コロナ禍、ペットが見せてくれる新しい世界
新型コロナウイルスの感染拡大による大混乱で幕を開けた2020年もあと少しで終わり。誰も予想だにしなかった「ニューノーマルな」生活が、徐々に日常になりつつあります。
この半年間で私たちの生活は大きく変わりました。リモートワークになって働き方が変わった方も多いでしょうし、不要不急の外出や旅行がしづらくなって余暇の過ごし方が変わった人も多いと思います。
かくいうわたしも、その1人。
会合やイベントのほとんどがオンラインになった分、
自宅で過ごす時間が増え、ほぼ毎夕、妻と一緒に愛犬の散歩に行けるようになりました。
「獣医なのに!」と驚かれそうですが、
これまでは時間がなくて、2頭の愛犬たちの散歩は病院のスタッフに任せきり。
愛犬の散歩が日々の習慣になったのは、生まれて初めてのことです。
自宅の近くを小一時間かけて
愛犬たちとゆっくり歩いているだけですが、
この散歩は、全く新しい世界へと僕を連れていってくれました。
散歩を始めた当初はまだ早春で、桜のつぼみもほころび始めたばかりのころ。
それがあっという間に満開となり、
木々の緑が芽吹き、少しずつ日が長くなっていき、あじさいが咲き、暑い夏の盛りが過ぎ…
こんなにはっきりと四季の移ろいを感じるのは、生まれて初めてのことかもしれません。
世田谷のまちなかにも、思いがけず、いろいろな生き物が暮らしていることも知りました。
散歩コースにある仙川にはカワウやカモが暮らしていて、
ときには大きなアオサギの姿も。
こういった鳥がいるということは、
仙川には彼らの命を支える魚が豊富に生息しているということでもあります。
彼らの存在を知ったことで、
これまで当たり前のように見ていた身近な近所の風景が、
まったく違う風景のように見えるようになりました。
何の変哲もない風景の中や
かわりばえのしない日々の暮らしの中には、
まだまだ知らないことや美しいこと、
楽しいことが満ちていて
その気になれば、たくさんの発見ができる。
コロナで元気のない私たち人間に、
愛犬たちはそれを教えてくれているのかもしれません。
最近では、
散歩の度に出会う顔見知りも増えました。
もし、僕が1人で歩いてきて突然誰かに声をかけたとしたら、
きっと不審がられてしまうだけでしょうが(笑)、
愛犬と一緒なら「こんにちは」「今日は良い天気ですね」と、
ごく自然に笑顔で会話が始まります。
コロナの流行が
私たち人類にとって何らかの意味を持っているとしたら、
その答えは私たち一人ひとりがこの制限ある生活の中から
見つけ出さなければならないものなのでしょう。
私もぜひ自分なりの答えを見つけたい。
今日も、愛犬と一緒に散歩に行ってきます!