【ショートショート】新しい王様の服
その国には、新しい王様が即位したばかりだった。王は国民に対して、「真実の透明性を重視する」と公言し、国中の支持を集めていた。彼のモットーは「何も隠さない透明な社会を作ること」。それを象徴するかのように、王は新たな施策を発表した。
「我々は、新しい時代にふさわしい『透明な服』を皆に提供する!」
王の宣言に、国民は一斉に沸き立った。「透明な服」とは、王の掲げる透明性の象徴であり、特別な素材で作られたということだった。それを身に着けることで、社会的地位や経済的格差を隠さず、皆が平等であることを示すというのがその意図だった。
しかし、この「透明な服」は、実際には何もない。服を作ったとされる職人たちは、「この服は特別な素材でできており、愚か者や真実を見抜けない者には見えない」と説明した。そして王は、国民の前でその「服」を着て登場した。
王がその透明な服を披露する日、広場には多くの人々が集まった。誰もが興奮し、王の新たな一歩を祝福しようと期待に胸を膨らませていた。王は堂々と姿を現し、透明な服を身に纏って群衆の前に立った。全身がむき出しであるにもかかわらず、王の表情には一切の恥じらいはない。
「王様の服は素晴らしい!」
「なんて美しい透明な服なんだ!」
民衆は一斉に歓声を上げ、王を称賛した。しかし、その中には当然ながら首を傾げる者もいた。彼らには、何も見えなかったからだ。しかし、王の掲げる「真実を見抜けない者には見えない」という言葉が、人々の心に恐怖を植え付けていた。もし見えないと言えば、自分が愚かだと思われてしまう。その恐れから、皆は「見えるふり」をするしかなかった。
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