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アンソニーパラディ劇場|フィギュアスケート
JGPSラトビア大会でのアンソニーパラディ(Anthony Paradis)は、ご覧になりましたでしょうか。
一度見た日にゃ脳裏に焼きつくこと請け合いの、カナダの男子シングルの選手ですが、まだ17歳(日本の学年では高2)で主戦場はジュニアですので、拝見する機会はそれほど多くありません。
今シーズンのジュニアグランプリシリーズは第1戦ラトビア大会のほか、第5戦ポーランド大会にもエントリーされています。
バリエーション豊富な濃いつなぎ、柔軟性を生かしたスピンなど、アンソニーのプログラムは見どころの連続です。
フリープログラムのお衣装は白い・・デザインをどう形容していいか分からない、とにかく白いお衣装に、長くて赤いネイルにきらめくグリッター。
ビジュアルの自己プロデュース力が他のジュニア男子と違い過ぎるので、外見が印象に残りがちですが、アンソニーの魅力は、自分の描いた世界に観客を引き入れる、ストーリーテラーぶりだと思います。
アンソニーはプログラムによってスタイルを変え、物語の中のキャラクターを演じています。
まったく別の人物になりきっているというより、彼の中に無数の世界線があって、違う世界線における自分を見せているようにも感じます。
アンソニーのISUのバイオグラフィーには下記の記述があります。
Hobbies : Being a fashion ICON, slaying all day everyday, dancing :)
趣味:ファッションアイコンでいること、毎日一日中かっこよくいること、ダンス
「私の趣味はファッションアイコ・・・」ほとんどの方がついぞ口にしたことがないまま、今日まで歩んでこられたかと存じます。
ですが私のファッションアイコンはやはり・・・。
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以下は、今年の世界ジュニアの後のアンソニーのインタビューを短くまとめたものになっています。
昨シーズンを振り返って
厳しい時期もあったが多くを学んだシーズンだった。
とくにジャンプの改善に真剣に取り組んだことが結果につながったと思う。
スケートを始めたきっかけ
家の中で飛び跳ねて騒いでいるような子供だったので、両親は自分をスケート場に連れて行った。
フィギュアスケートをしたくなったのは、ソチオリンピックのリプニツカヤ選手を見てから。
フィギュアスケートの好きなところ
自分を表現したり、別のキャラクターになってストーリーを語ることができるところ。ショーも好き。
好きなエレメンツ
ステップは個性を出せるエレメンツなので大好き。
持って生まれた体の柔軟性を生かせるのでスピンも好きだし、ジャンプも成功すると楽しい。
スケートで一番大変なところ
カナダナショナル(での表彰台)以降、周囲の期待を感じている。
特に芸術性の部分が注目されているので、常に最高のパフォーマンスをして期待にこたえなくてはならないと思っている。
技術的に改善したい部分
トリプル‐トリプルの連続ジャンプ、フリップ、ルッツ。
トリプルアクセルの来シーズンは入れたいと考えている。トリプルアクセルは練習ではハーネスで着氷している。
来シーズンの目標
ジャンプの改善。
ジュニアグランプリと世界ジュニアへの出場。
来シーズンのプログラム
ショートプログラムは新プログラムになる予定。
フリープログラムは継続。
プログラムづくりのプロセス
たいていは自分がアイデアを出している。
23-24シーズンのショートプログラムの場合は、最初に何かダークなものというコンセプトが最初に浮かんで、その次に蛇を表現するというアイデアを思いついた。
それをもとに音楽を探し、またその後に衣装を考えた。
コンセプト⇒音楽⇒衣装、という流れ。
プログラムづくりは衣装のデザインまで、最初から最後まで自分が関わっている。
なぜかというと滑るのは自分で、自分の名前のもとに作品があるわけだから、自分のやりたいことをしたい。
自分のファッションのスタイル
ゴージャスなスタイルが好きだけれど、カジュアルな面もある。
氷上では本当の自分ではなくキャラクターを演じている感覚。
派手で非凡な感じだけれど、氷の外では穏やかで目立たない感じでいたい。
振付師になること
振付の仕事はしたいと思っている。自分の振付で演技することも楽しそう。
氷の外での自分
友達といるときは冗談を言ったりして社交的。
パブリックな場では目立たなくしていたい、とちょっと難しい笑
あなたは年齢の割にとても大人びているように見えるが
幼いころから、自分とは何者なのかということについてずっと考えてきた。
他人と何が違うのか、どういう自分になりたいのかと考えてきたので、年齢より成熟しているのかもしれない。
家族
家族は自分の大ファンで、私のしたいことをサポートしてくれている。とても感謝している。
趣味
絵を描くこと。音楽を聴くこと。ダンス。
本を読むことも好き。いい本を読むと自分が本の中にいるように感じられて、とても素敵だと思う。
本のように、人々が物語の中に入りこんでしまうようなプログラムをつくりたい。
好きなアーティスト
Doja Cat、Aurora。
型破りでクリエイティブなアーティストが好き。
学業との両立、学校での勉強
スポーツに特化した学校なので授業は午前中のみ。その後はスケートなので、両立はあまり難しくはないし快適。
学校はあまり好きではない。
好きな科目は美術で、数学と国語(フランス語)は苦手。
大学進学
来年はカレッジのコースを受講する予定。
ゆくゆくは医学も学んでみたいが、近い将来には教育について学びたい。
コーチ業に興味があるから。
影響をうけたスケーター
幼い頃から尊敬しているのは(同じリンクにいた)ニコラ ナドー。
少し後になってからは、ジェイソン ブラウン、エフゲニア メドベージェワ、羽生結弦。羽生結弦大好き。
フィギュアスケーターとしての夢
アイスショー。自分のショーもしたい。ショーは楽しくて大好き。