「企業が街を作る」ということ。KOBIRA×株式会社住まいず、対談インタビュー。
創業110年を迎えたKOBIRAは2024年に、本社を鹿児島市から「シャッター温泉街」である日置市湯之元に移転します。日置市と連携協定も結び、地域住民とともに世界に誇れる『ウェルビーイングタウン(*)』に再生していくことを目指しています。
▼本社移転について▼
そんなKOBIRA新オフィスの建築に携わる『株式会社住まいず』さんは、鹿児島県を中心に注文住宅を手掛ける家づくりの会社です。
2023年6月。住まいずさんが鹿児島県霧島市小浜にゼロから村を作っている「obama village」にて、新オフィス建築の調印式を行いました!
▼株式会社住まいず▼
調印式の後は、株式会社住まいずの11代目社長の有村健弘さん&11.5代目の有村康弘さん(お二人は双子なので、11代目と11.5代目なのです!)、KOBIRAの小平勘太社長へ「企業が街を作ること」をテーマに、対談インタビューを行いました。今回はその様子をお届けします。
新しい地域と企業の関係性を作りたい
──(人事組織部 門田)では、よろしくお願いします。いよいよ新本社の建築が始まりますね!そもそも本社を移転するという決定に至ったのはなぜなんでしょうか?背景を改めて教えていただけますか?
小平:去年KOBIRAではミッション、ビジョン、バリューを新しく設定しました。「これからの100年も社会に安心と希望を届け続ける」という新しいミッションの中で、10年後の2032年に実現したいこととして、「ワクワクあふれる街を産み出す」や、「先陣を切って進化し、全国の中小企業に刺激を与える」というビジョンも設定しました。
そんな中で、今後の企業の在り方を考えたときに「利益だけの追及」ではなく、コミュニティへの貢献であるとか、社会に対して何かしらの課題解決をしていくということが企業の取り組みとして重要だと思ったんです。鹿児島の都市部である鹿児島市から、シャッター温泉街の湯之元に本社を移転することで新しい地域と企業の関係性を作れるのではないかと思って移転を決断しました。
鹿児島市に本社がある今は、地域の方との交流というのがほとんどない状態なんですよね。やはり地域に根差してきた企業として、より地域との境界線を曖昧にして、地域の人と一緒に色々なおもしろい取り組みができていけば、社員にとってもそれが良い刺激になるんじゃないかと思っています。
▼KOBIRAのミッション、ビジョンについて▼
──湯之元の地域資源を活用して、KOBIRAとしてどのような事業をおこなっていきたいと考えていますか?
小平:事業というよりも、地域の人も巻き込んで街全体のデザインをしていきたいです。よりワクワクして暮らしやすい街。ウェルビーイングタウンという言い方もしていますが、そういった街を作っていく。僕らもそこに根差す一員として一緒に行っていくような取り組みができたらなと思います。そこからきっと新しい事業やビジネスもできてくるんじゃないかと思っています。
──では、そんなKOBIRAの新しい本社の建築を「住まいず」さんにお願いしたのにはどういった理由があったんでしょうか?
小平:理由は大きく二つあります。一つ目は、”木”をベースにしてオフィスを作りたいということです。木はCO2を吸収する素材でもありますし、地域で育ち循環する素材です。組織や環境を重視するKOBIRAのビジョンにも合うので採用したいと思っていました。住まいずさんは木材の扱いに関して高い技術を持っているため、ぜひお願いしたいと考えました。
二つ目は、お互い歴史のある企業であるということ。健弘さんと康弘さんが11代目と11.5代目。自分も4代目で100年を超える会社です。老舗の会社ながら新しいことにチャレンジしているということで、住まいずさんには強くシンパシーを感じています。一緒にやったらなにか面白いことができるんじゃないかということで今回お願いさせてもらいました。
「企業が街を作る」というテーマのシンボリックなものになる
──では次に、住まいずさんにお伺いします。これからKOBIRA新本社の建築が始まるところですが、今回のプロジェクトを通じてどういったことを達成したいと考えていますか?
有村(健):小平社長がおっしゃったように「企業が街を作る」ということが、鹿児島だけではなく日本全体の、今後の一つのテーマになっていくと感じています。なので、今回の新オフィスがその動きの中での一つのシンボリックなものになるといいなと思っています。
また、ただオフィスを作るだけではなくて、県だったり国の資源である”木”を使うということがすごく大事。その資源を使って街を作るということをこれから広めていきたいです。
木造建築のパイオニアに
──今回の建築は木を使っていくということですが、そのことが社会や業界にどういう影響を与えると思われますか?
