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夏に自家製天然製酵母パンの酸味が増す原因と酸っぱくしないコツとは?
この記事は「こびとのカフェ」という【自家製酵母とパンのブログ】からお引越ししてきた記事です。
元記事公開日:2017年7月13日 5:06 PM
夏に作る酵母やパンが酸っぱくなる原因とは?
寒い冬から春、初夏、夏になるにつれて、自家製酵母や酵母のパンが酸っぱくなること、ありませんか?
実は、冬と同じように育てたり発酵させたりしていると、あっという間に雑菌が繁殖して酸っぱくなったり、どろどろになったりして、せっかくの酵母やパン生地が使い物にならなくなってしまうのです。
その詳しい原因を知り、正しく対処していきましょう!
しっかりポイントを抑えれば、夏も酵母やパン作りを楽しむことができますよ!!
室温が高いと発酵スピードが上がる!
ポイントその1。
夏は冬に比べて室温が高くなります。エアコンをつけても、どう頑張っても冬よりムシムシして暑いですよね。
冬並みの室温にしようと思うと外気と室温の差が激しすぎて人間の方も参ってしまいますので、自宅のパン作りでそこまでパンに合わせてはあげられません。
しかし室温の高さは、デリケートな酵母やパン生地にとっては命取りになることもあるのです。
室温が高いとどうなるか。
まず酵母は菌ですのである程度の温かさがないとなかなか育ってきてくれません。冬に酵母を育てたことがある方なら、寒すぎて酵母がうんともすんとも言わない、というのをご経験されたことがおありでしょう。
その反対で、夏は実は、酵母がいつも以上によく育ち、あっという間に酵母液完成!元種完成!となる季節でもあるのです。
と、同時に!!!酵母が活動しやすい季節ということは、同様に他の菌にとっても活動がしやすい季節ということです!
これがどういうことか説明する前に、まず僕たちが普段酵母を育てるとき、瓶の中で何が起こっているかを説明いたします。
ちょっと難しいかもしれませんが、できるだけ簡単に説明してみますので、ゆっくり読んでみてください。
これを頭に入れるのと入れないのとでは、酵母に対する考え方が変わってきます。
酵母を育てる瓶の中の世界とは?
①レーズンについていた野生の酵母菌や空気中にいた酵母菌が水の中でレーズンの糖分を食べて分解しながら増殖する。(酵母菌の培養)その際炭酸ガスを発生させる。酸素が少なくなるとアルコールを生成することでエネルギー代謝を続ける。
②同時に、他の雑菌も存在するが、本来菌は嫌気性といい、酸素がある環境を嫌う。※酵母は酸素がある環境で生きることができる通性好気性生物。
⇒そのため1日1回以上瓶を振って蓋を開け、生成された炭酸ガスを抜き、新しい酸素を取り入れてあげることで酵母菌に有利な条件をつくる。また、酵母菌に有利な条件として「糖分」が多い環境が挙げられる。そのため酵母を作る時には、糖分が多く含まれる素材で作るか、あるいは糖分を添加して作る。
※菌の世界は、何か一つの菌が勢力を増すと、他の菌の力は衰えてゆく。そのため、うまく酵母菌を強く育ててあげると、他の菌が繁殖しない安定した酵母になることができる。
![](https://assets.st-note.com/img/1729864007-LMA569wGtsoSJ3OHnCUmpVyD.png)
瓶の中ではこんなことが起こっているんですよ!まさに生命の神秘(・0・)!
次に、酵母菌の生き死にを左右する温度について知りましょう。
酵母菌が活発になる温度と死んでしまう温度とは?
★酵母液を作る時には「27度程度」が一番酵母菌がよく活性化します。
(とはいえ、酵母の菌の種類によっては適正温度が違うので、だいたいこれくらいという目安です。)
★酵母菌はだいたい45度~70℃ほどの幅のなかで、ほとんどが死滅してしまいます。
他の菌は何度が好き?
