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一問一答「あなたは、どんな時に、自分を誇ることができますか?」【誇りのチカラ】

あなたは、どんな時に、自分を誇ることができますか?

この質問を聞かれた時に答えられることがとても重要です。
誇りを抱く人は、誘惑に抗い強く生きることができる人だからです。
今回は、自分の目指すべき方向の見つけ方についての相談をもとに、社会的感情の最後として「誇りのチカラ」について解説していきます。

「Q. なんとなく有名になりたいとは考えていても、何をしたらいいのかがわかりません。自分が目指すべき方向はどうすれば見つかるのでしょうか?」

やはり、自分に自信を持ちたいとか、自信がないから評価されたいという人もいると思います。
有名になるというのは、みんなにすごいと思われるということですが、これは「どうでもいい人たちにすごいと思われるために必死になって頑張る」ということにつながってしまいます。

これは結構不幸になる道で、何年かすると自分は何のために頑張ったのかと思い始めます。
もちろん、僕も同じですが、それに気づいて自分の本当にやりたいことは何なのかということを見つめて軌道修正することはできます。
ただ、大抵の人は一度ある程度の知名度を手に入れると、それを手放すのが怖くてできなくなってしまいます。
芸能界でも、それが怖くてズルズルと何年も同じ状態を続けてしまう人も結構います。

結局のところ、大切なのは、みんなにすごいと思われることを目指すのではなく、自分の本当にいいと思うことに全力を注ぐことです。
ところが、この自分が本当にいいと思うことが見つからないという人が多くいます。
これは自分自身のことをよくわかっていないからです。

ですから、まずは自分を知ることが大切です。
自分はどんな人間で、どんなことが向いていて、何が向いていないのかを知るべきです。
例えば、自分は完全に内向的な人間だということをわかっている人が、営業をしたら絶対にうまくいくはずがありません。内向的な人が営業であちこち回って人間関係を作ったりコミュニケーションをとることを続けるとなると、当然ですがいつまでも続くはずがありません。
自分を知ることで選択肢が見えてくるということもあります。
それを見つけるためのおすすめの本を紹介しておきます。

自分がどんな人間なのかということをちゃんと知ることが大切です。
僕たちが自分はこんな人間だと思っているのは、大抵は知らず知らずのうちに誰かに強制されたものです。
例えば、親に幼い頃からこんな人間になるべきだと言われ続けてそうなったとか、周りからの期待を背負ったために自分の行動が決まったなど、意外と人は他人のために生きていることがよくあります。
他人の望む通りに人は生きていることが少なくありませんので、それにどのように対処し、どうすれば自分の人生を生きることができるのかということを教えてくれる本です。

誇りの力:高い自制心と成功につながる感情

人を惹きつけ、そして、自分の精神を高め、大きな目標達成に役に立つ社会的感情というものが3つあります。
それは「感謝」「思いやり」「誇り」です。
この3つの感情レベルを高めると自分をコントロールする力が自然と高まります。

自分をコントロールしたり自分を抑えるというのは難しいことですし、とても強いストレスが伴います。
ところが、そんなストレスを感じることもなく、自然と自分の人生にとって良い方向に自分をコントロールすることができるようになります。

「誇り」の感情には2つあります。
正しい意味での誇りと傲慢です。
正しい意味での誇りの感情を高めると、僕たちは自然とやる気が湧いてきて集中力も高まり自分をコントロールすることができます。
そうなれば当然人生は成功する方向に向かいますし、成功すればするほど人が集まってきます。

自分で身につけたスキルへの誇り

自分が身につけたスキルや自分が今まで頑張ってきたものに対しての誇りが高い人は、人生において大きなメリットがあります。

正しい誇りの感情を身につけると、自制心が高まり自分をコントロールする能力が自然と高まります。
忍耐力も上がるので、物事をコツコツと続けることができるようになります。
自分をコントロールすることができてやり抜くことができるようになるわけですから、そうなると当然目標達成の確率も高くなります。

これまでの心理学では、自分にご褒美を与えたり罰を与えたり、自分をコントロールしようとすることが重要だと言われてきました。
動物のしつけをする時にはご褒美を使ったりしますが、人間の場合にはもっと複雑な感情がそこにはあります。

人は進化の過程において脳が発達して、ご褒美を与えたり罰を与えたり自分をコントロールしなくても、より大きな利益を感じられる感情を手に入れました。
それが3つの社会的感情で、そのうちのひとつが誇りの感情です。

