけだってばよ、といわんばかり。
ある意味健全なナンパ師だが、ストリートに大きすぎる期待を抱いていた主人公の失望は、とても少年ジャンプには載せられない、そんな薄暗い小さな絶望だった。
そこから今日までの生活は惰性、堕落。
女に生活費をもらいながら、労働収入でギャンブルと高級な飯を食らう。
そんな生活の中でどうにか打開できないか。この才能を活かさず死んでいいのか。
幼稚園児もドン引きのモラトリアムに陥りながら何も行動しないまま約2カ月。ほぼ毎日スロットを打って、麻雀をして、セフレを抱いて。たまにナンパした。
大学を辞めたあの頃の自分となにひとつ変わっていない。
大人になると上手くなることが二つある。
立派なフリをすることと、言い訳を正当化することだ。
俺と接したことのあるクラスタも多いと思うが、立派なサラリーマン、人格者、この人が活動を休んでるのはきっと考えがある。
そんな印象を抱いた人も少なからずいるはずだ。そう振舞っていたからに過ぎない。
休養期間で見た目は劣化し、覇気を失った。鏡を見ると努力しなかった未来の自分が映っているようだった。
この時腑に落ちた。自分の中でうなずいた。
またストリートに出よう、そう思った。
最も輝いていた時はいつだ。
答えはすぐに出た。3月の数追いをした時だった。
それはなぜか。
そう、がむしゃらに努力をしていたからに他ならない。イイ男になりたい、幸福になりたいと。
即が当たり前になり忘れていたものを必死に思い出した。
男を磨き、未知に飛び込み、少年のような心で目標に向かって行動する。
単純で大切な初心。
光るのは元々持っている才能ではない、行動したその摩擦で光が生まれるんだと。
気付くのに31年も掛かってしまった。
きっと年老いたある日、晴れの日だろうか。縁側に座ってこの活動を思い出すだろう。
その時もう動かない身体で後悔するくらいなら、全てやってやろう。婚活も金稼ぎも女遊びも。
努力の方向性が正しいのか、迷って歩みを止める必要はない。模索しながら進むべきだ。行動しないことこそが最大の浪費なのだから。
『結果が欲しければ行動しろ。人生を変えるのは自分しかいない。』
数か月前輝いていたある男が言っていた。この言葉を胸にまた歩き出そうか。
やっと納得ができた。
世の中に直線上を動く点Pがなくたっていい。日常に池の周りを歩く兄弟がいなくたっていい。
重要なのはそこではない。
”もっと数学をやればよかった”
そんなことはもう言いたくないんだ。