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見られたらラッキー⁉ 大気と光が織り成す美しい空の現象

澄んだ爽やかな秋空が待ち遠しい、夏バテ気味のぶらっくまです。先日、台風一過の神戸の空が、SNSなどでちょっと話題になりました。


こうぼう

太陽光が雲間から筋のように差し込む「光芒」と呼ばれる現象だそうです。先日は上記リンクの写真にあるように、空に向かって放射状に光が伸びているように見え、記事に「最初は巨大なサーチライトの光かと(思った)」とあるのも、うなずけます。

上記記事の写真は、撮影した方から電子版「神戸新聞NEXT」用にご提供いただきました。過去には本紙カメラマンも光芒を撮影しています。

神戸・高取山上から(2013年、撮影・山崎 竜)
兵庫県播磨町の県立考古博物館の展望台から(2015年、撮影・宮路博志)

神々しい光景ですね。光芒は、大気中の水蒸気量が多いときに、光が水滴などに乱反射して現れるとされます。「天使の梯子はしご」なんて呼び方もあるそうです。

空の写真とは趣の異なる、こんな光芒のショットもありました。

兵庫県三田市の千丈寺湖(2019年、撮影・大森 武)

上の写真は、真冬の夜明け前の湖。ダム湖に立ち込めた蒸気霧に、朝の陽光が差し込む様子を捉えました。太陽が昇って霧が消えるまでの、つかの間の光景です。はくのような色合いも美しいです。

今回は、この光芒のように、大気中の水滴や氷の粒に光が当たって生じる「大気光学現象」の写真をいくつかご紹介します。

かんすいへいアーク

兵庫県福崎町高橋にて(2020年、撮影・小林良多)

虹色に輝く光の帯が上空にありますが、虹ではありません。上空に浮遊する氷の結晶に太陽光が屈折して起こる「環水平アーク」と呼ばれる現象です。

虹も同様に太陽光が屈折して起こる現象ですが、虹の場合、光を屈折させているのが水滴なのに対し、環水平アークは氷の結晶(氷晶とも言います)という点が異なります。

もう一つ、光が水滴で反射して七色に見える虹は、太陽と反対の方角にできますが、環水平アークは太陽と同じ方角、太陽の下に現れます。太陽光が薄い雲の中の氷の粒に屈折して虹色に見える、という仕組みです。

神戸・須磨海岸にて(2013年、撮影・山崎 竜)
神戸・須磨海岸にて(2013年、撮影・山崎 竜)
神戸市中央区にて。魚眼レンズ使用(2015年、撮影・笠原次郎)

上の写真は、さらに珍しい瞬間かもしれません。空を覆う、うろこ雲の隙間に環水平アークが現れています。魚眼レンズの効果も相まって、不思議な雰囲気の一枚になっています。

かんてんちょうアーク

ちなみに環水平アークと似た、「環天頂アーク」という現象もあります。いずれも大気中の氷晶に光が屈折してできますが、「環水平」が太陽と地平の間に現れるのに対し、「環天頂」は太陽と天頂の間に出現します。

「逆さ虹」とも呼ばれる環天頂アーク。兵庫県三田市にて(2019年、撮影・門田晋一)

つまりは「環天頂アーク」は太陽高度が低いとき、朝や夕方に見られることが多いそうです。対して「環水平アーク」は太陽が高い位置にあるときなので、夏場に発生しやすいとされます。

がさ

兵庫県豊岡市出石町にて(2015年、撮影・斎藤雅志)

大気光学現象の「合わせ技」のような一枚です。「環水平アーク」が見える位置よりさらに上、太陽の周りに虹のような光の輪が現れています。「日暈」という現象です。「ハロ現象」とも呼ばれます。

神戸市中央区にて(2016年、撮影・小林良多)

日暈は、空高くに薄い雲がかかったとき、細かな氷の粒に太陽光が反射して起きるといいます。

さいうん

神戸市中央区にて(2007年、撮影・青木信吾)

これも一見、「環水平アーク」と見間違えそうな虹の帯ですが、「彩雲」と呼ばれます。太陽の近くを通りかかった雲が色彩を帯びる現象です。気象庁によると、太陽の光が雲の粒を回り込んで進む(かいせつというそうです)ことで生じるとのことですが…すみません、詳しくは〝文系頭〟の理解を超えています。とにかく、きれいです(ぼそっ)。

神戸市中央区にて(2016年、撮影・大森 武)

〈ぶらっくま〉
1999年入社、神戸出身。
空を彩る大気と光の現象、いかがだったでしょうか。まだまだご紹介したい写真や現象があるのですが、今回はこの辺りで。本紙カメラマンに聞くと、彩雲や日暈などは、そう珍しい現象でもないそうです。スマホや足元ばかりを見ていてはいけないな、と少し反省しました(苦笑)。