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《ファルスタッフ》ができるまで その1 ときは佐藤正浩音楽監督デビュー公演。突然、炎のごとく!

スタッフMM
 ご存知ですか?神戸市は2つの演奏団体(室内オーケストラ、混声合唱団)と多目的ホール(神戸文化ホール)をもっている全国でも稀な都市です。そんな都市はありそうで、案外ないのです・・・(自治体による、という意味では、海外でも2団体の運営は珍しいよ、とあの山田和樹マエストロにも仰っていただいたので、そうかも、と信じています!)そして合唱団員の顔ぶれは、メンバーリストを見ていただければお分かりの通り、関西のオペラ界で主要な役どころで活躍している優れた歌手たちが揃っているのが特徴です。
「オペラが上演できるのでは・・・」と、2021年9月、音楽監督・佐藤正浩マエストロの就任披露公演の客席に居ながら、ふと思い立ちました。

©小澤秀之(2021年9月11日 神戸市混声合唱団 秋の定期演奏会)

佐藤さんの指揮がじつにドラマティックで感銘をうけたのです。そう、佐藤マエストロはオペラ指揮者としての日本トップクラスの方なのでした!(現に、いま、新国立劇場オペラ研修所の所長をつとめておられます)。 
 
 つづいて、ヨーロッパの街の劇場のありようも頭に浮かんできました。ドイツでも、フランスでも、イギリスでも、街の中心に劇場があり、専属の歌手と楽団員、ダンサーたちがいます。クリスマスには《ラ・ボエーム》、新年には《こうもり》など季節を彩る様々なオペラ、オペレッタがかかり、みんな家族連れで訪れるのが風物詩となっています。何世紀にもわたり、つまり家族何代にもわたって劇場通いが習慣となっている例も。専属歌手のそれぞれにご贔屓がいて、今月はあの役、来月はあの役を歌っている、と音楽家たちが愛されているのです。

ヴォルフスブルク・シャロウン劇場(ドイツ) 毎年開催する「クリスマス・メルヘン」(クリスマス時期のオリジナル公演)として「人魚姫」を上演していた。子供たちが応募した劇にまつわるイラストがロビーに展示され、そのうちから選ばれたひとつがメインビジュアルとして採用されている。劇場が地域の子供たちと連携している様子が見てとれた。 2017年12月5日(著者撮影)

 神戸のこの楽団と合唱団も、住民たちに親しまれているということでは、そんなヨーロッパの劇場の専属歌手、合唱団、楽団には負けていないのではないでしょうか。6年かけてすべての公立小学校にアウトリーチ活動として出向いているふたつの演奏団体です。低学年には合唱団員が音楽劇を、高学年には楽団員が器楽演奏を届けています。そして、年に一度神戸文化ホールで、楽団と合唱団によるオペラ《泣いた赤おに》を小学校4年生のために上演してきました。劇中歌をくちずさみながら、劇場からでてくる子どもたち。そうだ、オペラもあり、かも!

©米田フォト(2023年2月4日 神戸市室内管弦楽団・神戸市混声合唱団 オペラ《泣いた赤おに》)

  おりしも、2023年度から3年をかけて神戸文化ホール開館50周年企画をするシリーズを立ち上げる計画がもちあがりました。「神戸市室内管弦楽団、神戸市混声合唱団、指揮は合唱団の佐藤正浩音楽監督で記念オペラを上演したい」との企画を財団内で訴えることに。もちろん実現には、まだまだ協力者が必要です。そこで真っ先に会いに行ったのは、神戸市出身の人気演出家、岩田達宗さんでした。(つづく)

公演情報

ヴェルディ:オペラ ファルスタッフ
全3幕〈イタリア語上演・日本語字幕付き〉
[作曲]ジュゼッペ・ヴェルディ
[台本]アッリーゴ・ボーイト
[原作]ウィリアム・シェイクスピア『ウィンザーの陽気な女房たち』『ヘンリー四世』『ヘンリー五世』

2024年12月21日(土)14:00 開演(13:15開場)
神戸文化ホール 大ホール
 
[指揮]佐藤正浩 [演出]岩田達宗
[合唱]神戸市混声合唱団 [管弦楽]神戸市室内管弦楽団
 キャスト
ファルスタッフ:黒田 博 フォード:西尾岳史
フェントン:小堀勇介 カイウス:谷口文敏
バルドルフォ:福西 仁 ピストーラ:松森 治
アリーチェ:老田裕子 クイックリー夫人:福原寿美枝
ナンネッタ:内藤里美 メグ:山田愛子

公演詳細はこちらから

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