百物語 第六十一夜

もう三十年近く昔、俺が小学校の二、三年の頃に体験した怖い話だ。

俺たちが子供の頃、女子にスカートめくりをすることが流行った時期があった。
俺もスカートをめくっては、女子に怒られるのだが、なんだかそれが嬉しかった。

ある放課後、友達と誰のスカートをめくろうかと相談していた。
俺は友達たちから一目置かれたいがために、これまでターゲットにされてこなかった女子、その子はまだ転入してきて一ヶ月程度で、クラスに馴染めているとはいえなかった。

まだクラスに友達もできていない彼女に悪戯するのは、俺たちのような馬鹿ガキでも気が引けていた。

誰も手を出せなかった女子にスカートめくりをした俺は、友達からヒーローとして崇められる。
……予定だった。


次の日の朝、教室に入ってきた転入生の前に俺は立ちはだかった。
不思議そうな顔をしている彼女に、

「おはよう!!!」

と、大きな挨拶をかけ声に、転入生のスカートをめくった。


スローモーションだった。

彼女は、当時流行っていたウサギのキャラクターの下着を履いていた。
スカートがゆっくりと舞い降りて着た時、そのキャラクターの黒目が動いた。
その瞳は俺を確実にとらえていた。

そしてこれは推測でしかないが、声こそ出てはいなかったが、ウサギの口は

「 し ね 」

そう動いた。

俺は腰を抜かしてしまった俺はヒーローどころか笑い者となってしまった。


この話を友人にするとみんな大笑いするが、俺にとっては深刻なトラウマとなっている。
なんせもうその出来事から30年近く立つというのに、女の下着が怖くて見れないのだ。
もちろん下着の中は言うまでもない。

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