運転はタフガイに任せろ【俺バグ】
<あらすじ>
「大宮は火力すげえ。なんでも燃やせる。だから神戸から遊びに来いよ!」
*
9月の3連休に、ボブとまさはるが住む関東に旅行に行くことになりました。
その交通手段について、グループ通話での話し合いが続きます。
「車はやめよう…遠いから新幹線ちゃうか?」
そう言ったぼくに対して、ボブは言いました。
「とっしー、お前さ。せっかくええ車買ったのに、もったいないと思わんのか?車の気持ちになれよ。ずっと砂漠走らされて、さぞかし辛いよろなあ」
「いや、鳥取に住んでるけど、毎日砂漠を走ってるわけじゃないぞ…
けど、ボブが言いたいことはわかるよ。
たまには、都会をドライブしたい。
そして、首都高を走りたいんや」
「じゃあ決定や。
移動手段はとっしーのフィットやな」
「わかった」
そうと決まればあとは、気持ちと体力の勝負です。
ぼくが当時住んでいた鳥取から、東京までの距離は、約900km。この距離をどう乗り越えるか…
ここで、きゃぷてんは言いました。
「俺は運転せんから、とっしーとギアルで運転頑張ってくれよ」
「え?あかんって。ギアルはテニス部の時から運動神経の悪さで有名やん。
危なっかしい…」
話題に上がっているギアルは、運動神経の悪さはピカイチでした。テニス部入部当初はラケットにボールが当たらず、風を切っていたものです。ついたあだ名が「風車の弥七」じゃなくて、「風切りのギアル」
「大丈夫。ギアルは免許持ってるから」
「二重に怖いわ。
ギアルが運転することはもちろん怖いけど、
あいつが免許を持ってること自体が怖いねん」
ギアルには、これを読んでもらいたい。(今日のアフェリリンク~)
「俺もそうやで。
えっ、お前が免許持ってるん?って思ったからな」
「あかんやん。
俺は自分の車をギアルに運転させるのが怖いんや。
みんなも自分の車やったらどうや?」ぼくは、必死に訴えます。
きゃぷてんは少し考えてからこう答えます。
「もし自分の車ならギアルには運転させたくないよな。
ただ、今回はとっしーの車やからギアルに運転してもらおう」
「なんでやねん!」
ぼくときゃぷてんの口論を聞いていたボブは、たまりかねたように叫びました。
「わかった!わかった!」
「まず、わかるってなんやねん!
それで、どうわかってん!?」
「この名案でいこう。
まず、あくまときゃぷてんは、先に新幹線で出発や。
さっきは飛行機の案やけど、新幹線の方が少し遅い。
ほんで、とっしーとギアルは車や」
ぼくはその案を聞いて、反発します。
「だからそこがあかんねん!ギアルに運転させるなって!」
「違うよ。ギアルは運転せん。
あいつは助手席で、とっしーを応援するだけや」
「応援?もっといらんやん…」
「高校の時を思い出せよ。
ギアルは、他のクラスの合唱練習に乱入して、「全員でがんばれ」と急に叫んだ応援隊長やん。
俺らの高校が生んだ`タフガイ`が横に乗っているだけで力漲るやろ?」
「ギ、ギアルがタフガイ?」ぼくは驚いて尋ねます。
「タフガイやん。腕とか凄いからな。見るからにパンパンやん」
「え?どこがよ?骨みたいに細いぞ。体は皮や」
「さらに驚くべきはあの体力。
あいつがしんどそうになってることが見たことがない」
「いや。GWのドライブで車に酔って死にかけてたやん。
あいつは俺らの高校でも有数の貧弱体質で、顔も色白いやん」
それを聞いたボブは一言。
「バレたか」
*
「バレるも何も…」
ボブはぼくの声を遮ります。
「とにかく!!運転はとっしー1人に頼むしかないんや。
だって、全員が満遍なく運転したらみんな疲れるやろ?」
「まあ、みんな疲れるな」
「あかんって。疲れるのは1人でいいんや。
残りの3人は運転せずに体力を温存や。
到着した時に、いいパフォーマンス出せるようにしておかないとな」
「パフォーマンスも何も、騒いだり、パチンコするくらいやろ」
高校卒業後、ぼくらは毎年必ず旅行に行っていました。 大学1年:香川 2年:和歌山 3年:鳥取 4年:石川 しかしどの観光地に行こうが、ちゃんと観光をしたいのはぼくだけ。他のメンバーは「観光はこなしてパチンコいこうぜ。イオンのゲーセンいこうぜ」と...(笑)
「そんなことないぞ!?」
「じゃあ何するねん?」
「まあ、パチンコとか、パチンコとか、あと、パチンコやな…」
「全部、パチンコやんけ!大学時代の旅行といっしょや!体力温存なんていらん!」
「まあ、それはおいといて。
とりあえず、運転は頼むわ、とっしー」
「運転役の俺は、生贄かよ…」
「旅に犠牲はつきものや」
ぼくは思案の末、こう告げました。
「関東でボブとまさはると合流したら、6人になってしまう。俺の車、フィットは5人乗りや。
このメンバー構成を考えると、一人は不参加にせざるを得ない...
「とっしー、お前、もしかして??」ボブはぼくに尋ねます。
「ああ。こうなったら、タフガイのギアルを切る。
あいつは発想がネガティブやし、神戸から埼玉までのドライブに耐える体力もない。
ギアルはバイナイや。今回の旅行には呼ばない。
(バイナイ=バイバイ関係ない人 俺たちバグジー親衛隊用語)
ほんで、関西を出発するのは俺ときゃぷてんとあくま。この3人でフィットに乗っていこう」
「お前ってさ。発想が生粋のいじめっこやな。さすがインテリヤクザ」
「旅に犠牲はつきものや。俺の車は5人乗りなんやから...」
ぼくとボブのやりとりを聞いていたきゃぷてんも一言。
「めっちゃ酷いし、いじめっ子の発想やな。
けど、それでいこう!これで一件落着や!」
このときのぼくらは、まさかギアルが
`自ら消える`なんて思ってもいませんでした。
*
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
今日は、俺バグの投稿です。この話も、実話ですね(笑)
世知辛い世の中。コメディで笑顔が増えればいいですね!
5人乗りの車で旅行するときに、6人以上メンバーがいたらどうするか...?
この決断は、なかなか悪いかもしれません...が、実はこのあと、
ギアルはぼくらのグループのLINEからとある理由のため、離脱します。その後、ぼくが強引に彼を連れ戻すのですが、その経緯はこちらです。
1年3か月前に書いたエッセイですが、とても大切な作品なので読んでいただけると嬉しいです。
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「大満足」「寒すぎて汗かく」「ペロンチョして?」「うまメシは任せろ」
迷言で、毎日を愉快に^^