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冬の栞

3月に入り、冬の終わりが見えてきた。この冬は、私が山形に越してきてからいちばん雪の少ない冬だった。地元の人に聞くと、ここまで積雪のない年は初めてだという。雪は大変だけど、やっぱりとても綺麗だから、少ないのもそれはそれで寂しいものだ。

寒くて自宅に引き篭りがちになってしまう季節。心と身体の健康のために、出来るだけ外へ出かけるようにした。東北暮らしも4年目になり、少しだけ乗り切るすべを身につけた気がする。

今回は、厳しい季節の中、なんだかぬくもりを感じた瞬間にシャッターを切った写真群。

積雪が少ない年、除雪の方々は何をしているのかな。
降らなくてラッキー!なのか、もっと降ればいいのにと思っているのか。
少ないとはいえ、どかっと降る日もあった。
そんな日は外が真っ白に染まって、いつもより世界が明るく感じた。
わたとばあちゃん。
この冬、施設に入ることになったおばあちゃんとの記念写真。
生活の知恵。切り干し大根の大きいやつ。
日本海側の冬は分厚い雲に覆われて、薄いブルーの空が見えたら「今日はいい天気だね」と言う。
いい天気のハードルが下がりに下がっている。
畑はお休みだけど、ハウスの中では緑が育つ。
冬に咲く花は元気をくれるね。
自宅で醤油漬けにして食べる「はららご飯」。
いくら食べ放題の夢が叶う季節です。
アトリエ前の生垣に咲く山茶花。
やっと山茶花と椿の見分けがつくようになった。
雪道運転はいつもより用心して。
これはガソリンスタンドにあるタイヤの空気圧を見る機械で、
遠出するなら確認必須。
取材で訪れた、湯田川温泉の隼人旅館。
だばだばと湧き出すお湯に浸かった瞬間の幸せときたら。
#愛猫越しの私の世界
ちらちら落ちる雪を捕らえたい はるちゃん。
あきくん。大きく見えるのは、冬毛のせい…だよね?
たまに太陽が顔を出すと、とってもうれしくなる。光は偉大。
昨年末、大好きな近所の洋食屋さんが閉店した。
48年のうち、たったの4年間だけでも通えたことが嬉しい。
何を頼んでもおいしい上、雰囲気がよく大好きなお店だった。
帰省して7歳下の妹と会った。
若者の未来に幸あれ。
おばあちゃんちのサンルームで飛び回っているぴーちゃん。
人懐っこくて、指を差し出すとぴょこんと飛び乗る。
誰かがみかんをふたつ落として行ったみたいだ。
奈良美智さんの展示を観るため、青森へ出かけた。
お土産に買った「あおもり犬」のスノードームが窓際で光っている。
青森といえばりんご。
弘前城前の大正浪漫喫茶室で食べたガレット。
りんごとキャラメルがよく合って、とても美味しかった。
青荷温泉ランプの宿に宿泊。
電気がなく、電波も届かず、時計もないので時間の流れがゆっくりで
それがとても贅沢に感じた。
バスに揺られながら、懐かしのスーパーカーを聴いていた。
友人のアテンドで、はじめての秋田市へ。
秋田駅前は道が広く、わたしの暮らしている鶴岡よりも都会だ。
秋田県立美術館では、藤田嗣治の大きな絵画を見て感動した。
全面ガラス張りの秋田ポートタワー。
温室の中で咲く紅色の梅。
まるで大きな鳥籠のような箱の中で、一足先に冬の終わりを感じた。

東北の冬は大変なことばかり。私が横浜から来たからそう感じるのではなく、みんな大変だと思う。ただその大変さを乗り切るすべを知っていることがかっこいい。

雪国は優しい人が多いようなイメージがあるけど、多分それは本当だと思う。我慢強く、根気強くなければ雪かきなどやってられない。大変さを、そういうものだとある種諦めながらも受け入れていくような強さが、優しさとなって現れているのかな。

たくさんの優しさに触れ、どうにかまた今年も山形で春を迎えることができそうだ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!