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お月様と妖精たち

お月様

十五夜を過ぎ、やっと朝晩が涼しくなり、日によっては秋ってどこに行ったの?という事も増えました。
空気が澄んでくると、月が清かに見えてくるとは昔から言われていますが、本当にそうだなぁと夜空を見上げる度に思います。
皆さんは、どうなお月見をされましたか?

月と妖精

妖精たちが月を愛しているのは良く知られていることです。
月夜の森で踊ったり、満月の晩に妖精王がお付きの騎士たちと騎馬行列で遊行するのは、妖精譚の定番と言えます。
以前、亭主が住んでいた町には、小規模ではありますが雑木林があり、満月の晩に通りかかると、青い光が降り注ぎ、少しゾッとするような美しさをたたえていました。
そう言う景色に出会う度に、ああ妖精たちの存在が感じられるなぁと思います。

月のお話

では、月のお話にはどんなものがあるでしょうか。
ペルーには月と太陽が人の存亡を賭けた争うのお話があるといいますし、中国では月には月下氷人という男女の仲を取り持つ仙人が住んでいるとか、嫦娥と呼ばれる仙女が、不老不死の仙薬を盗み、月に逃げたとも伝えられています。
やはり煌々と夜空背に輝く月は人々の想像力をかき立てるのでしょうね。
日本にも、竹取物語(かぐや姫)という世界に誇れる物語があります。物語の祖とも呼ばれ、世界でも愛俑している人が多くいます。

竹取月の百姿 月宮迎 / 月岡芳年

アイルランドでは?

実は、あまり伝わっていないと言いますか、天体に関する妖精譚や神話などはほぼ見かけません。神話にも残念ながら天体由来の神様はほぼ登場しません。
お隣のイギリスのリンカンシャーには沼地で邪妖精に月が捕らわれたという『消えた月』というお話が伝わっていますが、広範囲に類話がないそうで、伝承というよりは、ごく一部で伝わる(もしかしたら創作と疑われている)お話のようです。
一説には、西欧は変わりやすく雨になりやすい天候や、風景そのものが魔法的に美しい為、先人たちはあまり夜空に関心が向かず、天体についてのお話が少ないのだと言われています。
確かにアイルランドなどは空模様が目まぐるしく変わり、在るが多い地域です。1日の中に四季があるといわれ、雨上がりなどの輝く草原は息を飲むばかりですし、朝焼けや夕焼けなど、地上にはにこんな色あったのか、と立ち竦む事もよくありました。天気が変わりやすいと言うことは、同然見える景色も、それを感じる人の心にも違いがあって当然ですよね。そういえば、多くの星座物語が生み出されたメソポタミアやギリシアなどは空気が乾燥して、夜空が美しく見えますね。

お話は土地と共に

前回の鉱物についての記事でも書いたのですが、やはりお話は、伝えられた土地と、伝える人たち、そして聞く人たちによって育まれるものです。
例え同じような流れ、結末を迎える類話であっても、そニュアンスは、全く違った味わいになります。お話に触れる人は、お話を通して、その土地を味わい経験する。それこそがお話の妙味であり、捕らえて放さない魅力なのだと思うのです。

アイルランド西部アラン諸島イニシュマーンの夕景

狐弾亭の1冊

エリック・ローマン (著, イラスト), 長友 恵子 (翻訳)

満月の夜の様々な存在と出会い。
これほどワクワク、ドキドキすることはないでしょう。
それが大切な友との再会であればなおさら。
月の魔法は、きっと誰にでも素敵な時間をもたらしてくれるに違いありません。
狐弾亭の書棚にもありますので、開店、お越しの際には是非。

狐弾亭亭主・高畑吉男🦊

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