有村(健):今、国や県の指針で公共建築物の木造化というのがすごく言われています。ただ、実際にやっているところはなかなかないので、パイオニアのプロジェクトになると思っています。木造で建物を作っていくという今後の大きな流れの一つになるんだろうなと。
また、木造の欠点として地震や台風に耐えられないということが言われていますが、今回は、それをカバーできる特殊な工法を用います。地震にも台風にも強く、鉄筋コンクリートの基準並みの強度を持つものです。他県では実績があるものですが、ここ鹿児島で広めていきたいと思っています。この工法だと普通の木造建築住宅ではできない空間の作り方ができるので、やれることの範囲が広がるんです。そういう意味ではかなり画期的です。
しかも今回使うのは県産材のヒノキ!木造でこれだけのものができるというPRになると思います。
餅まきフェスやりたいよね
──他に、建築をしていく過程でやっていきたいことはありますか?
有村(健):建てるプロセスをイベント化できればいいなと考えています。「上棟式の餅まき」なんかも、ただまくだけではなくて、地域の人を巻き込んだお祭りにできると良いなと。僕がMCとかするので。景品とかもあると面白いですよね。餅まきフェスみたいな。
小平:それ良いね。ごはんとか、お弁当も当たると良いよね。お弁当は、まけないから、お弁当券みたいなものを準備してまくみたいな。
有村(健):そうそう。そういうのを通して地域の人が本社の完成にワクワクするみたいな。そういうことができたら良いですよね。
──お祭りすごく楽しそうですね!今からワクワクしてきました!
少し話が変わりますが、住まいずさん自身がこれからやっていくことというか、目指している未来はどういったものになるんでしょうか?
有村(健):考え方はほとんど小平社長と似ていて、自分たちの周りの幸福度をどう上げるかということがテーマです。地域の人たちや、社員も含めてどうハッピーになれるかを追求していくのが大事になると考えています。売り上げをめちゃくちゃ上げるとか規模拡大とかっていうわけじゃなくて。そこはバランスが難しいんですけど。まあ、売り上げだけを目指すのであれば多分これ(obama village)じゃないですしね(笑)。
▼obama villageについて▼
地域との関係性を作るキーワードは「見返りを求めない贈与」
──KOBIRAも住まいずさんも「街の中に新しい建物を作って地域の人と関わる」ということをやっていますが、地域の人との関係性はどのように作っているんですか?
小平:基本的に考えているのは、「見返りを求めない贈与を通じた関係性の構築」です。湯之元に無料のシェアカフェであるハマポケを作ったときは、特にビジネス的な狙いがあったわけではなく、基本的に街へのプレゼントとして考えていました。そしたら街の人たちからも、いろんなことが返ってきて自然と関係性ができていって、その贈与をやり合ううちに、今度はKOBIRAの本社を移転することになった。見返りを前提としないプレゼントみたいなところから街やコミュニティとの関係性ができていくのかなと思っています。
▼ハマポケについて▼
有村(健):アグリーです(笑)。
あと、住まいずは建築会社なので、そういった意味での関わり方というところでいうと、今、obama villageに会議室を作っているのですが、これを地域の避難所にしていくということを考えています。田舎の課題って、きちんとした避難所がないというところがあるんですよね。小学校はあるけれども、耐震がされていないところもあるので、何かあったときに安心して逃げられる場所がない。企業としてはそういう避難所的な、貢献の仕方もあるんだろうなと思っています。
KOBIRAの新本社も耐震性があるので、そういう役割を担ったら面白いかもしれませんよね。あと地域のお祭りに出たりとか、そういうところからかなと思っています。
有村(康):トータリーアグリーです(笑)
姉妹コミュニティになる
──では最後に、KOBIRAの新本社とobama villageは今後どういう風に関わっていけると考えていますか?
小平:姉妹コミュニティみたいになると思うかな。鹿児島県内でも地域の中でこういうことをやっている人って結構いて、それぞれのコミュニティが繋がっていくというのがすごく重要なんじゃないかなと。お互いに行き来したり交流したり、今後何十年も繋がっていくような長い関係性になるんじゃないかなと思っています。
有村(健):たとえば新本社前でマルシェとかをするときに、obama villageチームが出店したりとか。逆もしかりですよね。
小平:そうそう。それと新本社は学びの場にもしたいんだよね。地域の作り方とか。コミュニティの中のいろんな人を講師に呼んで、学べるようなそんな場になったら面白いなと思っています。Obama Teamにも街の人向けに話をしてもらって、お互いの住人たちが行き来し合う関係を作れたらいいなと思っています。
──来年の本社移転がますます楽しみになってきました!ありがとうございました!!
"企業が街を作る"ということ。
利益だけを追求するのではなく、企業と街との境界線を曖昧にして、地域住民と共にワクワクして暮らしやすい街を作っていく。
KOBIRAは新しい地域と企業の関係性を軸に、湯之元で様々な取り組みをしていきます。来年の新本社移転はその第一歩です。