婆ちゃんの不思議な体験話④ ~山にいた女の人~
昔、爺さんが買った山があってね。
そこの山の山菜を取りに行ったついでに草むしりをしとったんや。
何か上のほうに人がおる感じがしたから
はたと上を見たら崖のところで人が立ってた。
白い着物を来た髪の長い女の人でね。
「そこは危ないから離れなされ」
て言うたんやけど、聞こえてないみたいなんや。
よくよく見てみると顔色がえらい悪くてね。
何回か話しかけたんやけど何の反応もせんし、
おかしいなと思ったんや。
そういえばその人ピクリとも動いてないことに気づいたんや。
気味が悪くなってきてね。
何を言うても反応もないから放っといて山を下りたんや。
下りたところの道路に人が通ったからその人に
崖に女の人がおる話をしたら
昨日、そこの崖から人が自殺したって言われてね。
その人が、もしかしたらまた自殺する人が来たんと違うかと言うから
2人で戻ってみたんや。
さっきの崖が見えるところまで来たんやけど誰もいない。
もしかして・・・と思って2人で慌てて崖の下あたりまで
行ったけど誰もおらんかった。
その人に婆ちゃんが見た人の格好を説明したら
自殺した人と全く同じ特徴やったみたいでね。
「出てきたんと違うか」と言うて気味悪がって
その人は帰っていった。
婆ちゃんは、
「ちゃんと成仏しなさいよ」
て言うてあげながら、お経を読んであげてね。
たぶんもう出てこんと思う。