【ショートショート】七つの扉
その日は、一風変わった出来事の連続だった。朝から些細なミスが続き、仕事も思うようにいかなかった。どうにか一日を乗り越え、疲れ切った体で帰宅する途中、私は古びた建物の前で足を止めた。
それは普段は気にも留めない廃ビルだった。しかし、その日は何故か引き寄せられるように、建物の入り口に近づいていった。重くて錆びついた扉を押すと、軋む音とともに中に入ることができた。
ビルの中は薄暗く、埃が立ち込めていた。廊下の先には、七つのドアが並んでいた。それぞれのドアは色も形も異なり、どれも不気味な雰囲気を持っていた。
「何だこれ…」
好奇心と不安が交錯する中、私は一番手前のドアに手をかけた。古びた木製のドアを開けると、中には狭い部屋があり、壁には大きな鏡が掛かっていた。その鏡に映る自分の姿は、どこか歪んでいた。顔は薄暗い影に覆われ、笑っているようで、笑っていない。
「何だこれ…」
怖くなってすぐにドアを閉めたが、その後ろから何かが囁くような声が聞こえた。しかし、振り返っても何も見えない。ただ、廊下に並ぶ残りのドアが私を見つめているように感じた。
次のドアに手をかけた。鉄製の重いドアを開けると、中には真っ赤な壁の部屋が広がっていた。その部屋には時計がいくつも掛けられていて、全てが異なる時間を示していた。そして、全ての時計が不規則にカチカチと動き始めた。
「おかしい…これは夢なのか?」
時計の音が耳を打ち、頭の中でこだまし始めた。逃げ出すようにドアを閉めると、再び廊下に戻ったが、時計の音はまだどこかで鳴り続けているように感じた。
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