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木村快の大学サッカー

こんにちは。今年度、副将を務めました木村快です。
凜から紹介があった通り、この4年間は常にお金に余裕が無く、自販機でもコンビニでも外食でも、ことあるごとに誰かに奢りジャンケンを挑んできました。でもジャンケンは弱いのでこれが逆に自分の首を絞めています。負のループです。でも楽しいからいいです。とか言ってられるのもあと3日。マジで泣きそうです。おれはずっと皆とメシ食ってたい。ジャンケンしてたい。


木村快の大学サッカー
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3年半前、神戸で大学生活を始めた。
初めての一人暮らし。ワクワクしていた。

金沢から引越してきた翌日、4/1から練習に参加した。練習前、グラウンドに作られた先輩達の輪に混ざる。1歩前に出て自己紹介をする。新入生のお世話係の先輩と直前に交わしたコミュニケーションを間違って受け取り、そのとき私はスパイクではなくスニーカーを履いていた。
「なんでスニーカーなの?ここはそういう軽いノリの集団じゃないよ。」
入部して1秒目からやらかした。持田コーチに詰められた。先輩の目が怖い。早くも実家に帰りたくなった。


そんな感じで始まった1回生。スニーカーの件はしっかりとコーチに謝り、コンディショニングが明けた1週間後からはAチームに帯同させていただいた。練習に何とか食らいつき、関西2部リーグ開幕戦はベンチ入り。しかし、大学サッカーの試合を初めて見た自分は、高い強度とスピード感に圧倒されていた。気圧されていた。2-2の同点で迎えた後半ラスト15分くらいだっただろうか。まだ新ユニが手元に無かったので張り番のユニでウォームアップしていた自分が呼ばれた。試合前、石ショウさんやリュウセイさんから「お前今日あるぞー」とか言われていたけど、まさか本当に呼ばれるとは思っていなかった。頭が整理出来ていないまま出場。ビビり散らかして何も出来ず、2-3の黒星に貢献。後の話に繋がるが、この頃は自分の出来をひたすら気にしており、試合に出ることの責任など何も考えていなかった。その後もスタメンや交代で継続的に使っていただいたが、期待されているようなパフォーマンスはできず。チームは2部残留を達成したが、その功績に自分は微塵も貢献できなかった。リーダーシップをとって組織を先導するケイタさんや、プレーで魅せるタカキさんなど、先輩への憧れが増すばかりの1年間だった。

2回生は右膝の怪我でリーグの半分くらいに出れなかった。そしてチームも中々勝てていなかった。迎えた2部リーグ最終節、運もあって勝てば残留という条件。しかし結果は、負け。大観衆の前で、大声援を受けながら、負けた。涙が止まらなかった。スタメンフル出場しながら何も出来なかった自分が情けなかった。なにより、試合に出ていない全ての方々に申し訳なさを感じた。

我々選手がプレー出来ているのは、監督・コーチ・マネージャー・応援団・保護者・OBOGなど様々な方の尽力があってこそ。試合の勝敗には直接的に関与できないにも関わらず、選手のために己の全てを投げ打ってくれる。彼ら彼女らの底知れない努力、支援、祈りにも近い応援。勝利という形で報い、それら全てに意味を与え、皆を幸せにすることができるのは、ピッチ内の11人だけ。組織を代表し試合に出場するからには、そのことを理解し、想いを胸に責任を全うする必要がある。果たして自分はどうだろうか。おれはこんな体験をしてまでも、忘れてしまう時がある。試合に出ることを当たり前のように思ってしまう節がある。ついこの前も康二朗と凜から叱咤を受け、襟を正してもらった始末である。どうか後輩たちは、試合に出ている人間は、常に自分に問い続けて欲しい。この責任はとても重いけれど、苦しい時には支えになる。勝った時には大きなやりがいとして返ってくる。11人だけで闘っているわけではない。11人だけでは勝てない。


