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時代を反映?いまどきの「学校制服」事情

衣替えの時期に紙面で取り上げられる定番に制服があります。最近は、季節の変わり目以外にも扱われる機会が多くなりました。キーワードは「多様性」と「負担軽減」のようです。播州人3号が時代を映す「学校制服」を紹介します。

生徒や保護者、学校にとってそれだけ大きな意味を持つのでしょう。
中学校や高校の「制服変更」がニュースになります。

ブレザー型導入、ジェンダーレス化
加古川中 初の制服変更
生徒ら文化発表会で披露

 加古川市加古川町備後の加古川中学校が、2023年度に、創立77年で初めて制服を変更する。現在は男子が詰め襟、女子がセーラー服だが、防寒や動きやすさといった機能性を重視し、ブレザー型を導入。スラックスかスカートを自由に選べるなど、性別にとらわれない「ジェンダーレス制服」になる。29日には文化発表会で、生徒会のメンバーが生徒や保護者らにお披露目した。
 新制服を着た生徒が次々と舞台上に現れ、スポットライトを浴びてポーズをとった。
 同町北在家の加古川市民会館で開かれた文化発表会。生徒会は、創立100周年の加古川中学校にタイムスリップしたという設定の劇を披露。その中で、ファッションショーとして新制服を紹介し、大きな拍手を受けた。
 同中は創立75年に合わせ、21年度から制服変更を計画。同中や校区内の加古川小、鳩里小の教員、PTA役員らでつくる制服検討委員会で、話し合ってきた。
 生徒や教職員、当時の両小学校5年生の保護者にアンケートも実施。セーラー服は内側に着込みにくく、脱ぎ着しにくくて体温調整が難しいとの指摘や、スラックスとスカートの選択制を求める声などが多かったという。
 胸に付けるワッペンやボタンのデザインは生徒から募集。新制服のデザインも、複数案から生徒と両小学校6年生の投票で決めた。
 ブレザーは伸縮性が高く、しわになりにくくて洗濯しやすい素材を採用。夏の半袖シャツと冬の長袖シャツは、ニット素材になる。
 23年度の新入生から着用するが、希望する2、3年生が新制服を着ることや、新入生が詰め襟、セーラー服を着ることも当面は認める。
 文化発表会に出演した生徒会長(15)は「詰め襟は肩回りがきつかったけど、新制服は動きやすい。おしゃれな制服になる新入生がうらやましい」と話した。

(2022年10月1日付朝刊より)

検討会には、校区の小学校教員も加わり、新デザインは文化発表会の舞台でお披露目されました。
記事にもある「ジェンダーレス」の視点をいち早く制服に取り入れたのは、こちらの中学のようです。

新しい制服 性別とらわれず
姫路市立山陽中 時代に合わせ
男女共通スラックス

 姫路市立山陽中学校(姫路市延末)は28日、来年度から採用する新たな制服について、男女ともスラックスとブレザーを標準にすると発表した。性別にとらわれないジェンダーレスの観点から女子に選択肢を設ける学校は増えているが、スラックスを基本とするのは全国的にも珍しい。背景には選択制を導入しても、周囲の目が気になってスラックス着用が進まない現状もあるという。
 同校では周辺校がブレザーを導入し、生徒から制服変更を求める声が出たため、2018年から見直しの議論を始めた。国連が採択した「30年までの達成を目指す国際目標」(SDGs)で、ジェンダーの平等が項目の一つに掲げられていることも意識した。
 19年にはPTAの保護者らも交えて検討委員会を立ち上げ、在校生や進学予定の小学生らを対象にアンケートも実施。「なぜ女子だけスカートなのか」といった疑問や、「時代に合っていない」との指摘が上がり、スラックスの標準化に踏み切った。一方でスカートにこだわる声にも配慮し、年度当初に申請すれば男子も含めて着用を認める。
 新制服は学校周辺の手柄山をイメージし、緑色を主体にしたデザイン。会見した校長は、選択制の課題について「社会の理解がまだ十分でなく、(LGBTなど)性的少数者であることを表明しづらい雰囲気がある」と指摘。今回の見直しにより「男女分け隔てなく着やすい制服になった」と強調した。
 大手学生服メーカーによると、北海道では冬場にスラックスで統一する学校があるものの、通年での標準化は珍しいという。

