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「修理する権利」とは?サーキュラーエコノミーの価値観

「修理する権利」という概念、日本ではまだ馴染みがありませんが、欧州や米国では広がりつつあります。
サーキュラーエコノミーを推進していくためには、欠かせない価値観ですので、日本でも浸透していくことを期待します。

修理する権利とは、自らが購入したモノをどうするかは所有者の自由であり、それは修理やカスタマイズすることも当然であるというものです。 具体的には、自分で修理するか修理サービスに依頼する、メーカーが使用するマニュアルへのアクセス、ソフトウェアのロックを解除する、などの行為は消費者にとって当然の権利である、ということです。

よくよく考えれば当たり前のことですが、日本においては調子が悪くなったら買い替えるというのが当たり前になってしまいました。(もっとも、調子が悪くなかろうが、頻繁に買い替えていますが・・・。)
まさに「もったいない」の精神に相反する「使い捨て文化」です。
このような経済の在り方をサーキュラーエコノミー(循環型経済)に対比してリニアエコノミー(直線型経済)とも言います。
使い捨てを促進することによって、経済を回していくような考え方です。
「計画的陳腐化」が極端な例でしょう。
20世紀の初め頃、「ポイボス・カルテル」という国際的な企業協約が締結されました。
どのようなものかというと、白熱電球の寿命を1000時間を超えないようにするという、国籍の異なる複数の企業間における世界規模のカルテルです。
各企業は1000時間を超える電球を作る技術は持っています。
では、なぜ各企業が1000時間を超える電球を作りたくなかったかといえば、寿命が長い電球ではなかなか買い替えが発生しないため、結果として売上が減少してしまったからです。
それでは電球メーカーが困ってしまうので、わざわざ寿命の短い電球を作ろうとメーカー各社で決めたのです。
これが計画的陳腐化です。
このようなケースは大なり小なり世の中に溢れているのではないでしょうか。
頻繁なモデルチェンジを行うことにより旧製品を相対的に陳腐化させ、買い替え促進を図ることも一例です。
また、バッテリー部分を製品の内部に埋め込み、容易に交換できないような構造にし、バッテリーの寿命がそのまま製品寿命となることも、計画的陳腐化の例といえるでしょう。
これらは典型的なリニアエコノミーであり、まさに使い捨て文化の象徴でしょう。
私たちは使い捨て文化は持続可能ではないということに、ようやく気付き始めました。
修理する権利という価値観が広がることによってサーキュラーエコノミーが促進され、計画的陳腐化のような商慣習がもはや時代遅れとなることを期待します。


画像:Michal JarmolukによるPixabayからの画像

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