3回生になると持田コーチが退任され、学生主体の中で3部リーグを闘った。もちろん目標は1年での2部復帰。しかし蓋を開けてみると、降格組なのにそこまで勝てなかった。苦しかった。苛立ちから、互いの気持ちがぶつかり合い、明らかにチームが上手く回っていなかった時期があった。自分自身も、タケさんやユウスケさんに反発してしまうことが多々あった。お二方はチームを必死にまとめようとしていたはずなのに、未熟な自分はやり方を間違え続けた。入部当初からAチームに居た身として、経験をチームに還元することが出来ていたならば状況は好転したかもしれない。とにかく、もっと全員で腹を割って話し合い、目標を、指針を、気持ちを共有する必要があった。

「曖昧な目標設定では、曖昧な努力に終わり、曖昧な結果しか残らない。」
今年の5月に福添監督が仰った言葉だ。ずっと自分の胸に留めてある。思い返せば、受験や就活など、成功したタイミングでは常に目標は明確だった。やることも見えていた。自分の意識次第なので、個人単位では容易なことかもしれない。ただ、複数人をまとめてチームを統べる上では、想いが交錯する分だけ一気に難易度が上がる。マサキ、シノ、リョウタ。都度チームの状況を正確に把握してベクトルを揃えることは本当に大変だけど、3人なら絶対に出来る。期待しています。


ついに迎えた4回生。最終学年。副将。
リーグ開幕前だっただろうか。いつものように2人でご飯を食べ終え店を出た後、康二朗が言った。
「自分の代で全然勝てへんかったらどうしようってずっと考えてまう。」
あまり弱気になっている康二朗を見た事が無かったので、鮮明に覚えている。そして、それはおれも同じ風に思っていたことでもあった。怖いというか心配というか、プレッシャーを感じていた。おれなんかよりずっとチームのことを考えて行動していた康二朗は、もっともっと重く感じていたかもしれない。帰り際、その重圧を跳ね除けて、この代で、おれらの代で2部に返り咲こうと話して解散した。


春。リーグが始まった。


点を決められた
負けた
何も無かった


高い競技性の元での真剣勝負における学びの一つは、準備にかけた時間や熱量、いわゆる努力が、そっくりそのまま報われるわけでは無いということ。汗水流した練習が、過程が、試合で相手にボキッとへし折られる。自分たちが信じたモノが粉々になる。でもだからこそ、スポーツは美しく面白い。時間をかけた者が必ず勝つ、高い熱量の集団が必ず勝つ。そんな勝敗が決まりきった勝負より味気ないものはない。自らを理解し、相手を研究し、負けから学び、次の戦略を決める。努力の方向性を定める。あとはひたすら突き進み、また週末の試合で勝敗にハラハラする。最高だ、たまらない。
サッカーを知ってから今日に至るまでずっと、サッカーの虜になっている。


点を決めた
勝った
五感が震えた
魂が揺れた


大袈裟でもなんでもない。それくらい勝利の味は格別だ。勝利が尊いものでなければ、誰が苦しい練習などするものか。

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さて、土曜日の最終節を残すのみ。
90分間闘った後、4回生は引退する。1月に始動したこのチームは解散する。

既に昇格の夢は潰えてしまった。前期の取りこぼし、後期の失速は、全て自分たちの甘えや弱さに起因するもの。豊田が書いていたように、今年のチームには漠然とした期待感があった。なんかいけそうな気がしていた。でもダメだった。それ以上でもそれ以下でもない。後輩たちに2部の舞台を踏ませてやりたかった。この現実を受け入れるにはまだ時間はかかりそうだけど、充実した1年間であったことには変わりはない。

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3年半前の入部直後、インスタの新入生紹介企画で自分はこう答えた。

Q8: 神大サッカー部での目標
A8: 誰からも応援される人間になって引退する。

「誰からも応援される選手」になれたか。心からYesとは言い切れない。誰よりも楽しそうにプレーするネイマールを見て幼い頃の自分の心が躍ったように、自分の姿が誰かの心を揺らしたことはあるのだろうか。こいつを後押ししたいと思わせたことはあるのだろうか。分からない。後悔なら山ほどある。あの日あの時ああしていれば。もっとチームに出来ることがあったのではないか。自分に嫌気が差す。でも考えてもキリがない。幸い、自分にはラスト1試合ある。過去は変えられないが、未来ならどうにでも変えられる。積極的にボールを呼び、ゲームを作り、奪われても奪い返してまたチャレンジする。サッカーをする喜び、楽しさ、パッション、自分ができる最大限で表現する。Aチーム、Bチーム、スタッフ陣、保護者の方々、OBOGの方々、その他試合関係者の方々。自分のプレーでその全員に楽しんでもらう、心を動かす。最後の1試合だけでも、誰からも応援される選手として、胸を張って終わりたい。