![](https://assets.st-note.com/img/1729864039-V7GhexBptkDal39ucFdKOyQ6.png)
●乳酸菌⇒約37℃~45℃くらいの間で活発に増殖
※乳酸菌にもいろいろあるので、好きな温度がまちまち。しかし酵母菌よりも高温で発生しやすい。
●酢酸菌⇒約20℃~30℃くらいの間で活発に増殖
※空気中の酸素を使ってアルコールを元に酢酸をつくる。つまり、好気性には違いないが、酵母液を作るときにアルコールが出すぎないように時々振って蓋を開けてあげることを忘れないことで、酢酸菌の発生を抑えることができる。
これらのことから、分かる結果を以下で説明します!
夏は酵母やパン生地が酸っぱくなる原因(理由)とは?
27℃程度で保って酵母を育てられればいいのですが、それが難しいのが夏!
もし30℃を超えてくる室温の中で酵母を育てたりパン生地を発酵させたりするとどうなるか。
⇒乳酸菌の増殖が活発化し、酸味が増す!
もし27℃くらいで保てても、温かい環境でちょっと気を抜くと酵母の活動が活発になり、瓶内の酸素をあっという間に使ってしまい、酸素の代わりにアルコール代謝をすることでエネルギーを作り出して増殖を続けます。アルコールがあること自体は別に酵母を殺すわけではないし、乳酸菌を殺すのでいいのですが、アルコールが酢酸の素になってしまうので、今度は酢酸菌(これも酸っぱい原因)が力を増してしまいます。
これらが夏場に酵母が酸っぱくなってしまう原因です。(冬でもコタツの中などで常時温めすぎると同じことですね)
なので夏の酵母づくりで重要なのは、
1、27℃程度を保てる環境づくり!
2、1日1回以上、できれば2回~必ず瓶を振って蓋を開ける!(酸素補給)
3、瓶と蓋、そしてかき混ぜる際のスプーンなどは必ず煮沸消毒を徹底する!
ですね!!^^
また、パン生地の発酵でも温めすぎるとあっという間に過発酵になってしまいます。
過発酵もパンが酸っぱくなる原因になりますので、注意が必要です。
パンを発酵させる際は1次発酵は「こね上げ温度が28℃を超えたら」生地がダレやすく、過発酵になり、小麦の美味しさも死んでしまいます。(小麦の熟成温度は24~25℃)
⇒だから1次発酵は冷蔵発酵でじっくりすることで小麦の旨みの生きた美味しいパンが楽しめるのですね^^ 1次発酵はよく35℃と言われていますが、冷蔵庫でも冬の常温でもゆっくりですがしっかり発酵しますので、温度管理がしっかりできない家庭でのパン焼きの場合、暑くしすぎない方が良い気がします。(過発酵は元に戻せないので)
2次発酵では40℃以下、というのが多く聞かれますが、40℃はちょっと暑すぎる気がします。夏の室温はそれこそ放置しておいてもすさまじいスピードで発酵してくるので、保湿をしっかりして、夏は室温程度でちょうどいいのではないかと思っています。
夏の酵母づくりのヒント&パン生地作りのコツとは?
酵母を作る時に27℃を保てるいい方法があります。
それは、ヨーグルトメーカーです!!!☆彡
ヨーグルトメーカーで酵母づくりをすれば、春夏秋冬関係なしに安定した酵母が育てられていいですね~^^
(僕も欲しいです)
あと、夏のパン生地づくりにはコツがあります!
それは、使う粉を量って冷蔵庫で冷やしておくこと!
そして、水は「氷水(冷水)」を使うこと!!
HBで作るなら、暑い日はHB内の容器を冷やすことも良い手です。
(※しかし氷水の入ったビニール袋をHBと容器の間に慎重に押し込むにしても、リスクはあるのでご本人の責任の下!笑)
夏の酵母づくり、パン作り、このように工夫して楽しくやっていきましょう!
こびと
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