(2020年9月29日付朝刊より)

制服と言えば、画一的なデザインを思い浮かべますが、生徒の好みが反映できる仕組みを導入した学校もありました。
「選べる制服」です。

リボン、スカート…「選べる制服」
県内公立高初 高砂南高、来春から導入

 高砂南高校(高砂市西畑)が開校35周年を迎える来春、生徒の制服を一新させる。県内の公立高校では初めてスカート、リボンの柄や、夏シャツの色を選べる「オプション制」を採用した。
 8月にあった中学生向けのオープンスクールで見本の人気投票を実施し、検討を重ねてきた。現在、女子はセーラー服、男子は学ランを着用しているが、いずれも播磨灘をイメージした紺のブレザーに変更する。
 女子のスカートは人気投票で支持率の高かった青と灰色のチェックか、黒基調のチェック、どちらかを選ぶ。男子もスラックスで2種類を用意した。
 校長は「生徒たちがさっそうとした制服姿で歩き、古い街並みに気持ちの良い風を吹き込んでほしい」と話す。

(2013年11月6日付朝刊より)

制服のイメージが入学希望者数にも影響するという話を聞いたことがあります。
生徒の希望に応える取り組みがある一方で、デザインを「統一」する流れも広がっています。

来春から小野市立中学
全4校統一の制服導入
男女兼用ブレザータイプ
容易に再利用、負担も軽減

 小野市立中学校は来春の2023年度新入学生から、市内全4校で統一制服を導入する。男女兼用ブレザータイプで、多様性の尊重や兄弟姉妹間の再利用を容易にしたほか、スカートとスラックスを選択できる。昨年9月から検討会や生徒と保護者へのアンケートを重ね、さまざまな意見を反映させた。県内の市立中学校での統一制服採用は初めて。現在、市立図書館(同市中島町)で新制服を展示している。
 同市教委によると、以前から保護者や生徒から「冬場はスカートでは寒い」「女子がスラックスを選択できるようにしてほしい」「価格が高い」などの意見が寄せられていたという。
 こうした声を受け、昨年9月から中学校校長会や生徒指導担当者会で制服を見直すための検討を開始。アンケートを実施した後、保護者と生徒も参加した会合や展示会を実施した上で導入を決めた。
 新制服は男女統一のデザインで、性別や性自認を問わず違和感なく着用できる。また、従来の制服よりも1万円程度安くになるといい、保護者の負担軽減にもつなげる。
 濃紺のブレザーは、同市の市花ヒマワリの黄色と市内を流れる加古川の青色をイメージした織り糸を使用し、オリジナリティーあるデザインを心がけた。
 旭丘中(同市古川町)の校長は「子どもたちが学校に行きたいな、と思えるデザインを目指した。現在、校則も時代に即した形に変えようとしているので、生徒みんなが気持ちよく来られる環境を整えたい」としている。

(2022年8月27日付朝刊より)