傲慢:衝動性&外的報酬欲求

一方で、いわゆるナルシストのような傲慢の感情は真逆の性質を持っています。
衝動性が高まり目の前の欲求に弱くなります。
みんなに褒められたりお金がもらえるというような外的報酬に対する欲求が大きくなります。
内側から湧いてくるモチベーションではなく、外からくるモチベーションに強く反応するようになります。

そうなると、外から来るその報酬が無くなった瞬間にやる気がなくなってしまいます。
人生でもビジネスでも、うまくいかない時は必ずあります。
外的報酬に弱くなると、そんな時に物事を続けることができなくなります。

これは子供の勉強でも同じです。
勉強が楽しいものだと思えば、親が勉強しろと言わなくても勝手に勉強します。
ところが、勉強すればお金がもらえるとなると、そのお金が貰えなくなった瞬間に勉強する気がなくなります。
これと同じように、外的報酬に弱くなってしまうと物事を続けることができなくなります。

それと同時に、傲慢の感情は不安のレベルを高めます。
ナルシストが自分が凄いという事を必死でアピールするのも不安だからです。
不安であれば、普通は努力したり自分を高めることをするべきですが、その努力が面倒くさいから手っ取り早く自分がすごいという幻想を抱くために、周りの人にすごいと言ってもらうことを頑張ってしまいます。

そうなると当然自我ももろいです。
自分はすごいというところをアピールしていますが、誰よりも周りの目を気にしています。
周りから自分がどう思われているかということを常に気にして、フォロワーの数やいいねの数を気にしています。

誇りの感情は内発的な動機にも続いていて、傲慢の感情は外発的な動機に基づいています。
僕たちは傲慢の感情ではなく誇りの感情を持たなければ、モチベーションを保ち物事を続けることは難しくなります。

傲慢の方向に進まないために!

本来は誇りをもって自分の道に進むべきです。
傲慢の方向に進まないためには、まずは謙虚さと両立させることが重要です。
そして、自分が周りからどのように助けられているのかということを考えることも重要です。
謙虚さと周囲からの援助を強調しましょう。

そして、外から得られるお金や賞賛の声をモチベーションにするのではなく、自分の内側から湧いてくるモチベーションを大切にしてください。

自分の大切な人を想像してみてください。
彼らが自分の成功のためにどんなことを助けてくれたか思い出してみてください。
その上で、その人たちに恥じない生き方をするために誇りを持って人生を進まなければいけないと考えることができれば、自然とより良い方向に進んでいくことができます。

外発的動機でモチベーションは半分に!

スタンフォード大学のマーク・レッパー博士の研究で、外発的動機によって僕たちのモチベーションはなんと半分にも下がってしまうということが示されています。
先ほどの子供の勉強の話と同じですが、自分で好きでしていることにお金をもらうとやる気が下がってしまいます。

研究では、絵を描くのが好きな子供たちを集めて、絵を描いたらご褒美をあげると言われて絵を描いたグループと何も言われなかったけどサプライズでご褒美をもらったグループ、そして、何もご褒美はないグループに分けています。

その結果、ご褒美がない場合とサプライズでご褒美をもらった場合にはモチベーションに変化はありませんでしたが、ご褒美があると思って絵を描いた場合には、そのご褒美をもらった後に絵を描くモチベーションが下がっていました。
それまでは楽しく絵を描いていたのに、ご褒美をもらうために絵を描いていると脳がリプログラミングされてしまいました。
実際に、それまでは17%の時間を絵を描くことに使っていたのに、その時間が8%にまで下がっていました。

仕事をする上でも副業をする上でも、YouTube に挑戦しようとか勉強をしようとする時にも、それが続かない理由の多くはこの外発的動機に頼るからです。

物質的な報酬は長期的に悪影響だということが様々な研究でも確認されています。
先ほどの絵を描く子供たちももともとは絵を描くのが楽しくて好きだったはずです。
自分が好きでしていたことをずっと続けていたら、偶然お金を稼ぐことができるようになったというのであれば、その後も好きだから続けることができるはずです。
その時も、お金を稼ぐことをモチベーションにして頑張ると、それまでの内側から湧いていたモチベーションがなくなってしまいます。
どんなビジネスでも勉強でも同じですが、それが続かない理由はここにあります。

