上野へ、奈良を感じに コレクション展 /東京藝術大学大学美術館
タイトルからして変態的な香りを醸しているが……藝大美術館のコレクション展の話である。
今回のテーマは「雅楽特集を中心に」。昨年、開会前に中止となってしまった「雅楽の美」展のリベンジ+αといった趣の収蔵品展だ。雅楽器や舞楽の装束、舞楽を絵画化した作例に加えてその周辺、とくに仏教美術によく目くばせがされた展示であった。
展示室の最初は、歌舞音曲・芸能を司る「伎芸天」のコーナー。入ってすぐにどーんとそびえるのが、伎芸天の造形化された例として最も著名な竹内久一の彩色木彫《伎芸天