高価な制服が1万円程度も安くなるとは、保護者も助かります。
複数校で同じデザインになれば、制服の再利用もさらに進むのではないでしょうか。

神戸市は大規模な投票で「神戸モデル」の服を決定しました。

神戸市立中学「神戸モデル標準服」決定
着こなし多様「C案」
投票者半数近く支持
シャツ、ネクタイ、セーター…各校で選択

 神戸市教育委員会は、市立中学校全82校の制服の共通モデルとなる「神戸モデル標準服」について、市立小中学校の児童生徒や保護者からの投票結果を踏まえ、四つの候補から、アパレル大手のワールド(中央区港島中町6)デザインの「C案」に決定したと発表した。投票者の半数近くの支持を集めたという。
 C案は、冬服は左胸のワッペンに錨(いかり)マークや神戸タータンをあしらう。上着やズボン、キュロットスカートは全市共通のデザインだが、シャツやネクタイ、リボン、セーターなどは学校単位で選べるという。
 投票は6月17~30日、保護者への連絡アプリで実施し、6万4325票(回答率35%)が寄せられた。C案は3万219票で半数近くを占め、小学校低学年▽同高学年▽中学生▽保護者―のいずれもトップだった。C案を選んだ理由では、保護者は「バリエーションの多さ」「動きやすそう」を挙げる人が多く、児童生徒は「かわいらしさ」「かっこうよさ」を挙げる人が多かった。
 各校で神戸モデル標準服を導入するかどうかは、制服のモデルチェンジの時期に、それぞれの生徒や保護者の意向も踏まえて判断してもらう。導入する場合は2023年度以降で、導入年度の新1年生からを対象とし、2、3年生は対象外となる。このほか、導入後もきょうだいのお下がりなど、各校のこれまでの制服を着ることもできる。
 神戸モデル標準服は、制服の価格上昇に伴う保護者の経済的負担や、性の多様性に対応しようと、制服のあり方を巡る検討会が導入を提言したが、今回の投票に際して保護者からは「唐突過ぎる」「どの案にも賛成できない」など批判的な意見も寄せられている。
 市教委学校教育課は、年内をめどに最終的なデザインや流通のあり方を決めていく方針で、「これまで経緯などの説明が不十分だった。今後は保護者への連絡を密にしていきたい」としている。

(2021年8月1日付朝刊より)

過半数の支持を集めて選ばれたC案はどんなデザインだったのでしょうか。
せっかくなので落選の3案を含め写真で紹介します。

<A案> 神戸タータン全面に

<B案> 清楚なスーツスタイル

<C案> カジュアルとフォーマル
  ※こちらに決定しました

<D案> 爽やかさと清潔感

記事にもある通り、標準化することに反対の意見も寄せられます。
読者の声を電話などで募る「イイミミ」からです。

制服の共通化要らない

 神戸市の市立中学校や義務教育学校で共通の「神戸モデル標準服」を決める投票をする記事がありました。なんで標準服を決めなあかんのか、分かりません。それより、体操服を小、中学校で共通にしてもらいたい。私たちのときは制服で登校し、体育は体操服に着替えました。今は、体育のある日は体操服で登校して、それが週2回はあります。体力測定の期間など週3回以上体操服で、制服を着る日は減ってます。体操服は、小学校高学年で買い替え、傷みも少ないまま卒業し、中学校でまた購入。以前、神戸タータンを使ったクリアファイルをいただいたけど、文具を共通にするぐらいでいいのでは。(神戸・須磨、主婦、40)

(2021年6月24日夕刊より)

制服を巡る記事は、今から約40年前、昭和の時代にもありました。
こんな過激な書き出しです。

最近、学校の制服規則に反発して生徒が授業ボイコットする事件が各地で起こっている。

驚きの文章で始まりますが、内容は当時の制服事情のまとめです。

(1981年6月28日付朝刊より)

「学園紛争」の雰囲気がまだ残っていたのでしょうか。こんな表現も目を引きます。

学園園紛争で学生服を廃止する高校が相次いだ。

数十年前、県下の高校で学園紛争のアラシが吹き荒れて以来「制服」という言葉と別に「標準服」という言葉が生まれた。

神戸市が投票で決めたのは「神戸モデル標準服」でした。この記事の「標準」と関係はあるのでしょうか。

女子生徒の話も取り上げられています。

女子生徒たちの間で「○○校は制服が格好いいから入学したい」「△△校のデザインはきらい」と、よく話題になる。

デザイン重視は昭和も令和も変わりないようです。

昭和の終わりごろの別の記事では、男子生徒の制服を詰め襟からブレザーに変えた学校側の説明として「学ラン風に〝改造〟して服装が乱れ、生徒指導上の問題があった」と記されていました。

今とは違う意味で社会をくっきりと反映しているようです。

<播州人3号>
1997年入社。播州・姫路にも「変形学生服」の専門店がありました。店内には、裏地の色使いや丈の長さが通常とは異なる制服がずらり。竜や虎のほか、花札や能面のデザインを採用したものも。「裏ボタン」や「エチケットブラシ」など関連商品も思い出されます。当時、市内の男子中学生は全員丸刈りで、制服ぐらいでしか何かを主張することができない時代でした。

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