金曜日のショートストーリー12 カメラ

カメラで写真を撮られると、魂を抜かれるそうだ。
文明の力についていけなかった昔の人の噂。
その抜かれた魂とやらは一体どこにいくのだろうか。
あの世とやらに逝くのだろうか。
それともこの世を彷徨うのだろうか。
それとも、写真に閉じ込められるのだろうか。
願わくば、そうであって欲しい。
携帯アプリのカメラ機能の性能がよくなって、カメラというものを手にすることが少なくなった現代で、私はそんな馬鹿なことを考える。昔ながらのフィルムカメラでファインダーを覗き、シャッターをきった。
そのフィルムの一枚一枚に彼の魂の一欠片を閉じ込められれば良い。
密やかな想いを込めて、私は放課後部活で汗を流す彼を夕焼けの校舎と共に撮った。

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