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逗子の山寺・神武寺の御開帳 :1

 三浦半島の付け根に位置する山寺・神武寺(じんむじ)へ。お目当ては、御本尊の《薬師如来像》(室町時代・15〜16世紀  逗子市指定文化財)である。
 33年に1度だけ開帳される秘仏。けれども、毎年12月13日の午前中にだけ、「お煤(すす)払い法要」という名目で拝観が許されている。次回、2050年の御開帳まで待ちきれず、行ってきた。

 神武寺のある山塊を避けるように、京急逗子線が北から、JR横須賀線が東西に走り、交差している。京急線の駅名として、神武寺をご記憶の方もいらっしゃることと思う。
 ただし、神武寺の最寄りはJRの東逗子駅で、表側の参道もこちらにつながる。鎌倉駅の2駅先で、アクセスもしやすい。そのため、今回はこちらのルートをとることにした。

JRの踏切を渡って少し進むと、この分岐点。右の階段を上り終えた先からは……
山中。足もとは天然の石畳。岩盤の上を歩く
人工の石畳も。こちらは少し歩きにくい
左の大岩の上には、お地蔵さんがいた
切り通し。海底の泥や砂が固まった堆積岩が隆起し、山塊ができた。その名残が地層に表れている

 聖武天皇の発願により行基が創建、慈覚大師円仁が再興したとされる古刹。
 源頼朝は妻・北条政子の安産を祈願して神馬を奉納したといい、そうして生まれてきた実朝も長じてこの地を参詣したことが、『吾妻鏡』に記されている。
 以降は度重なる戦乱や火災に見舞われ、そのたびに時の権力者や地域の人びとの助けを受けて、復興を繰り返してきた。

参道から逸れた斜面の「こんぴら山やぐら群」。やぐらをみると、鎌倉に来たなという感じがする(自治体としては隣の逗子市)
石畳に導かれ、享保18年(1733)築の惣門へ。ここから境内に入っていく
見上げると、紅葉がまだ残っていた

 ——撮影時刻を確認すると、1枚めの分岐点から上の紅葉まで、わずか16分。やぐらへの寄り道を含めてこの時間で、登りもきつくはなかった。
 それでも、ご覧のように人里離れた風情、古代山岳寺院の雰囲気はたっぷりと味わえる。御開帳のない日でも、鎌倉近郊の気軽な散策コースとして、万人におすすめできる道だと思った。(つづく


 ※こちらのサイトを参考に巡った。



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