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先輩方へ
生意気で、調子乗りで、反抗的で、すぐ奢られに来る、普通に自分ちょっとウザかったと思います。そんな自分に対しても、どの先輩もピッチ内では高い視座から色々なことを教えて下さりました。みんな忙しいだろうのに試合観戦に来てくれて試合後に話をしてくれた時は、誰であれ本当に嬉しかったです。有難うございました。東京にいる諸先輩方は、美味しいご飯のお店を沢山教えてください。あわよくば連れていってください。奢ってください。



後輩たちへ
チームのために、神大サッカー部のために、自分に何が出来るかを常に考えてほしい。上手くなることでもいいし、係活動を頑張ることでもいい。どんな形でもいいから、とにかく信念を持ってチームに関わり続けてください。

頭を動かし、声を出し、手足を動かし、汗を流し、全員で定めた目標に向かって、全員で進み続ける。チームがよりよくなっていく推移の中で、自分の存在価値を実感して欲しい。得意なことを見つけて欲しい。それは人それぞれ異なるもので、自分にしかないもので、同時に組織にとって不可欠なものです。チームにプラスを与えるのは他の誰かではなく、自分自身。一人一人がその想いを持って動ける組織は必ず強くなる。本当に応援しています。頑張れ。

なんでお前が上から目線で高尚なことばっかり言ってんねんという気持ちかもしれないですが、とりあえずここまで読んでくれて有難う。ただの体験記ですが、何か1つでも感じてくれれば幸いです。あとご飯はいつでも誰でもどこでも連れてくから声かけてね



親愛なる同期たちへ
できることなら、ずっと皆とサッカーしていたい。

一緒に心から笑ったり、泣いたり、ガッツポーズしたり、悔しがったり、ランに苦しんだり、成長に喜んだり、罵りあったり、ご飯食べたり、BBQしたり、酒飲んだり、ジャンケンしたり、クソ漏らしたり。

最高でした。
皆とだから、全部楽しくて、全部記憶に残っているのだと思います。これからもどうぞよろしく。寂しくて死んでしまうので年1回くらいは集まろうぜ。



家族へ 
まずは、親元離れた神戸で何不自由なく大学サッカーに打ち込ませてくれたことに感謝しています。そのおかげで沢山の人と出会い、様々な学びを得ることが出来ました。本当に有難うございました。忙しくてなかなか帰省できない中、出張でも試合観戦でも、神戸まで何度も顔を見に来てくれて本当に嬉しかった。有難う。積もる話はまた直接しましょう。

小4の春から始めたサッカー人生のラストマッチ。おれのラストダンス。点決めるから見ててね。

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ばり長い文になってしまいました。あと〆切ギリギリになってしまいました。多方面に謝罪します。そしてここまで読んで下さった皆様、有難うございます。


最後は我らがキャプテン康二朗です。入部直後から二人でずっと一緒に居ますが、最近は週12くらいで会っています。オフは遊びに、昼は筋トレ、夜は練習、その後の夜飯、銭湯。まあ引退しても週7くらいでは会うのかなと思います。あと肌黒いです。部内では2番目に黒いです。でも心は清純です。クリスマスまでに彼女作るのがんばってね。それはさておき、とにかくこいつは熱い漢です。誰よりも負けず嫌いすぎて、熱すぎて、怒った声がばかデカいので練習中みんな何回もびっくりさせられてます。でも誰よりもチームのことを考えています。嫌われることを厭わず、チームを勝たせるために愚直に行動できます。誰からも慕われるキャプテンが最後にどう締めくくってくれるのか。乞うご期待。


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