はじめに
舞台は、ドラマなどに比べて「時間がある」と思われがちですが、実際は
そうではありません。
2週間で2時間半の舞台を作るなんていうこともザラですし、ついていけない俳優はただただ演出家に振り付けをされ、セリフの言い方も指定され、演技ではなく「模倣」で公演を終えます。
それでは、わざわざあなたがキャスティングされた意味もありませんし、誰でもできる演技をすることほど、恥ずかしいことはありません。
俳優には独自性が必要です。「あなただから」この役を振った。
「あなたにしか」この役はできない。そう、言わしめる為には、「自分に合った役」を待つのではなく、もらった役を、そこまで昇華しなければなりません。
それには、たくさんの技術や経験が必要となります。
演出家は演技指導をするのではなく、「効果的な見せ方」や「世界観」
「作品のゴール」への到達方法を模索するのが仕事です。
どんな高名な演出家と仕事をしても、自分が変わらなければ、自分が学ばなければ、いつまでも下手なままです。
舞台に出たからと言って必ずしも自身の技術が向上するというわけではありません。
奇跡が起きて、自分に役が憑依するようなことは絶対にありません。
奇跡はしっかりとした技術と計算を持って、自分で起こさなければなりません。
何年、何回舞台に立っても変わらない人はずっと変わりません。
むしろ、よっぽどの意識を持って挑まなければ、変わることはできません。
僕は小劇場出身ですが、小劇場を長年やってきたからといって各現場で学ぶ意識を持っていない俳優はまったく成長していません。
つまり、規模の大小を問わず【出演本数=実力】ではありません。
ですが、しっかりと学ぶ意識を持って現場に挑めば
【出演本数=実力】
に必ずできると僕は思っています。