大雅と蕪村とわたしと名古屋 :2
(承前)
「大雅と蕪村」展の開催を知ったのは、年度はじめの年間スケジュールの情報解禁時だった。
今年の名古屋市博物館はぶっ飛んでいる。
「大雅と蕪村」展がむしろ異端と思えるようなラインナップで、ずば抜けて渋すぎである。
名古屋市博物館はごつい建物も相まって質実剛健な公立館というイメージがあるが、年に1本は少し変わったテーマの展示をぶっこんでくる。それが、昨年の一時休業のあおりを受けて今年にスライドするなどして、こうなったらしい(ゲーセン展はたしか昨年の年間スケジュールにも載っていた)。
同じ名古屋でいえば、愛知県美術館で蕭白展が開催中。
「大雅と蕪村」展と入れ違うように、ひと足先に会期が終わるニアミス状態。愛知県美では数年に一度、江戸絵画の大きい展覧会を開いてくれる。今回も会期がかぶってくれていれば、重複する日程でこちらにも行ったのだが……仕方ないか。
「大雅と蕪村」展では、愛知県美の木村定三コレクションにある蕪村の大横物《富嶽列松図》も拝めるだろう。今春の府中市美の蕪村展でも出ていて、あれはやはりよいものであった。
《富嶽列松図》は、《夜色楼台図》《峨眉露頂図》とともに蕪村の大横物「三役」として並び称される。「三役」の横綱格・蕪村の国宝《夜色楼台図》はすでに名古屋市博のページに写真が上がっていて、「大雅と蕪村」展への出品決定済み。
残る《峨眉露頂図》はというと……先日、浦上玉堂を観に行った東京黎明アートルームの所蔵で、次回の展示ではメインを張るらしく、「大雅と蕪村」展に出るとしても会期後半の年明けからとなりそうだ。
もっとも、「三役」そろい踏みはこれまでも何度か、サントリー美術館の「若冲と蕪村」展などでもあったから、大きくこだわるものではない。
名品主義にとらわれすぎず、ご当地らしさは濃厚な好企画になりそうだから、それだけでもう本望である。
※名古屋に行ったら名古屋メシ。モーニングとひつまぶしのお店の目星はつけておきたい
※行ってきました
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?