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デブ猫「マル」今春、兵庫上陸

 愛媛県の地方紙・愛媛新聞で2018年から計3シリーズにわたって掲載されてきた創作童話「かなしきデブ猫ちゃん」が2022年1月1日、最終回を迎えました。
 「もっと広い世界を見てみたい」。主人公のデブ猫「マル」はこう胸を張り、愛媛から船に乗り兵庫を目指しました。兵庫には五つの国(摂津、播磨、但馬、丹波、淡路)があります。愛媛を飛び出したがマルが、兵庫五国を巡る大冒険が今年4月から神戸新聞でスタートします。

 こんにちはド・ローカルです。今回は4月から神戸新聞で始まる新連載「かなしきデブ猫ちゃん 兵庫シリーズ」について書きたいと思います。愛媛新聞と神戸新聞が連携した、地方紙史上かつてない壮大なプロジェクトです。

 原作は小説家の早見和真さんです。1977年神奈川県生まれ。「イノセント・デイズ」で2015年の日本推理作家協会賞、「ザ・ロイヤルファミリー」で20年の山本周五郎賞を受賞されました。「店長がバカすぎて」で20年本屋大賞ノミネート。初のノンフィクション「あの夏の正解」は21年Yahoo!ニュース本屋大賞にノミネートされました。最新作は「笑うマトリョーシカ」です。

早見和真さん

 絵は、かのうかりんさんです。1983年愛媛県今治市生まれ。動物や自然などをテーマに絵を描かれており、「いろんなおめん」で第6回フジテレビBe絵本大賞入賞。最新作は「どろぼうねこのおやぶんさん」(文芸社)です。

かのうかりんさん

 そして、わたくし、ド・ローカルが、兵庫シリーズの総責任を担います。責任重大です。早見さんいわく、「日本シリーズは第2戦が最も大切、と野村克也監督が言っていた。兵庫での展開の可否が、デブ猫の将来を決める」
 「いやー」。なんとも言えないプレッシャーを感じながら、先月25日に神戸新聞のオンライン番組「神戸新聞フェス2021」で、兵庫シリーズのキックオフ番組を作りました。是非ご覧ください。早見さん、かのうさんのインタビューもあります。



まず、マルの自己紹介です。


 吾輩(わがはい)もネコである。名前は、マル。四国の愛媛県を3度も旅したクールなハチワレ猫として有名だ。最初の記憶は松山市の捨てネコカフェ。そこでアンナという人間の女の子と会い、道後の家で一緒に暮らすようになる。アンナはオレの大親友。人間たちがオレを「かわいくない」と言ってきても、アンナは一人「マルはクールなの!」と守ってくれた。でも、ある晩、窓の外から黒いメスネコがオレに告げた。「気高き者よ。その目で広い世界を見るのです──」
 ニャーーーーーン! 体の奥底に震えを感じ、オレはアンナの家を飛び出した。ある時はあの日の黒ネコを探すため、ある時は病を治す秘密の泉を探すため、そしてある時は最高のダンスを踊るため。旅の途中、オレはいろんなものを見た。大切な仲間たちとの出会いと別れ、そして恋。冒険はいつだってオレに大切なものを教えてくれる。「もっと広い世界を見てみたい」。乗り込んだ船が向かった先は兵庫県。そこには五つの国があるという。きっと胸躍る体験が待っているに違いない──。
愛媛新聞と神戸新聞をまたにかけた、地方紙史上かつてない壮大なプロジェクトがここに始動。デブ猫マルの愛と哀しみの物語、ついに開幕

(神戸新聞・かなしきデブ猫ちゃんの特設ページから)


スタジオにマルが登場

PRに駆けつけるマル


 2021年12月25日に配信した「神戸新聞フェス2021」で、かなしきデブ猫ちゃん兵庫シリーズが4月からスタートすることを発表しました。スタジオにはマルがPRに駆けつけてくれました。
 首にかけているのは、播州織のブルーのスカーフです。左手に持っているのはフランスパンです。神戸はパンの街。フランスパン発祥の街でもあることから、かのうかりんさんが描いてくれました。

 キックオフ番組の様子は記事にもなっています。

 25日に神戸新聞NEXTなどで配信されたオンライン番組「神戸新聞フェス2021」で、人気童話「かなしきデブ猫ちゃん」の新シリーズが、来年4月から神戸新聞社で始まることが発表された。現在、愛媛新聞に連載中で、今月20日からはNHKによるアニメの全国放送が開始されている、知る人ぞ知る人気作。冒険の舞台は愛媛県からひょうご五国へ。愛らしさとちょっぴり哀しみを抱えた主人公のデブ猫・マルが、個性豊かなキャラクターたちと兵庫の地を巡る。
 「デブ猫ちゃん」は、日本推理作家協会賞や山本周五郎賞を受賞した小説家の早見和真さん(松山市在住)が「子どもたちに物語の魅力を知ってほしい」と執筆した初めての童話で、2018年から愛媛新聞で連載がスタート。第1、第2シリーズを経て、現在第3シリーズを連載中だ。
 絵は愛媛県今治市出身の絵本作家かのうかりんさんが担当。心躍る冒険談と、温かみある絵のタッチが子どもたちの心をつかみ、「愛媛県では知らない子どもはいない」と言われるほど評判を呼んだ。
 主人公は松山市の道後温泉に暮らしていた飼い猫のマル。あることをきっかけに家を飛び出し、仲間たちと出会い、別れ、そして恋をする。広い世界を知りながらマルは成長していく。
 早見さんは「今、社会が息苦しいのは大人たちが小さな世界で生きているから。だったら子どもたちには広い世界を見に行こうと伝えたい」と語る。
 兵庫シリーズの取材ロケも既に始まっており、早見さんとかのうさんは「兵庫は五つの全く違う文化がある。マルという部外者だからこそ分かる魅力を引き出したい」と意気込む。
 神戸新聞は25日から「かなしきデブ猫ちゃん」の特設ホームページを開設し、早見さんとかのうさんのインタビュー動画などを公開。兵庫県内で読み聞かせイベントや展示会などを実施していく予定だ。

(2021年12月26日付朝刊より)

 今年4月からの連載に向け、早見さんやかのうさんらは、兵庫に入り、取材を始めています。

姫路市白浜町
淡路島の諭鶴羽神社
明石市の魚の棚商店街

 マルはどんな出会いを重ねていくのでしょうか? 神戸新聞社では、取材のメーキング動画やストーリーなどを「かなしきデブ猫ちゃん」の特設ページで紹介していきます。

<ド・ローカル>
 1993年入社。スマホの普及で、新聞、雑誌の苦境が言われて久しい。早見さんは「新聞社があきらめてどうするの? 新聞社ができないんだったら、僕がやるよ」ときっぱり。こうして誕生したのが、創作童話「かなしきデブ猫ちゃん」シリーズです。10歳前後の小学生がターゲットといい、「新聞を知り、中身に触れ、20年先も新聞の読者でいてもらわないと…」。早見さんの言葉が胸に響いた。

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