褒める時の注意点

大人でも子供でも褒める時の注意点があります。
褒め言葉も外からくる外発的動機になってしまいます。

もちろん、だからといって子供を褒めてはいけないということではありませんが、些細なことを褒めすぎないということが重要です。
あまり些細なことを褒めすぎてしまうと説得力がなくなります。

そして、これも重要なポイントではありますが、その人の「能力」ではなく「努力」を褒めてください。
人は能力を褒められると、これから先も成長しようとする意欲がなくなってしまいます。
努力を褒められると、これからもその努力を続ける意欲が高まります。
これは「成長マインドセット」と言われますが、そんな成長マインドセットにつながる褒め方です。

自発的な行動を褒めるということも重要です。
自分からしようと思った行動を褒めることによって、内発的動機への反応が強くなります。
結果に結びつかなかったことであっても、その中で自分で工夫したり考えて行った行動を褒めてください。
これは上司が部下を褒める場合にも親が子供を褒める場合も同じです。

さらに、相手の誇りを把握しておくことも大切です。

相手が仕事で何を誇りにしているのか?

自分の人生で何を誇りにしているのか?

これも人間関係でちゃんと向き合えばわかるはずです。
これがわかっていると相手を褒める時にも上手に褒めることができます。

本質的な熱心さを作る3つの柱

誇りの感情の重要性を言われても、自分が他人よりも優れているところは別にないし、誇れるものは何もないと考える人もいるかもしれません。
実際にはそんなことはありません。

本質的な熱心さを作るためには、「有能感」「自律性」「関係性」の3つが重要だと言われています。
これらを大切にして頂けると誇りの感情を持つことができます。

「有能感」

有能感は、自分が物事に挑戦した時に、成長を感じたりもう少しで達成できるかもしれないという感覚です。

「自律性」

人は自主性を重んじることで内発的動機が高まります。

上からいちいち言われたことをさせられるだけでは自律性は育まれません。
基本的なルールだけ作って、後は自主性を重んじて自由にさせるべきです。
これは大人も子供も全く同じです。

「関係性」

自分のしていることや自分のスキルがどのように人間関係に役に立っているかということです。

愛着スタイルの研究で、母親と子供の絆が強いほど子供の探究心が増すと言われています。
子供の探求心が増したら色々なことに挑戦できるようになります。
しかも、その高められた探究心は一生涯不変のものです。

母親との絆が強い子供は一生涯探究心が旺盛で好奇心が強い人になります。
新しいことを知ることが楽しくなりますし、有能感や自律性や関係性も育つからです。

社会的包摂で誇りを持てる!

弱者を守ることを社会的包摂と言いますが、この社会的包摂も忍耐力を高めたり人生での成功確率を高めてくれます。
何かしらの被害にあった人を助けたり動物を助けたりする人も多いですが、これはその人の忍耐力と人生の成功確率を高めてくれます。

人は誰かを助けることで自分に誇りを持つことができます。
他人を助ける人は感謝されますし、それによって社会の一員である感覚を持つことができます。
自分の居場所がない人は誰も助けていない人です。
自分の居場所を作りたいのであれば、誰かの居場所になってあげるか誰かを助けることが必要です。

モチベーションの内発化

自分が親近感を感じる人に努力を賞賛されると内発的動機が強化されます。
良い集団やコミュニティに所属すると人はモチベーションが上がると言われます。
仕事ができる友達や勉強ができる友達ができると、自分も仕事や勉強ができるようになったりします。

オンラインサロンやグループ治療が役に立つのも、この近しい人の影響があるからです。
そういう意味では、自分のモチベーションを高めたいのであれば、モチベーションが高い人の輪に入れてもらうのがいいのかもしれません。
これも、そんなグループに入っている自分に誇りを持つことができるから、自分の自制心や忍耐力が上がっています。

成長し続けるための心理学

僕たちは誇りの感情を高めれば、忍耐力や自己コントロール能力というような、多くの人が悩む問題を解決する力を自然と高めていくことができます。

自分が誇りの感情を感じられることを想像するだけでも効果があるとも言われています。
仕事や勉強がしんどく感じた時も、それを成し遂げたら自分がどれだけ誇れるか考えるとモチベーションが上がります。

これ以外にも、誇りの感情を上手に感じて周りにいい人が集まってくる方法もあります。
そんな成長と成功に繋がる感情を上手に使うための方法については、続きで解説していますので、ぜひチェックしてみてください。


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