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大学院初日にイギリスの洗礼を浴びた

イギリスへの留学も佳境を迎えている。残り2か月。最近は修士論文を書き終えることができるかできないかの戦いを日々繰り広げている。

残り期間が少なくなり、来た当初のことを思い出すとすでに感慨深くなってしまう。まだちゃんと卒業できるかもわからないのに。

懐かしいなと思いながら写真を見返していると、ふと、大学院初日に起きたある事件について思い出した。


イギリスに着いてから1週間は大学もまだ始まっていないため、生活をしていくための色々な準備をしていた。持ってきた荷物を棚に収納し、日用品の買い出しに行った。学生カードを作るなど、入学に必要な手続きもこの間に済ませた。

寮はシティセンターから離れていて、周りにバーミンガム大学以外見当たらない。しかし、探索をしてみると、意外と寮の周りで生活が完結することが分かった。一番近くに学生に優しい価格帯の低いスーパーがあった。徒歩10分圏内には、24時間やっているスーパーや食材から服から日用雑貨までなんでも売っている大型スーパーもあった。

いや、スーパー多すぎ。

他にも日本でいうところの100均にあたるポンドランド、ホームセンターなどもある。基本的に寮の周りで買えないものはない。なので比較的楽に生活用品は取りそろえることができた。

また、これからフラットで誰と一緒に暮らしていくのかもその期間で知った。初めての共同生活。1日ごとに1人、また1人と入居してきた。恐らく全員が揃ったのは、9月最終週の水曜日である。

自己紹介もそこそこに、全員揃ったその夜にはフラットメイトたちと「明日の予定は?」「明日は買い出し」「あたしは大学に行く」みたいな話をしていた。次の日はみんな午前中に出払うとのことだった。とにかく、みんないい人そうで少し安心したことを覚えている。

(フラットメイトたちの話は既にいくつか書いているので、読んでもらえると嬉しいです。➀共同生活で学んだ一緒に生活するうえで大切なこと、➁突然フラットメイトのジェイがいなくなった話


準備期間はバタバタとしていたが、日用品も揃ったし、フラットメイトも優しそうだし、既に充実感はあった。授業に対する不安はあったものの、生活面が上手くいきそうだったので、きっとそっちも何とかなるだろうと思っていた。

フラットメイトが全員揃った次の日、僕は学部のオリエンテーションがあった。大学院生活初日である。オリエンテーションは午後からだったので朝はゆっくりめに起き、昼食をとった。身なりを整え、忘れ物がないかを確認し、「さあ行こう」と部屋の扉に手をかけ開けようとしたとき、その事件は起こった。



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え?

この状況になり、1分くらい固まってしまった。

何が起きた?

人間予想外のことが起こるとすぐには対応できないものである。だんだんと状況が飲み込めてきた。行動を確認してみる。

ドアノブ。回した。引いた。そしたら。ドアノブ。とれた。ねじごと。


終わった。


これはドアノブを回さないと開かないタイプのドアである。内側からは開けられない。

「そうだ!フラットメイトに助けてもらおう。こういう時に助け会えるのがシェアハウスの良さなんだ」と思ってスマホをみたものの、昨日の夜の会話がフラッシュバックした。

そういえばみんな午前中から外に出ていると言っていた・・・。

無理じゃん。


というわけで、自分でどうにかするしかない。工具なんてないので、取れてしまったドアノブをあの手この手で少しずつねじ込み、回せるところまでもっていった。結局20分くらいかけて、なんとか開けることができた。

寮のレセプションに状況を伝えて、取れたドアノブを手渡し、修理をお願いした。はたから見たらかなり変な光景だったと思う。

急いで大学に行ったが、10分遅刻してしまった。入った時のみんなの視線が痛かった。「ドアノブが取れて部屋に閉じ込められた」という説明をするわけにもいかず、謝罪も早々に席に着いた。

今振り返るとそんな言い訳をしたら、もっとややこしくなっていたと思う。余計なこと言わなくてよかった。


確かこれがイギリスに来て最初の試練(トラブル)だった。「イギリスなめんなよ」という洗礼を受けた気がした。なんの試練なのかはよくわからないが。

この1件で、少しだけだが自信がついた。これを乗り越えたからきっとやっていけるだろうという、これから先への自信である。何で自信をつけてんだよという感じだが。


そんな自信もよそにもう残り2か月のところまで来てしまった。あと少し、初心を忘れずに頑張ろうと思う。

そういえば、あの日にドアノブを修理してもらって以来、ドアはスムーズに開くようになった。


執筆者・東京人

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