カラーフィールド 色の海を泳ぐ:2 /DIC川村記念美術館
(承前)
そんなこんなで、1、2階のしめて8部屋分もの常設展示を観終えた段階で、すでに、けっこうな満腹感。メインディッシュはこれからだというのに……川村に来ると、いつもこんなだなわたし。
常設を抜けた先にある「カラーフィールド」のフィールドへの入り口には、大きな展覧会タイトルのディスプレイが。副題の「色の海を泳ぐ」のデザイン処理は、ゆらりとたゆたうよう。建物の外はかなり暑かったので、ことさら涼やかに映った。
いざ会場に足を踏み入れて、ふと口から洩れ出たその言葉に、自分自身、驚いてしまった。
「か、かわいい……」
包み隠すことのない、素直な感想だ。
天井の高いホワイトキューブの空間に、広く色面をとったスケールの大きな作が、ゆとりをもって並べられている。
積み木やブロックといった子どものおもちゃを思わせるところが、どこかにある。「おもちゃ箱をひっくり返したよう」とでも言い換えられようか。
そういった至極素朴な「楽しさ」「かわいらしさ」が、直観的に感受されたのである。
色面が広い、寸法が大きい、彩りがあざやかといった特徴を兼ね備えている本展の出品作は、どれも、遠まきからでも一点一点を把握しやすい。
会場で配布されていた作品リストには、小さな作品画像=サムネイルがつけられている。めずらしい形式だが、こうして幅2センチほどまで縮めたとしても、上記のような特徴をもつ出品作たちであれば、どれがどの作品か、ひと目でわかってしまうのだ。
※こちらが、その作品リスト。ハンドアウトはフルカラーだった。ホームページに上がっているこのデータがモノクロなのは、著作権への配慮からだろう
ふだん、展覧会場で作品リストを参照しようとするときには、作品番号からどれどれ……と引くものだけれど、本展では、サムネイルから感覚的に探し当てることができるのだ。
展覧会を特徴づける要素の一端を、リストが体現する。
そんなこともあるものなんだなあと、これまた驚き、感心してしまうのだった。(つづく)