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よこはまから届く愛
すっかり冬色に染まる十和田湖。湖の向こうに見える山には真っ白な雪が積もり、なんだかとってもおいしそう。
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なだらかな山はたったぷりの粉砂糖をまぶしたシュトーレンのように、角度のあるの山はモンブランのように見えてきます。おなかが空いてしまうけど、十和田湖畔にはおかし屋さんやパン屋さんがないので、甘いおやつの類はなかなか手に入らない。
そんな環境を気にして、母方のおばあちゃんが時折おかしを送ってくれます。
◇
横浜に暮らすおばあちゃんは、今年89歳になった。卒寿も近いというのにいまも現役で働いていて、お買い物が休日のたのしみ。
折りに触れて「明日高島屋に行くけど、何が欲しい?」と、電話をくれる。
「何がいいか決めたら、LINEするね!」とひとまず返答。
新しいものは積極的に取り入れるタイプで、89歳にしてLINEも使いこなすのだ。こういうときにLINEで会話できるのはとってもありがたい。
文面で伝えておけば、おばあちゃんがわからなかったときにも、店員さんに見せて尋ねることができる。そうはいっても、できるだけおばあちゃんが迷わないように、具体的に希望を伝えなければね。
というわけで「横浜高島屋 フロアガイド おかし」で検索。なにがいいかと思案していると、幼い頃、おばあちゃんと高島屋を歩いた思い出がよみがえる。
あの頃からおばあちゃんは、自分のお洋服や化粧品をみるよりも先に、わたしたちに「何が見たいの?」「何が欲しいの?」と聞いてくれた。大人になったいま、そのやさしさを改めて思い知る。
◇
これまでに、エシレのクッキー缶を頼んだり、中華街が恋しくなって肉まんを頼んだり、記念日にあわせて届くケーキを頼んだりした。
おうちに届いたとき、配達のお兄さんが持っている高島屋のバラ模様の包み紙を見るだけで、「あ!おばあちゃんからの荷物だ!」と気づく。十和田湖でよこはまを感じた瞬間、あたたかい気持ちになる。
そんなふうに送ってもらうおかしが、とても貴重に思えて、毎回写真に残している。人はうれしかったことを記録するために、写真を撮るんだなぁ。
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これは、おかし屋さんがない土地に住んだからこそわかった、愛の話。
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大好きなおばあちゃん、離れて暮らしていても、いつも気にかけてくれてありがとう。どうか末永く、元気でいてね。
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